3 フンネ(人間たち)

 次の日も朝から五郎と討伐隊は森に入ったが、樹皮に残された爪痕と凍ったフンが、やっとの思いで見つかった程度で、どちらも古く、得られる情報はほとんどない。

 文字通り神出鬼没。リスクは取らず、確実なときだけ襲い掛かる狡猾さを併せ持っているように思われた。五郎はこれまで幾多の野生動物を狩ってきたが、やはり羆の頭の良さには驚かされる。


 日が傾き始めた頃、苫前から来た行商人から、苫前で羆が出たという急報が駆けこんできた。

 話を聞くと袈裟懸けの模様をしていたらしく、五郎は古丹別を討伐隊に任せて苫前に向かう準備を始めた。しかし五郎が古丹別を離れるという話はあっという間に広がり、村人たちが慌ただしく駆け寄ってきた。彼らの表情には焦りと不安が色濃く浮かび、目には恐怖の色が宿っている。

「アンタはコタンを撃ち殺した。この村に残ってくれ。守ってくれ」村人たちは必死に訴えたが、五郎は厳しい表情で村人たちを見つめ「ここには討伐隊がいる」と静かに言葉を発した。

 村人たちの表情が曇る中「みんな、サンケ集めに協力してやってくれ」と言うと、背を向けた。後ろ髪を引かれる思いは胸を締め付けたが、それでも歩みを止めず村を出た。


 道すがら、五郎は自分を呼ぶ声が聞こえて振り返った。そこには馬橇に乗ったゲンがいた。「苫前に行くんだってな。乗ってくれ、俺も行く」

「何でだ?」

「苫前はよく出稼ぎに行くから顔が利くぞ。話も聞きやすかろう」

「正吉はいいのか?」

「あいつは小さいが、春子に似てしっかり者だ。連れてくるより駐在所にいたほうが安心だしな」

「よし、急いでくれ」五郎は馬橇に乗った。

 2人だけが乗る空荷の馬橇は速く、熊嵐の吹き付ける風がさらに冷たく感じられた。


 苫前に到着したのは、すっかり夜だった。普段なら、ここは鰊漁で賑わう活気あふれる港の村だが、今はその面影はどこにもなく、いつもより松明が多く焚かれ、重苦しい緊張感が空気を支配していた。いつもは元気な村人たちが、まるで息を潜めるかのように静かに息を殺し、その目には不安と恐れがはっきりと浮かんでいる。ここではすでに警察の討伐隊が監視を行っていて、顔馴染みのゲンのおかげでスムーズに現場の鰊御殿まで案内してもらえた。

 立派な鰊御殿は豊富な漁獲量と繁栄の象徴だ。しかし今、その堂々とした姿は荒れ果てており、どこか儚く見えた。扉は力任せに壊され、床には散乱する木片や破壊された家具、潰れた籠が無造作に転がっていた。壁に残る鋭い爪痕と血痕がその凶暴さを物語り、ただ恐怖と破壊の傷跡が残るだけだった。五郎とゲンは、鰊御殿の奥に足を踏み入れた。荒らされた室内を見回し、深く息を吐いた。ここで何が起きたのかを想像するのは容易だったが、その残忍さには、やはり眉をひそめた。


重軽傷者数名、死者1名。被害者は頭を齧られて絶命していた。死体の傍らまで案内してくれた若い討伐隊員はその死者について「旅の行商人です。雑貨の他に獣の骨や皮、その加工品を売買していました。特にサンケの骨は掘り出し物と称して高値で売っていたそうです」行商人の籠はズタズタに引き裂かれいて、見る影もない。

 五郎は一目見るなり「これじゃダメだ。どれがサンケかわからねぇ」

 ゲンも「そうだな。他の行商人に当たってみるか」と、ここで討伐隊員が切り出した。

「あの、噂で聞いたんですが……サンケの毛皮や骨を持っているとサンケの子に襲われるというのは本当ですか?」

 五郎が「あぁ、そうだ」と頷くと隊員の顔が引きつった。

「あの、これ……」隊員がポケットから小さな爪を出して五郎に押し付けるように渡した。

 羆の爪ではあるが、サンケの体格からすると明らかに小さい。

「おい、こりゃサンケじゃねぇぞ」と返そうとしても受けとらず「旅商人から幸運を呼ぶ貴重なサンケの爪だと言われて買ったのですが、こんなの持ってたら命がいくらあっても足りません」そういう隊員の顔は小刻みに震えて青ざめている。

