第7話 告白

そういや、魔王は 我々が何をしたと言うのかな?

って言ってたっけ

存在が社会不安を煽るから害悪だって聞いたけど

結局何もしてないんじゃないかな

魔王悪くないのか…悪いことしたな…

「あ、お疲れ様でーす」

さっきのかわいい司会者だ。

さすがタレントさんだ小さくてかわいい

「さっきは台本とはいえごめんなさい。帰りはタクシーですか?」

「いえ、歩いて駅まで」

「え!?結構ありますよ?暗いし」

「大丈夫です。キングコングなのでー(笑)」

「やだぁ(笑)おもしろーい」

「面白くない」

突然男性の声がする。そっかもう駐車場まで来てたのか

振り向くと…

「え!?ま、舞岡さん!?」

「あらー、イケメンさーん」

「どーせまた歩くと思って迎えにきた」

怒ってる?

「距離も大したこと無いし…大丈夫かなと…」

つい、言い訳がましくなる

「大丈夫じゃないし、キングコングじゃなくて、19の女の子だろ!?帰り道民家無いし墓地横通るんだぞ!?…早く乗って」

怒ってた…

「ごめんなさい。ありがとう」

助手席に乗り込むとすぐに舞岡さんも運転席に乗ってくる

「じゃあ行きますよ」

車はなめらかに走り出した

舞岡さんいい車乗ってるなー

いい匂いだなー

運転してるのかっこいいなー

…あれ?

「舞岡さん。どこ向かってます?」

「海浜公園に少しだけ付きあってください。お話があります」

「…道着ですが…?」

「似合っていますよ…寒いといけないから上着おかししますね」


公園についてしばらく歩く

なんか舞岡さんに手を握られてるんだけど、私の手汗ヤバイ。ほんとにヤバイ

海が綺麗に見える場所まで来た

デートスポットって聞いたけど人居ないなぁ


「炎熱さん」

舞岡さんが突然振り向いて向かい合う

どうしよう、舞岡さん…期待してもいいのかな?

でもそれで間違いとかからかいとかいっぱいあったし…きっと違うしもし告白されたらきっと撮影か友達か罰ゲームか…あ、だからテレビ局に来た?撮影?告白されませんように…

「もう。鈍くても伝わっているんだろうけど…

俺、炎熱さんが、好きだ!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

舞岡

言った!ついに言った!

炎熱さんの反応は!!?


うわあぁあ

ヤバイ顔してる。なんというか後ろからドパーンって荒波きてる。

「え、炎熱さん?」

「ひどい!!舞岡さんはそんな人じゃないと思ってたー!!」

はー!?意味わかんねぇ!!走んな!待て待て待て

「待って!!意味分かんない!」

やっと捕まえた。魔王化したい

「どうせカメラとかあってからかってるんでしょ」

と、わあわあ泣く

あー…そういう人がいたんだね

理解アンド許すマジ

「炎熱さん、俺がそんな事をするって思ってるの?」

「思ってないけど…でも…」

あー!もう!!

「もう一回だけ!特別に!…だから、ちゃんと応えてっ! 俺、炎熱さんが好きだ!」

真剣な顔で見つめられる

どうしよう。飛び上がりそうに嬉しい

「私もっずっと気になってた!舞岡さんが好き」

舞岡さんの目が見開かれた

その後嬉しそうに細められて近づいてくる

あー…これ、初めてのキスだ。うわわわわ

レモン味じゃない

ソッと離れてまた見つめられる。

「キスしておいてアレなんだけど、炎熱さんに言わなきゃいけない事がある」

真剣な中になんか戸惑いがある様に少し目が泳いでいる。奥さんいるとかじゃないよね?

「もしも嫌だと思っても、危ないから家までだけは送らせて。その後絶対に炎熱さんの近くには在らないから。」

「……?うん…」

舞岡さんが後ずさりしていく。

場所変えるのかな?

ついていくと、止られた

「風とか危ないかもしれないから」

??風?

「じゃあ…目を瞑って」

と舞岡さんが言うとビュウッと風がふいた

「もう…いいよ?」

っていうけど…これって…

「目に砂とか入ったりした?大丈夫?」

変わらない優しい声で右手が顔に触れる

目は開けたくない

「私…あなたを知ってる」

「うん…」

「全てが変わったの?」

「ティシャツと中身は変わんない」

ふふっ変なの

「こんな、回りくどい事しなくても私に用ならそのまま来て良かったのに、魔王カタン」

そう言いながら目を開けると困った顔をしたカタンがいる

「久しぶり。カタン。酷い人ねって言いたかったけど、魔王だったわね。本当に好きだったのに…騙すなんて…踵落としの意趣返しかしら」

見開いた目からボロボロと涙が溢れて止まらない

せめて睨みつけてやろうと思っても涙で見えない

「違う、違うよ炎熱さんっ戦いは埒が明かないから逃げたけど、炎熱さんにどうしても会いたくて出てきた」

どうしよう。身体が震えて、息も震えて言葉がうまくでない

カタンから舞岡さんに戻った舞岡さんは、ハンカチで涙を拭いてくれたあと、悲しそうに眉を寄せてから少し笑って

「…やっぱだめな感じか。ごめん、何もしないし送るから車に乗って」

そう言って踵を返して歩きだした

しょんぼりした背中に走り寄って抱きしめる

「違うっ嬉しくて泣いてるっ嘘じゃなかったのが嬉しくて泣いてるっ」

子供みたいにわぁわぁ泣きながらわめく

「う、うん…炎熱さん?」

「炎熱って呼んで!」

「じゃあそっちもサン外してちゃんと呼んで。カタンは呼んでくれたけど」

え?えーっと…

「ま、まうおか??」

「なんでだよwww」

「丹田で…いいの?カタンじゃなくて」

「うん、人型の時はそれが俺の名前。ずっと昔から」

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