第3話 力の確認
翌朝、日向悠真はベッドの上で目を覚ました。昨日の出来事が夢であったかのように思えたが、胸の奥に今まで感じたことのない感覚が残っている。それは、リリスから与えられた「力」――それが今も彼の中で確かに脈動しているのを感じていた。
「……本当に力があるのか?」
悠真はゆっくりと拳を握りしめ、自分の体を確かめるように動かした。リリスの言葉は夢ではなかった。昨日、彼女に誓い、手に入れたのは紛れもなく「力」だ。この力を使えば、今までの自分を変えることができる。そして、三浦亮太をはじめ、自分を見下してきた人間たちに復讐することができるのだ。
学校に行く準備を整えながら、悠真は今日という日を少しだけ楽しみにしていた。今まではただ学校に行くだけでも憂鬱で、何も変わらない日々が続いていた。しかし、今日は違う。彼の中には確固たる目的があり、そのための「力」もあるのだ。
学校に到着すると、いつもと同じようにクラスメイトたちは悠真を無視していた。彼は普段通り、教室の隅の席に座り、周囲のざわめきを聞き流していた。しかし、心の中ではすでに計画を練り始めていた。三浦亮太――あの男を陥れ、自分を見下した代償を払わせるための計画だ。
授業が始まっても、悠真の頭の中は三浦への復讐でいっぱいだった。リリスの力がどのように働くのか、そしてどうやってそれを使いこなすのか、彼はまだ完全には理解していなかったが、心の奥底に確かな自信があった。何かができる、何かを変えられる――そんな感覚だ。
昼休み、悠真は三浦とその取り巻きたちが集まっているのを見かけた。彼らは、いつも通り教室の中央で笑いながら、周囲の女子たちに声をかけている。彼らの姿を見て、悠真の中で再び怒りが燃え上がった。自分を見下しているその姿が、何よりも彼を苛立たせた。
「……まずは、試してみるか」
悠真は心の中でリリスの力を呼び起こした。すると、胸の奥から何かが広がり、彼の意識が鋭くなったような感覚があった。その感覚に従い、悠真は三浦に意識を集中させる。すると、彼の頭の中に三浦の「欲望」が浮かび上がってきた。
「こいつ……自分がモテることに執着してるんだな」
三浦の欲望――それは女子たちの注目を浴び、常に自分が中心であり続けることだった。それが彼の行動原理であり、彼のすべてだった。そして、悠真はその欲望を逆手に取る計画を思いついた。
「今度の学園祭だな……そこで一気に落としてやる」
悠真はにやりと笑った。彼はこの力を使って、三浦が最も欲している「人気」と「注目」を利用し、逆に彼を破滅へと導くつもりだった。学園祭の準備が進む中、三浦は自らその罠に引き寄せられていくことになる。
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