第26話 偽・白馬のキラキラ王子
「アンドリダどこいくんだ」
いつもならそのまま帰るアンドリダが街の方へ行く
酔っぱらっているからかと襟首を掴みなおすと
「酔いはさすがにさましていくよ。あと…花買って帰る」
「花?お前が?」
「姫の理想はわかってるんだよ」
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「ただいま」
扉を開けると不機嫌な顔の妻が立っている
ああ、今日も怒ってるな…
「いいご身分ね。アンドリダ
こんな時間までお酒を飲んで楽しんでいたの?」
いつもなら無視して自室に行くところだけど
俺にはやり遂げなきゃいけない事ができた
別に女なんて興味もないし、妻がコレでもいいじゃないか。
こいつの求めているものはわかってるんだ
跪いて買ってきた可愛らしい花束をラプリエールに差し出す
「わるかった。大切なラプリエールに恥をかかせるような事はもうしない。今日はラプリエールに似合う可愛らしい花を見つけたんだ。受け取ってくれないか?」
少しすがるような優しい笑顔も完璧なはずだ
「アンドリダ…?」
「今まで悪かったよ。愛してる。さぁ、一緒に2人の婚礼準備をいたしましょう?ラプリエール」
うん、歯が浮いて成層圏超える。反吐が出すぎて身体の中身無くなる。
決まったと思ったんだけど
ラプリエールはポロポロと泣き出した
キモかった?
「ごめんなさい、アンドリダ。あなたに無理をさせるつもりじゃないの」
無理があったかー
「毎日不満や不安をぶつけられて嫌だったでしょうに…譲歩してくれて…お花まで…」
ヤレヤレ。じゃあどうして欲しかったんだ
泣いてるラプリエールをソッと抱えてヨシヨシと頭を撫でる。
泣かれるって怒られるより苦手なんだよ…
うーん…困った。ガラじゃない事するんじゃなかった
仕方ないので偽白馬のキラキラ王子を解除する
「で、どっちがいいの?ラプリエール。俺、本気で姫の望む夫像でいようと思ってたんだけど?」
「どうして…私は、アンドリダにいつもいつも嫌な事を言っていたのに」
ラプリエールは涙を流しながら苦しそうな悲しそうな顔で見上げる
「せっかくなら毎日楽しくすごして欲しかっただけだよ。俺もラプリエールももう充分我慢しただろ。あとは楽しくいこーぜ。ほら、明日は一緒に婚礼準備もしたいし今日はラプリエールも休みなよ」
そう言って横抱きにすると嬉しそうに顔を赤らめている
うん。やっぱ好きなんだなこういうの…
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