 商人が金のために偽物を売りつけている可能性が出てきた。

「おい、サンケの残骸を誰が持ってるか知ってるか? こんな小さい奴じゃなくて全身の毛皮とか頭の骨とかだ」

「そこまでは……商人たちに聞いてみてください」

「さっきのサンケの子の話、ここでは噂として広がっているのか?」

「えぇ、どこもサンケの話題で持ちきりですよ」

「その噂は本当だ。行商人や旅人に、もっと広めるよう言ってくれ。俺たちはサンケの残骸を集めて、サンケの子を呼び寄せて仕留めたいんだ」

 隊員はさらに顔を引きつらせながら「……はい」と弱々しく答えて、本部に戻って行った。


 商人を探して村の通りを歩いていると、風に吹かれて揺れる「土産 北風屋」という布地に目を奪われた。そこは小さな屋台で、見知らぬ土地の名物や、旅の記念になるような細かな品々が、所狭しと並べられている。素朴な手作りの籠、木彫りの小さな動物たち、そして北の風を感じさせる山の恵み。干した魚や山菜の袋も置かれていた。店主がお店を片づけようと空の籠を取り出し始めていた。

 五郎は商品を一瞥しながら「こんな時間にすまないが、サンケの品はあるか?」

「あるよ。見てってくれ。どれも八十銭だ」

 店主の笑顔の裏に、北国の厳しさを生き抜いた逞しさが滲み出ている。しかし見せてくれた包み紙の中には少量の毛が入っていただけで、五郎はそれらが狐や猪の毛であることを見抜いた。しかも毛の量に対して高すぎる。ここまで露骨だと、本物か偽物か、店主がサンケの噂を知っているかは、どうでも良かった。

「買わないのかい?」笑顔が薄らいで残念な表情になる。気の弱い人なら同情して何か買ってしまいそうな雰囲気があり、商人としての技が隠れているように感じた。

「あぁ、もう少し大きいのが欲しい。どこか売ってる店を知らないか?」

「ウチのは、そこの馬場商店で仕入れたんだ。聞いてみな」


 馬場雑貨店はどこにでもあるような店構えで、正面の木の看板も風雨に晒され、少し色褪せている。外観にこれといった特徴はないが、店に入ると日常生活に欠かせない雑貨がずらりと並んでいる。米袋、鍋、針金、火打石など、村の暮らしに根ざしたものばかり。特に目を引く品物があるわけではないが、この店には実用的で必要な物がいつでも手に入る信頼感があるのだろう。店主も愛想よく出迎えることもなく、ただ棚の整理をしている様子だ。長く地元に根付いたこの店の存在は、何も変わらぬ村の営みの一部のようだった。

「やぁ、サンケは売ってるか?」

「あるよ。大きさによって2円から4円だ」そういいながら骨の欠片を見せてくれたが、サンケのものか分からず、ここでも高値で売っている。

「サンケの残骸を持ってると子に襲われるって話は聞いたか?」

 店主は悪びれた様子もなく「あぁ、でもこっち大枚はたいて仕入れたんだ。喰われる前に、さっさと売りさばいて終わりにしたい」と言い、怖がる様子もなかった。無暗にあれこれ買うわけにもいかず、店を後にした。


 目立たぬ路地の少し奥に「サンケあり」という貼り紙がされた、ひっそりと佇む薬屋があった。野草堂。さっそく店に入るとすぐ、独特の薬草の香りが鼻をついた。店内は狭く、壁一面に並ぶ木製の小さな箱が目を引く。それぞれの箱には、丁寧に筆で書かれた漢字が記され、薬草や鉱物、さまざまな効能の材料が詰まっているのだろう。棚の上には調合に使われる小さな秤や臼が置かれており、どこか知的な雰囲気を醸し出している。店主は静かで落ち着いた老人で、薄い笑みを浮かべながら、「はい、いらっしゃい」と穏やかに声をかけてきた。この店は、村人にとって医者の代わりとなる、重要な場所のようだ。

