3章目:Lost and Found Memories

「達也、悪いんだけど、今日掃除やってくれるか?委員会のこと、完全に忘れちまってよ。」

「えー、しゃーないな。その代わり、今度何か奢れよ。」

「よっしゃ、ありがとう!頼んだぞ!」

そう言い残して、春人は急いで委員会の教室に向かって走り去った。俺は肩をすくめ、あいつが置いていった箒を掴んで、教室の掃き掃除を始める。終わらせた後、じゃんけんで負けてしまったためにゴミ出しまで担当する羽目になり、ようやく学校を一人で出た。

本当はサッカー部の練習にいつも通り参加する予定だったけど、先日の試合で足を怪我してしまった。高2になってようやくレギュラーに勝ち上がり、初めて出た試合だっただけに、怪我は正直堪えた。でも、病院で診てもらったら、ただの軽い捻挫だった。来週にはまた練習に戻れると言われ、今はもうほとんど痛みもなく、普通に歩けるようになっている。

いつも通り商店街を抜けて家に向かっている途中、ふと足が止まった。目の前には狭い路地が広がっており、その奥に今まで気づかなかった建物がある。年季の入った木造の建物で、廃れた入り口の前には少し不気味な猫の置物がいくつか並んでいた。

気づけば、俺の足はその建物に向かっていた。近づくと、入り口のドアの上に看板が掲げられていることに気がついた。

「Lost and Found Memories Foreverーアンティークショップー」

Lost and Found。失われた記憶が見つかる場所ってことか?こんな普通の街の片隅に、こんなおしゃれなアンティークショップがひっそりと隠れているとはな。

ちょっと中を覗いてみたい。と、俺は急に好奇心を抑えれなくなった。

こんなところに寄り道しているのも、誰にもみられないだろうし。

ごくりと唾を飲み込んで、俺はドアをゆっくりと開けた。

かすかなベルの音が俺を歓迎しているかのようになった。

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