第3話 敵襲

1.魔物の侵入と惨劇


ラフティが死神と対峙していた頃、夜のアークレイン城では静寂が支配していた。しかしその静けさは、不気味な予兆でもあった。


突然、城壁の上で見張りが叫び声を上げた。「敵襲だ! 魔物が来たぞ!」


言葉が終わるか否か、漆黒の空や地上からは数え切れないほどの魔物の群れがアークレイン城に襲いかかってきた。ゴブリンやオーク、さらにガーゴイルのような翼を持つ魔物の軍勢が、まるで嵐のように城に侵入してきた。衛兵達は急いで武器を取り、城を守ろうとしたが、あまりに数が多く、戦力は圧倒されていった。


「ひ、ひどい……!」


衛兵の一人が叫び声を上げた直後、巨大なオークの斧が彼の体を両断した。血が飛び散り、命を守ろうと戦った者達が次々に倒れた。魔物達は容赦なく人々を殺戮し、城内は絶望に満ちた悲鳴で溢れた。


侍女たちや近衛兵もまた、必死に逃げようとしたが、ゴブリンの群れが彼らを追い詰め、次々に襲いかかる。短い命の灯火が無惨にも消されていく。大広間に避難しようとした貴族達は、オークの一撃で壁ごと吹き飛ばされ、一瞬で瓦礫の中に埋もれて動かなくなった。


「お願い、助けて……」


助けを求める声も、魔物達の冷たい刃によって沈黙させられていく。人々の命は無情にも刈り取られ、城の中は無数の屍で埋め尽くされていった。


2.姫の誘拐


その頃、アークレインの姫であるリリアナ姫は、まだ城の奥の寝室にいた。騒ぎを耳にし、不安げに寝室の扉を開ける。


「一体、何が……?」


その問いに答えるかのように、暗い廊下の奥から巨大な影が現れた。闇に包まれた翼、冷たく輝く赤い目——それは巨大なガーゴイルだった。


「見つけた……」


魔物の低い声が響く。近衛兵達が駆け寄り、姫を守ろうと立ちはだかるが、ガーゴイルの一撃で瞬く間に全員が壁に叩きつけられ、意識を失った。


「姫様、お逃げください!」


近衛兵の最後の言葉も虚しく、リリアナは恐怖で足が動かない。ガーゴイルは巨大な手を伸ばし、彼女を掴み上げた。


「お前は、主が望む貴重な存在だ……」


魔物は冷たく言い放ち、翼を広げて城の窓から夜空へと飛び立つ。リリアナの悲鳴は暗い夜空の闇へと消えていった。


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