第30話 膝枕

はぁ…やっと満足したか…

まぁおかげでだいぶ心も開いて貰ったみたいだし

なかなかやり甲斐のある試練だな(笑)


ま、俺にキラキラ王子は無理だな

作戦成功


勇者への賞品として育てられたから勇者は大嫌い

思い通りになるかなるもんか


そこを崩して自ら一緒にいる選択をさせれば

俺の勝ち


その後で永遠に一緒にいてもいいって思ってもらえばいい


愛して欲しい、認めて欲しい、大切にして欲しい、尊重して欲しい、ただ認めて欲しい、自信がない

それが賞品の姫


俺を尊重しろ!俺を認めろ!

生きてやる!生きてやる!!生きてやる!!!

万一勇者じゃなくて20歳で処刑なら

あいつもあいつの周りのやつらも

俺を助けてくれないやつらも

俺のライバルも連れていけるだけ全部道連れにしてやる

俺が!魔王になってやる!

って思いながら、強くなるために

少しでも多く道連れにするために強くなるために

生きてた俺よりましだな


疲れた身体にムチ打ってラプリエールをエスコートして車に乗せると家路を急ぐ

まぁ、警戒はとけたな。試し行動みたいなわがままも出ていたし。

面倒じゃない程度にして欲しいけど


「ただいま」

「ワタクシ整えにまいります」

ラプリエールが自室に帰っていく

「あ~疲れたぁ。訓練して依頼こなして運転して着替えまくりして運転して……ふわぁ…」

あ~駄目だソファ座ったら身体動かねぇ

もう眠くて…あーまたラプリエールに見られたら

アンドリダはだらしないわ

って怒られ…グゥ


「アンドリダ、お待たせいたしました」

…あら?アンドリダどこかしら

「おや、旦那さまったらまたこんな所で…誰かに寝室へ運ばせましょうね」

執事がやってくる

この人はなんだか監視しているみたいで嫌だわ


「いいえ。ブランケットをちょうだい。今日はお疲れでしょうし」

そういうと執事の…なんだったかしら。

王宮から来た…王宮で王の近くにいたお爺様

王が嫌すぎて思いだすから距離をとっていたら名前忘れたわ

ブランケットを持ってきてくれたのね。ありがとう


アンドリダを横にして膝枕をしてあげる

寝ていると顔の力も抜けて可愛らしいのね

規則正しく上下する胸を見ていると私も眠くなってきちゃうわ…




いつもの時間。朝5時目が覚める

どこだここ…枕もなんか違うなぁ。サワサワ

………

膝枕!?

ガバッと起き上がるとブランケットが落ちる

膝枕の主ラプリエールは座ったまま寝ている

ソッとラプリエールを横にして俺の膝を枕にする

か、固い…かな?


ぐっすり寝ているな…

大体怒ってる顔しか見てなかったけど

寝ていると顔の力も抜けて可愛らしいな…

規則正しく聞こえてくる息遣いがなんだか安心感がある

どうせしばらくこのままだしもう一度眠ってしまおうか

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