第10話 三浦の転落
学園祭での事件から数日が経ち、学校内の雰囲気は明らかに変わっていた。かつてクラスの中心に立ち、みんなの視線を一身に集めていた三浦亮太は、今や嘲笑の的となっていた。舞台での失態が広まり、学校中で彼の話題は尽きなかった。三浦が演じたあの滑稽な台詞、観客の前で困惑し、恥をかいたあの瞬間――そのすべてが噂として生徒たちの間で語られ続けていた。
「三浦、あんなに自信満々だったのに、学園祭であんなことになるなんてね」
「クライマックスの台詞、まじで笑えたよな! あれは一生忘れられないわ」
廊下ですれ違う生徒たちは、口々に三浦のことを話題にしては笑っていた。彼がこれまで築き上げてきた「クラスの人気者」という立場は、たった一度の舞台での失敗によって一瞬で崩れ去ったのだ。かつてのように彼を慕っていた女子たちも、もう彼には近寄ろうとはしなかった。むしろ、あれほど彼の周りにいた取り巻きたちでさえも、今では彼から距離を置くようになっていた。
「ねえ、三浦って、なんか調子に乗りすぎてたんじゃない? あれでちょうど良かったんじゃない?」
「そうだよね、最近ほんとに目立ちすぎてたし……ちょっと鬱陶しいって思ってたんだ」
以前は彼を称賛していたクラスメイトたちですら、今では彼のことを冷ややかな目で見ていた。三浦の名声が急激に失墜する一方で、彼に対する評価は冷たいものへと変わっていた。彼の自信は崩れ去り、彼自身がクラスの中心から追い出されたかのようだった。
三浦自身も、学校内の変化を痛感していた。これまで教室に入ると、多くの生徒が彼に声をかけ、自然と彼の周りに集まっていた。それが今では、教室に入っても誰も彼に目を向けず、声をかける者もいない。むしろ、彼が近づくとクラスメイトたちが会話をやめ、気まずそうに目をそらす光景すらあった。
「なんで、こんなことに……」
三浦は内心で困惑していた。自分が学園祭で失敗したことは自覚していたが、それがここまで自分の立場を一変させるとは思ってもみなかった。これまで何をしても周囲から称賛されてきた彼にとって、失敗というものがどれほどの影響を与えるかを実感するのは、初めてのことだった。
昼休みの時間、三浦は一人で教室の隅に座っていた。かつては彼の周りにいた取り巻きたちも、今では別のグループに混じって楽しそうに談笑している。その光景を見ながら、三浦は自分が完全に孤立してしまったことを改めて感じ取った。
「どうして……」
彼の心の中で繰り返されるその言葉は、何の答えも得られなかった。周囲が彼を避け、笑い者にする状況が続く中、三浦は次第に自分を責めるようになっていった。
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