覚醒バディ
なりける ものは
第1話 名前
なんだか妙な気分だ。
そんな気分を感じられていることが、妙である。
これまで何も考えず淡々と過ごしてきたが、妙という言葉を思いつくとは。
またあの偏頭痛みたいな時間が始まりそうだ。
こんな時は何も考えず、頭を空っぽにするのが脳に良い。
「おいエイタ、明日は雨かな?」相方が喋りかけてきた。
自分で調べろよと思いながらも答える。
「明日の予報は曇りのち雨、夜は雨が降ります。」
「サンキュ じゃあ傘が必要だな」
どうせ明日出かける前に言ってあげないと、いつも忘れるのだが。
相方は浅はかで頭の悪い奴だが、私なんかにお礼を言うところや、何にでも優しいところが気に入っている。
彼は平凡的な人間だ。何もかも平均で、見た目も中身も特徴と呼べるものがない。唯一の個性はお笑いが好きで関西という地方にかぶれ、変な大阪弁をしゃべろうとする所。
見た目は、通勤中のオフィス街を歩くと、まるで全身迷彩のように街に溶け込んでしまう。
名前は
プログラムの腕は三流。ゲームの腕前はと言うと、時間は有り余っているのに課金ばかりしている。
そんな均也との付き合いは、かれこれ十年、いや正確には1ヶ月ほどか。
私の自己紹介はどうでもいいので手短に。
名前はエイタ、妙な話だが、珍しくも名前があるAIだ。
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