サッキュバスと禿
第9話 イーリアーさん
ラインをするとすぐに返事が来た
{なんだ、話って。とりあえずOKらしいがサッキュバスなのは隠してあるから呼ぶなよ。名前はイーリアーだ。)
パンツをちゃんと見せろとか言うアンドリダにティーバックの黒い紐パンを擦り付けるほどまで近づいた後脱いで被せて逃げたサッキュバスはイーリアーさんなんだ…衝撃的だったな…
イーリアーさん…イーリアーさん…
「イーリアーさん。突然スミマセン」
うわぁ。派手な衣装じゃなくなったけど綺麗な人だな…
「いーわよぉ。なぁにぃい?秘密のお話ぃ?人払いのバリヤくらい私も張れるわよぉ?」
薄い膜が広がる
「あ…バリヤ。道理でデートスポットに誰もいなかった…」
「あら?それはカタンの事?」
あ、まずかったかな…?カタン言ってないかも…
焦っていると妖艶に笑われる。良かった女で。めっちゃめちゃ色気あってヤバイ。禿よく無事だな。変人だからだな。
「いいじゃないの。2人なんだし。で?何の相談か教えて?」
イーリアーさんに、事の経緯と気持ちとしては一緒にいたいけれど踏み切れない話を聞いてもらう
グダグダと取り留めのない不安と惚気と愚痴をしっかりと頷きながらウンウンと聞いてくれる姿は頼れる綺麗なお姉さんで、悪い魔物になんか見えない
「ふぅん。いいわねぇカタン。羨ましいわ
そうねぇ、カタンは優しくて寂しがりやだから、一緒にいてもいいと思えるならいてあげて欲しい
でも無理をしなくても、もしあなたが人のまま死んでしまってもその思い出を大切に握りながら今まで通り生きていける。そんな奴よ?
ーあなたも人型になってこちらで今まで通り生活もできるわ。よーく考えて」
「わかりました。ありがとうございます。カタンともっと話をしたいんだけど魔王城にはどう行けば…」
「人間が自力で辿り着くのはもう無理ねぇ…前の場所も昔なら来られなかったんだけど…今は地下に潜ったし、ラインで迎えに来てもらうといいわ」
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「覚悟。話をさせてくれてありがとう。じゃーね!」
「何か知らぬが相談はうまくいった様だな。また来い」
珍しくいい笑顔で帰っていく炎熱拳聖を見送る
イーリアーのおかげだな
なかなかやるな
…お礼でもするか
イーリアーの部屋を訪れるのは初めてだな
「イーリアー」
声をかけると
「か、覚悟!?は、はい!?」
驚いた声で返事がある
「急に、悪かった。炎熱拳聖が良い顔で帰った。感謝する。
近くにホットケーキ専門のカフェが出来たらしい。話のネタに一度、一緒に行くか?」
話をふるとふんわりと笑って
「ホットケーキ…カフェ…」
と嬉しそうに呟いたあと
「いきます」
と返事がきた
「よし。いくぞ。何?準備?仕方ないな、待っているから声をかけてくれ」
しばらくしてやけにおしゃれをしたイーリアーがやってきた
おしゃれだが寺の品位にあった美しいおしゃれだ
ふむ。TPOをわきまえられるサッキュバスなんだな
カフェではやたらキラキラしたホットケーキが売っていた
生クリームにホットケーキがついてる
の方が正しくないだろうか…
あぁ、でもイーリアーの目が輝いているからこういうものなのかもしれない
「あーまてまて、こういうのはアレだろ写真撮ってSNSとかに上げるんだろ。俺が写真とってやるからあとでライン教えろ。送るから、ほら撮るぞ」
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