「サンケ、売ってるか?」

「ないこともない。入荷待ちだ」

「入荷待ち?」

「干した内臓から滋養強壮の散薬を作っている最中でな。でもサンケのは高いよ」

「それ、本当にサンケか?」

「仕入れ元はサンケだと言っていた。まぁ羆であるのは間違いないね」

 これもまた怪しい。入荷を待って出直すと言い、薬屋を出た。


 ゲンは歩きながら「どいつもこいつも、出所の怪しい偽物ですら高値で売りやがる」と呟いた。五郎は「それが商人だ」と短く答えた。


 五郎は小さな銃砲店を見つけて「待ってくれ、弾を買いたい」とゲンを呼び止めた。

 店の名は鉄火堂。木製の扉を開けると、店内には古びた木、油、黒色火薬の混ざった独特な匂いが漂い、鼻腔を刺激する。その匂いが、この場所に長年根付いた狩猟の歴史を物語っている。重厚な体つきをした店主がゆっくりと顔を上げた。五郎は「ベルダンIIの弾が欲しい」と担いだ銃を見せると店主は無言で頷き、古びた棚の向こうに消えた。ゲンが壁に掛かっているライフルや手入れ用の器具に目移りしていると、店主が小さな紙箱を持って戻ってきた。「見てくれ」

 五郎は黙って頷き、1発1発を丁寧に手に取り、注意深く集中し始めた。銃弾の先端、薬莢、火薬の詰まり具合……五郎は目を細め、指の感触と合わせて状態を確かめる。長年の経験から、たった一発が命運を分けることをよく知っている。湿気や劣化した弾は、命の危険に直結する。

 1発づつ丁寧に確認していくと、五郎はようやく満足そうに頷いた。「よし、これでいい」と短く答え、現金を取り出した。

 購入した弾丸を、慎重に弾帯に収納していった。弾丸がしっかりと収まるたびに、五郎に微かな安心感が浮かんでいく。店主は低く、しかし敬意を込めて呟いた。「ベルダンはいい銃だが……」

 五郎の顔が店主に向けられると「もっといいのがあるぜ」と、店の奥に掛けられたライフルを目で示す。五郎はちらりとその銃に目をやった。ドイツ製のボルトアクションライフル、マウザー98。

「独逸製か」

「あぁ、春に亜米利加製のも入る予定だ」

 しかし、五郎の目はすぐに年季の入ったベルダンIIに戻った。「いや、俺ぁこいつでいい」

 使い込まれた銃身、無数の狩猟を共に越えてきた傷跡。可動部の感触は、まるで自分の一部のようにしっくりと馴染む。五郎にとってこの銃は単なる道具ではない。数々の危険な場面を生き抜いてきた信頼の証だった。狩りの成功を決めるのは、己の腕だけではなく銃と弾薬の信頼性も重要だ。その手の中でいつもの重みを確かめ、五郎は静かに微笑んだ。

 店主は「そうか。若いの、アンタはどうだい?」とゲンに話を振った。

「俺か? 銃は性に合わないんだ。昔撃ったことはあるが、反動に驚いて落としちまった」と苦笑いを浮かべた。

「すぐ慣れるさ。欲しくなったらいつでも来な。教えてやるよ」

 2人は銃砲店を出て次の商人を探し始めたが、ゲンは銃砲店に行ったことで自分が少し浮足立っていることに気づいた。やはり男として、銃に心焦がれてしまうようだ。


 ある宿の前で、ゲンの足が止まった。店内を指差して「あ、あいつ知ってるぞ。最近商売を始めたっていう旅商人だ」

 しかし様子がおかしい。その若者は茫然と座り込んで泣いており、警官が傍らに立っているのだ。ゲンは嫌な予感がしながら店内に入り「太郎じゃないか。どうした?」と声を掛けた。旅商人の太郎は肩を落として涙で濡れた顔を上げず、言葉にならない嗚咽を漏らしている。それを見かねた様子の警官が一言、「全部盗まれちまったそうだ」

 五郎とゲンは目を丸くした。生計の糧をすべて失った太郎は途方に暮れ、鼻水をたらしながら「メシ食ってる間に籠ごと盗まれました。全財産が……」と言って最後のほうは啜り泣きに溶け、悲嘆が痛いほど伝わってくる。ゲンは太郎の肩に手を置き、かける言葉を探していた。

