第50話 いただきます………♡

「こいっ………んっ!?」

「んちゅっ、れろっ………」


悲鳴なんて上げさせないつもりで舌入れて来やがったアレーナのやつ。


「んっ、んぱっ、おまえ………」

「蕩けた顔、とっても素敵だよリオ………ゾクゾクしてきちゃった」


耳元に甘く囁いてキスコンボまで見舞われてしまいさすがにボーっとしてきた。

突然訪れた非現実的な状況に現実か妄想かその境目が曖昧になる感覚。


「キスで媚薬飲ませたからかな? こ・こ♪ おっきくなってるよ」

「んひぃっ」


しなやかなアレーナの指がそっと股間の、男の象徴付近に触れる。


「こひつっ」

「舌、回ってないよ? 蕩けてきちゃったのかな」

「健気な二人の料理姿眺めながらさすさすされてどんな気持ちなの?」

「んっ」


オレのためだけにあくせく料理作ってくれているのが目に見える距離でこんな事されてるなんて知ったら………。

こんな疑似NTR直視されたら絶対ただでは済まない。

変な声が漏れぬようグッと自分の歯を食いしばる。


「僕にガンガンくる君もとっても素敵だけど今の。快楽に抗っているような姿もとっても最高だよ」

「んぐっ」

「焦らすなんて無粋な行為大っ嫌いだからさっそく楽にしてあげるね」

「んあっ」


アレーナがいつの間にか両足の方へ移動、ズボンの上に顔を埋めると身体がくすぐられるようなほのかな快楽が身体中に這い上がってくる。


「すぐ楽にしてあげるからねっ♡ 僕も料理対戦に参加できてよかったぁ」

「おま、へっ………!! 料理じゃらひだろっ」


脳がふにゃふにゃになってきて滑舌もおかしくなっている。

オレのために頑張っている二人の裏でこんな調教施されるだなんて。

そういえばさっき、媚薬がどうのとか言ってたような………。


「んふっ………」


深呼吸しようと深く息を吸っても口から出るのは発情したメスのような甘ったるい声ばかりだ。

こういう時は見た目も声も女の子っぽい己に普段より数倍嫌気がさしちまう。

絶対媚薬のせいだ。

そのせいで、シチューづくりに勤しんでる二人の姿も見えない。


「あがって来ちゃった………♡ 正妻はもう僕しかないかな? いただきま——————」

「フリーズ」

「大丈夫ですか? ご主人様」

「な、何?」


ひと際強い刺激が襲うことなどなく、何故かアレーナが丸ごと凍らされてそこら辺に放置されていた。

代わりにフェリナとエナドリにオレを守るよう抱きしめられていた。

魔力が一時的に遮断されたせいかマグマ魔法の拘束もいつしか解かれてる。


「シチューの具材も全て入れ終わって後は煮込むだけでしたので報告も兼ねてお話しようかとお伺いしたところ」

「ちょうどそこのクソ侯爵が良からぬことをしていたところだったのよ」

「そ、そうか。助かった………」


シチューに指定して正解だった………。

これが数時間丸ごと消費される系のやつだったら料理が仕上がる頃にはオレもまたすっかりと仕上がっていただろう。

その後の地獄絵面なんて簡単に想像がつく。


「殺してないから安心しなさい。ちょっと凍らせといただけよ」

「焚きつかせておいて自分はご主人様を好き勝手料理なんてそんなうらやま——————ごほんっ、破廉恥すぎます」

「へ?」


媚薬のせいだろう、思考がボーっとしてうまく聞き取れない。

殺してないことはわかるけど、なんで二人とも頬が赤くなっているんだ?


「シチューが終わるまで1時間20分くらい残ってるのよ。ところで駄メイド」

「なんでしょう? メス豚」

「リオの目を覚ますことに協力したら今の無礼は水に流すけれど………どうかしら」

「奇遇ですね。私もちょうど同じこと考えてました」


「あんっ、はげしっ………リオ、リオ………!!」

「こちらももっと、んっ、責めてください。ご主人様………!!」

「なん………で………」


そのままオレを部屋に連れ込んだフェリナとエナドリから貪られるかのように激しく求められた。

媚薬による思考の塗り替えを懸念したとか言ってたが、ただただ気持ちよかったことしか覚えていない。

ことの首謀者たるアレーナという悪への罰は凍らされたまま行為が終わるまで見守ることと相成った。


ちょうどそれが終わる頃、料理が完成したため味見した結果。

毒魔法を上手く使い臭みを取った方がオレ好みということでエナドリの勝利で幕を閉じた(ちなみにフェリナは氷魔法で臭みの原因だけ凍らせるつもりが加減に失敗したらしい)。


「アレーナは三日間、リオとの行為禁止ね」

「それだけは、それだけは勘弁をー!! 許してリオーー!!」

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