第2話 日常

席替え以外は、いつもの学校生活を終えた純恋は。ビル掃除のバイトをしていた。

荷物を片付けたり、窓拭きやモップ掛けなど色々済ませ、残りはゴミ出しとなった。

ゴミ出しの途中すれ違う人に「お疲れ様でした」と頭を下げ続けた。

『お疲れ様〜』と挨拶を返された後『この後飲みに行こうぜ〜』『いいね〜いつもの居酒屋ね』と背後から楽しげな声が聞こえた。


ーーいいな...


と素直に心の中で思い、そっと背中を見送った。

ふと、大人になっても、こんな感じで孤独なのかと思った。だが、我に返り、また歩き出した。


◇◇◇◇


そして、入り口を通りかかると、ガラス張りのドアをコンコンとされた。

純恋は驚き入り口を見ると、知っている人影があった。

黒パーカーを着たラフな格好をしている、若い男性。

彼は結翔ゆいと。純恋の実兄だ。

片手にヘルメットを持っているので、きっと迎えに来てくれたのだろう。

純恋は『待ってて、すぐ行く』と口パクで伝えると、急いでゴミ出しをしに行った。


◇◇◇◇


「結翔兄…ごめんなさい。待たせちゃって」と純恋は駆け足で結翔の傍に行った。

結翔は少し笑い「バイト頑張ったな。」と純恋の頭をポンポンと撫でた。

「ありがとう…そう言えば、今日って、家誰かいるの?」「ああ。今日は、2人っきりのはずだったけど、遥香はるか姉と柊馬が帰ってきた」結翔の言葉に、純恋は拍子抜けしたような、残念な感覚だった。

「なんだよ。その顔は」結翔は純恋の頭をクシャッと撫でると、ヘルメットを被らせた。

結翔がバイクに跨ると、純恋も結翔の後ろに跨り、ぎゅっと捕まった。


◇◇◇◇


少しし、家についた。

家はタワーマンションで、家賃も結構高い。

純恋はヘルメットを脱ぎ、バイクを下りた。

「腹減ったな。早く行こ」結翔はヘルメットを脱ぐと、純恋の手をぎゅっと握った。


◇◇◇◇


「ただいま…」純恋は靴を脱いだ。

すると「おかえり〜。純恋ちゃん〜!」と明るい声と共に飛びつかれた。

純恋は驚きつつ「遥香姉…?」と声を出した。


ーー香水の匂い…混じってる…


純恋はボーッとしていると「純恋が困ってるよ。遥香姉」結翔は呆れたように笑いながら、靴を脱ぎ、玄関をあがった。

遥香は純恋に頬擦りをした。「だって〜可愛い妹だもん〜」まるで小動物扱いだ。

純恋は苦笑した。

すると、「遥香姉ちゃん、結翔兄。お腹空いた。」と柊馬がリビングのドアにもたれ掛かりながら、言った。

「そうだな。今日は柊馬が飯当番だったもんな」結翔はリビングに入る前に、柊馬の頭をクシャッと撫でた。

柊馬は表情を変えずに、結翔を見上げた。

「相変わらず、クールだよね〜本当に私の弟か怪しくなるんだけど〜」遥香は純恋の手を取り、リビングに入った。


◇◇◇◇


「いただきます」純恋はオムライスを頬ばった。

今日の夕食のメニューは、オムライスに玉ねぎスープだ。

「純恋、どう?食べれる?」柊馬は純恋を見つめた。

「美味しいよ。柊真兄の料理」純恋は軽く微笑んだ。

柊馬は相変わらず、表情を変えずに「そっか…」と言いオムライスを頬ばった。

4人で夕食を頬張り、談笑する。

どこからどう見ても、家族団欒だろう。









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