第6話 どうせうまくいかない

「あ、さっきの下心ってもしかして次の昇級試験ですか?審査は甘くなりませんが、今から道場開けてお礼にコツを教えましょうか?」

「是非!!(やったー道場2人っきりー)」


道場

「舞岡さん、もう少し足は開いて、こう膝を少し内に…」

足で後ろから調整していく。

舞岡 (うわぁあ。密着してるぅう。足絡んでるぅう)

「そして、こう!!」

(腕も絡んで、これもう結婚してるんじゃないかな?)

「うん。なかなか上手です。合格しそうですね。」

ニッコリ笑いかけると…

バン!

か、壁ドン!?舞岡さん壁ドン!?

「あ…あの?舞岡さん?目眩かなにか…?」

「にぶいの?にぶいふりなの?」

え?何何?なんのこと?舞岡さん笑顔だけどなんか怖いよ?

「深夜の道場に二人きりなんて…」

って近づいてくる。え、キス?キスなの?

ちょっと待って口臭大丈夫かな?

え、どうしたら…

チュッ ほっぺに舞岡さんの唇

「…同意を得ていないので。もしかして何か期待しましたか?」

ちょっと意地悪く笑う舞岡さんもいいな

「……少し…」

素直に返事をすると舞岡さんから笑顔が消えて真顔になる。う、ごめんなさい。慣れてなくてうまくかわせない

「その…返事は、反則じゃないかなー…

あー!もう、だからぁ!俺は!」

ガラガラガラ

道場の入口が開く

「なんだ声すると思ったら稽古してたのか。片付けしておけよー」

お父さん!?

思わず舞岡さんを突き飛ばす。結構飛んだ。ごめん

「はい」

ドスドスドスドスとお父さんが去っていく

「舞岡さんっごめんなさい!大丈夫ですか?」

と手を差し出すけど、気まずそうに

「大丈夫。ごめん。ありがとう、片付けして帰る」

と言うと手早く片付けて、手を振って帰っていってしまった


一人道場に残って道場の神棚を見上げる

舞岡さん…もしかして

いや、そんなわけないかキングコングだし

好きな人いるって言ってたし

…でも、なんかいい匂いしたなぁ

キス、したかったなぁ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

魔王城

「あーーキスしたかったなぁ。にぶいわ。ほんと」

魔王カタン姿で舞岡がペロリと舌を出す


(炎熱さんは期待して間違えて恥ずかしかったり悲しかったりして諦めて…絶対ないって、思ってしまってるんだろうな

人間しかいやかな…)

「カタンでもいいよって言ってくんないかなぁ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌稽古日・道場 舞岡

「失礼します。宜しくお願いします」

道場に一礼して入ると炎熱さんと目が合う

途端に炎熱さんが真っ赤になった

「ま、舞っ岡さんっ…こここんばんは」

「やめてください…うつる…」

顔があつくなる。この道場でやらかした事を思い出す

「今日も引き続き教えますが、今日はしばらくしたら、格闘国体の解説としてテレビに出演するんで抜けます。生放送らしいので良かったら見てください」

誤魔化す様に顔を背けながら炎熱さんが早口で説明してくれる

今日はなんの操作もしなくても炎熱さんがついてくれるんだな…嬉しい

やっぱりちゃんと伝えたいな

カタンだから振られるんだろうけど


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

炎熱さんの出演するテレビをみんなで見ようって師範お義父さんが道場にでっかいテレビ持ってきた

始まってすぐに綺麗な道着姿で炎熱さんが映る

「あの選手は最近蹴りの研究をしているらしくあの角度が」

とかなんか難しい事を言っている

「そう言えば、雷堂拳聖はどのくらいの強さなのですか?どのくらいで勇者とたびに出られるのですか?」

旅立ちの頃、17歳の炎熱さんが映し出される

なかなかの拳の速さだ

「あ。ちょうど今のが選抜戦ですが、当時は鉄球で殴ってるみたいだとは言われました」

(鉄球…そんな鈍器で殴られていたのか…)

会場も さすが…つえぇ…キングコング…などザワザワしている

「そんなお強い拳聖ですが、恋の方はどうですか?今、もてますでしょう?」

とたんに不審な動きするな(笑)

「理想は、どんな人ですか!?…あ、勇者アンドリダさんとか理想的じゃないですか!?かっこいいですよね!」

パッと掲示板みたいな場所にアンドリダの顔が出てくる

(アンドリダ…?作戦伝えようとテントに行ったら敵地なのに やだぁ。おそわれるぅ。って言ったあと眠いから明日でいい?とか色々言ってうるさいから殴ってやったアンドリダ?サッキュバスが出てきてすぐにパンツをもっとはっきりみせろって言ったアンドリダ…?)

「無いな。」

思ったより低い声出た

あ、ドン引きされてる。すまない。

(そういや、魔王はアンドリダの名前を知っていたなぁ

こんな女子供を討伐に出すのか…人間の王はひどいな。私を消すのは不可能だ。お茶でも飲んで帰らないか?とか言ってたなぁ。アンドリダが問答無用って切りかかってたけど。

仕方ないな、少し稽古をつけてやろうかアンドリダって言ってたのが余裕あるクール系で良かったな

顔も良かったかも)

「魔王はちょっとイケてたかもしれない」

あ、また引いてる。すまない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

道場 舞岡

みんなが爆笑するなか走り込む様に廊下に出た

魔王はちょっとイケてたかも

魔王はちょっとイケてたかも

顔が熱い。ヤバイヤバイバレる

なんて事言うんだ!!






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