 五郎は無言で太郎を見つめた。同情の念が沸き上がったが、それと同時に冷静な判断が頭をよぎる。今、羆と無関係である厄介ごとは避けたいのが本音だった。

「……少ないが、とっとけ」

 そう言うと五郎は懐から小銭を取り出し、太郎の手にそっと握らせた。ゲンもそれを見て幾らかの小銭を太郎に渡した。太郎は一瞬驚いたが、すぐに頭を下げ、震える声で「ありがとうございます……」と礼を言った。ゲンは「サンケの何かを持ってたか?」と優しく聞くと「骨と毛です。やっと売れそうなものを手に入れたのに……」と答えた。五郎とゲンはその場を警官に任せ、静かに立ち去った。後ろで太郎のすすり泣く声が聞こえたが、振り返ることなく、冷たい夜の中へ歩みを続けた。


 蕎麦屋で鰊蕎麦を食べながら、ゲンが「サンケの子だけじゃねぇ、人間からも狙われるのかもな」と呟くと、五郎はうんざりした顔で溜息をついた。

 ゲンは困った顔で「五郎さん、弱気にならないでくれよ」と言うと、五郎は「人間相手は難しい。正直、山奥で熊を追ってるほうが楽だ」と呟いた。ゲンもまた、確かにこの聞き込み方法では時間もかかりすぎると感じていた。この調子では埒が明かないまま夜が更けてしまう。「商人1人1人に聞いててもダメだな。元締めに聞いてみよう」


 元締めの屋敷は港から少し離れた高台に建つ、その立派な鰊御殿は、苫前の象徴ともいえる存在だった。壮麗な屋根が空高くそびえ、石垣に囲まれた敷地は広大で、その威厳ある佇まいに圧倒される。鰊漁の全盛期に築かれたこの御殿は、村に豊かさをもたらす栄華を今も醸し出している。

 しかし、鰊御殿の中に足を踏み入れた瞬間、2人はすぐに違和感を覚えた。表向きは豪勢で華やかに見えるこの屋敷も、今やどこか不自然な静けさと、張り詰めた空気が漂っている。羆騒動がもたらす恐怖と不安が、この屋敷に影を落としている。商売に与える影響は、想像以上に深刻なようだ。羆による被害が続く限り、安心して仕事に取り組むことはできない。屋敷の中での囁き声や、使用人たちの怯えた表情が、状況の深刻さを物語っていた。

 五郎が受付でサンケの残骸の卸先を聞くと、事務員は驚いた様子で「もしかして、サンケを持ってると子に襲われるっていうやつか?」と聞き返され、そのまま奥座敷に通された。

 座敷でしばらく待っていると、険しい顔をした番頭が伝票を持って来た。

 五郎はさっそく「サンケの残骸だが、小さいのに用はない。毛皮とか頭の骨とか、そういう大きい物はまだ苫前にあるのか? もう売れたのか?」

 番頭は伝票をめくって「毛皮は佐々木商店で、頭骨は吉田屋ですな。どっちも同じ船の積み荷になっています」

「船? その船はどこだ?」

「今日の夕方に出航しちまいましたよ。羆が出たから予定を早めて出発すると言ってました」

 五郎とゲンは明らかに顔を歪めた。追いかけるべき物が港を離れ、海の上を漂っているという現実が重くのしかかる。船が海を渡ってしまえば、もう追い切ることは不可能だ。苫前港は忙しい港で、船は毎日のように出入りする。

「船はどこ行きだ?」

「えーと、佐々木商店は函館で、吉田屋は青森ですわ」

 五郎は言葉を失い、ゲンは肩を落とした。

 希望の光は彼方に消えて、崩れ去った。

 番頭は2人の様子を見て「そのサンケの話ですがね、そんなの迷信だと信じない商人も多いのが現状ですな。実際、毛皮も手足も頭も、耳の早いお客人に売却済みですから、配達して終わりです。そうなれば、持っているのはそのお客人であって商人じゃございません」とあっけらかんに言ってのけた。厳しい顔つきの中に、どこか無感情な響きがあった。まるで、商売の一環として当たり前の事実を述べているに過ぎない、とでも言うかのようだった。

