「戦争」と「自衛」の違い

Aの人

自衛とは何か

「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」

                            日本国憲法第9条より



 日本という国は第二次大戦で敗戦して以降、徹底的に“民主化”と“非軍事化”が進められた。そしてそれは、国の仕組みのみにとどまらず、国民一人一人の精神的な領域にまで及んだ。

 そのためか、日本には自衛のための最低限の力はあるものの、80年たった今でも「自衛隊は軍隊だ」という声や「自衛隊は違憲だ」とする主張がなされており、そう主張する人の数は決して少なくない。


 しかし、彼らは、日本が武力による侵攻を受けた際、自分たちの命はどうやって守るつもりなのだろうか。


 彼らにこの疑問をぶつけても、恐らくほとんどの人は「話し合いで解決すればよい」、「そのための政府(外務省)だろ!」と返してくるだろう。

 だが、世の中には様々な考えを持つ人々が暮らしており、そもそも、話し合いすらできないような相手かもしれない。それでも彼らはこれを主張し続けるのだろうか。



 日本の主権が及ぶ海の面積は世界第6位であり、その面積は465万㎞²に及ぶ。

そして、その中には領土問題が発生しているところもある。


 ・北方領土…日本がポツダム宣言受諾後ソ連が軍事力で占領

 ・竹島…戦後独立した韓国が島民300人を人質に取り占領

 ・尖閣諸島…現在東シナ海に進出し、日本の排他的経済水域や領海内にもたびた

  び侵入している中国(中華人民共和国)が領有を主張


 ソ連の後継国であるロシアは、現在(2024年時点)ウクライナと戦争をしている。

また近年、ロシアは北海道をも自国の領土だと主張しており、いつ軍事侵攻を受けるかわからない。

 韓国は、歴史的な背景から、反日感情が強い。


 尖閣諸島の領有を主張する中国は現在、太平洋への玄関口とするため、東シナ海や南シナ海に隣接する国々に対し、“軍事的威圧”を行っており、それに尖閣諸島が含まれていることは言うまでもない。


 尖閣諸島は、島周辺に豊富な地下資源があるとわかって以降、1970年代から中国が領有を主張し、1992年には中国で「中華人民共和国領海及び接続水域法」が国際法を無視して施行され、より中国による主張が強くなってしまった。


 軍事的優位を確立してから軍事力を背景に国境線を画定する、という中国の戦略はこれまでも幾度も行われている。第一次中印国境紛争がそのよい例だ。


 もし自衛隊が存在しなかったら、すでに尖閣諸島は中国の領土になっていたことだろう。

 

 この先、遠くない将来、中国は尖閣諸島に対し、軍事行動を起こすだろう。その時、自衛隊がいなかったら…と思うと恐怖で身体が身震いする。自衛する力がないとまともな話し合いのテーブルにすらつくことはできないだろう。

 また、尖閣諸島周辺には、民間人も住んでおり、侵攻を受ければ彼らの命は危険にさらされるだろう。


 ここまでの事があって「自衛隊は戦力だ」と未だに主張する人がいるのは驚きだ。彼らは“平和ボケ”している、としか思えない。


 このように、自衛隊は我々を守る“最後の盾”であり、戦争の道具ではない。

 現在ある国のほとんどは、自国を守るための力を持っており、日本では自衛隊がこれに相当する。


 2022年、ロシアによるウクライナ侵攻が勃発した。

これは戦争が過去の遺物ではなく、身近に存在するものだ、ということを示してくれた。


 世の中の物事がすべて話し合いで解決できるわけではない。こちら側が話し合いによる解決を試みても、相手側が思考を放棄し、武力で解決する手段に出れば、それ以上の交渉は一方通行なものとなるだろう。


 戦争をしないという考えは、とても立派な考えだが、それは自衛をしないということではない。


 日本国民にはもっと、戦争の火種は意外と自分たちの近くにあり、それは決して他人事ではないということを強く認識してほしい。

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