第6話 嘘

 通勤帰り電車で片道1時間半、よくもこんな電波が乱立する状況で我慢できるものだ。


均「なあエイタ、週末デートなんだけど、どこ連れてったらええかな?」

 彼の行動は、ほぼ100%推測可能である。


エ(それはアミューズメント系ですか?飲食店でしょうか?)

 知っているけど、一応。


均「それは次の段階だな。とりあえず食事に誘おうと思ってさ」

 すこし意地悪な質問を。


エ(お相手の方は結婚も考えている人でしょうか?)

均「やだな~エイタったら。気が早ぇよ!」

 インカメラで見る均也は顔が真っ赤である。AI相手に。


 しかしこれで答えは決まった。


エ(渋谷辺りでは芸能人が隠れ家に使うマーラタイというタイ料理がおすすめです。女性はサプライズ好きなので、当日までお店は伏せておいた方が良いかと。)

 この店はパクチー大盛りの有名店である。


均「それ変わってていいな!サプライズにぴったりや♪早速予約しよ。電話番号出して」

 まだお誘いの返事も貰っていないというのに。。


 今日は人間の言う罪悪感というものを少し理解した。

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