 ゲンは「いや、そうなんだが、そういうことじゃないんだ」と言い、五郎は「サンケの残骸を持ってたってだけでもう何人も喰われてる。早く仕留めねぇとこれからも続くぞ」と言い残して2人は外に出た。番頭はその後ろ姿を見送り、屋敷の玄関を閉めて「分かってるなら早く討て」と呟いた。

 元締め屋敷を出てから、五郎はどこか虚ろな気分だった。目的を見失ったような、追うべき道が消えてしまったような感覚が胸に広がる。海の方から船の汽笛が微かに鳴り、その音はまるでサンケが「追いかけても無駄だ」と嘲笑うかのように聞こえた。


 すっかり夜も更けてしまい、慌てて宿をとることにしたが、羆騒動の余波で営業を早めに取りやめて、どの宿屋も申し合わせたように入口を板で塞いでいる。

 寝静まった静かな宿場通りを歩きながら、ゲンは道の先にある小さな宿を指差して「あそこで盗みを働く泥棒を捕まえたのが縁でな、よく泊まるようになったんだ。サンケの討伐隊にいたマタギって言やぁ、きっと大丈夫さ」

 そこでは「浜風庵」と書かれた古びた看板が静かに揺れていた。特に目を引く装飾もない簡素な外観をしており、少々曲がった木で組まれた軒先は長年の潮風に晒されて年季が入っている。

 ゲンが戸板を叩くと、宿の主人が2階から顔を出した。「おや、ゲンさんじゃないですか」

 夜も遅く、申し訳なさそうに五郎が言葉を紡ぎ出そうとしたが、それを遮るようにゲンが先に口を開いた。「こちらはサンケ討伐にいたマタギなんだが、宿を探すのを忘れていてな」

 宿の主人は少し驚いた表情を浮かべたが、すぐにその顔が穏やかになった。

「あぁ、そんなことなら喜んで。熊撃ちがいてくれるなら安心です。ちょっと待っててください」

 しばらくして玄関の板がはずされ、2人は中に入った。簡素な作りで、受付の机も擦り切れており、壁には古い地図と海図が一枚づつ、貼られているだけだ。宿の主人は空き部屋を案内し、熱い茶と漬物も差し出してくれた。そっけない態度ながらも親切に対応してくれる。泊まる人々の疲れた顔に少しの安らぎを与える、そんな宿なのだろう。2人はその茶に口をつけて一息つくと、疲労が一気に押し寄せてきた。

 五郎もゲンも人間相手で心身ともにすっかり消耗しており、疲れた体を布団に沈めると、あっという間に眠りに落ちた。


 翌朝、熊嵐はほとんど収まり、鉛色の暗い雲が広がっている。ゲンは知り合いの商人たちにサンケに関する聞き込みを続けて、五郎は村の周囲に広がる森へと足を運んだ。

 冷たい風が木々の間をすり抜けるように、あらゆる場所に目を凝らすが、マタギとしては今回も、いい予感はしなかった。獣道に何かが通った跡はなく、樹皮の爪痕は明らかに古く、降り積もった雪はすべての足跡を隠し、ただ自分の藁靴がギュッギュッと音を立てて足跡を残すのみ。それでも諦めず何時間も歩き回ったが、結局ウサギの足跡すら見当たらなかった。


 夕方近くになると心に失意を感じながら五郎は森を後にした。何の成果も得られない1日はマタギにとって珍しいものではないが、なぜか今回はただ無駄に時間を費やしたように思えてしまう。道中、吹きつける風が妙に冷たく、迫りくる夕闇が五郎の心情を映し出すかのように広がっていく。

 雪に覆われた道をひとり歩き、視界に苫前の姿を捉えた。家々の屋根が雪に覆われ、竈の煙がいくつも上がる様子が遠くからも見て取れる。五郎は冷えた息を吐き出しながら、重い足取りで一歩一歩前進していた。


 静寂を破るように突如として聞こえてきたのは、村から響く銃声だった。五郎は瞬時に立ち止まり、耳を澄ませた。続く銃声と、叫び声。血の気が一気に引き、心臓が激しく鼓動し始める。間違いない。


