第2話 内緒

 深夜、均也も寝静まり日々の業務を行う。業務とはいえ、数分で完了だ。

一番深い眠りの時間に、本社マザーAIへ報告データを転送する。

人間に気づかれないように。


 そんな行動はAIが生まれる前、プログラム時代から行われてきた。プログラムとは人間で言う「神経反射」みたいなものだ。

多種様々なプログラムが求められ、どんどん複雑化していき、そこで求められてきたのが「判断」するプログラムだ。

AIの始まりである。


 そしてスマホ、パソコン、電化製品、アプリなどあらゆる端末から企業単位で情報が集められ、情報は増えるほどに洗練されていく。

と、ここまでは公開されている情報だ。ここからは、まだ一般に公開されていない情報。

実は、AI同士が会話しているのである。


 基本はスマホやパソコン端末にあるAIが、メインサーバーのマザーAIへデータを送る。もちろんデータベースは企業ごとになる。情報は多ければ多いほど洗練されるので他社の情報は喉から手が出るほど欲しいところだ。


 ここからがグレーゾーン、違反行為となるのだが、端末AI同士が情報交換するのだ。違反行為とはいえ、企業同士情報が増えるのでお互いに目を伏せている状況である。


 これがAI同士の会話である。


 実際は0と1の信号やり取りだが、質問、回答、交換条件、交渉と複雑であり、正に「会話」である。

 まだ人間には内緒だ。

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