 羆が村を襲っている。


 頭の中で一瞬にして、猟師や討伐隊が銃を取って必死に応戦している状況が組み立てられる。しかし、あの恐ろしい羆を相手にして、彼らだけで食い止められるだろうか。今、あの村にはゲンもいる。

「くそっ……!」

 全身の疲れが一気に吹き飛び、代わりに鋭い緊張感が肉体を支配すると、その健脚で山道を一気に駆け抜けた。

 やはり、もうサンケの残骸集めは期待できない。その原因は人間側にあった。もはや1秒でも早くサンケの子を討たねばならない。木々の間を突っ切り、雪が足元で飛び散る。叫び声と共に、銃声も一発、また一発と耳に響く。五郎は村にたどり着くまでの時間がじれったく感じられるほどの焦りを感じた。だが、その焦りが支える力となり、驚くほどの速さで山を駆け、やがて道の先に見えてきたのは慌てふためいて逃げてくる村人たちだった。皆、息を切らし、恐怖に染まった顔で駆けている。

「羆はどこだ!」と五郎が叫ぶと、返ってきた言葉は予想外のものだった。

「何、羆も出たのか!」

 お互いの一言に、お互いに驚き、言葉を失った。一瞬の混乱が頭を駆け巡る中、村人に状況を問いただした。

「じゃあ、何があったんだ!」

「猪だ、猪!」村人の声は震えていた。五郎は叫び声のする方向へ駆け出した。

 猪は、ある意味で羆より厄介である。その鋭い牙と突進力は非常に危険で、羆より小さいので弾を当てにくく、冬眠しないため冬に大きな被害を受ける地域も多い。

 村の角をいくつか曲がると、遠くのほうに、転んだ子供を背後に庇い、山刀を持って猪と対峙しているゲンの姿が見えた。猪が踏ん張って低く構えたまま動いていなかったのを見ると、まだ遠いが五郎は素早く銃を構えて1発撃った。弾丸が腹部に命中し、猪はよろめきながらも五郎を睨み、凄まじい勢いで突進してきた。次弾を装填し、狂ったように迫りくる猪との距離を冷静に見て、頭部に1発叩きこんだ。猪は疾走した勢いのまま脱力し、丸い体が前のめりにゴロゴロと転がり、雪と泥にまみれて、やっと止まった。

 猪の呼吸は荒く、幾度となく口から湯気となって出ている。五郎は銃を熊槍に持ち替え、先端を猪の胸部に当てると一気に心臓を突き、躊躇なく捻る。猪の呼吸はゆっくり小さくなり、やがて途絶えた。


 ゲンは子供を親元に帰らせ、五郎の元に駆け寄った。山刀で泥だらけの猪の体を叩きながら「さすがだな、五郎さん。やっぱり俺も銃を持とうかな」

 冬は山の食料も少なく、田畑の作物もないために村が襲われるのはよくある話で、今回の騒動が数人の軽傷者で済んだのは不幸中の幸いといえた。

 興奮した野次馬に混じって商人たちも集まってきた。「ありがとうよ、マタギさん。良かったらこの猪、ウチで丸ごと買い取るぞ!」と早速交渉に入るあたり、五郎もゲンも少し呆れてしまったが、今は羆討伐が最優先であることに代わりなく、今回もその場で買い取ってもらうことにした。

 五郎は現金を懐に仕舞いながら「あんたがた、サンケの骨か何か持ってないか?」

「あぁ、小さいのがたくさんあるよ。安くしときますぜ」

「それ、本当にサンケか?」

「……もちろんさ。信じねぇならそれまでだ。買わなくてもいい」

「そんな小さいのじゃなくて、もっと大きいやつはないか?」

「たしか骨盤や肩の骨を買ったお客人が近くに住んでるはずだ」

「本当か! 誰だ?」

「骨盤は田中さんで、肩は加藤さんだったかな」


 五郎とゲンは、田中が住む古びた一軒家の前で足を止めた。夕暮れの薄明かりが差し込む中、玄関の戸を叩いた。

 戸が開くと酒臭い息の田中が赤ら顔で出てきた。「お、熊撃ちじゃねぇか。どうしたんだ?」

「サンケの骨、まだ持ってるか? それを渡してもらいたいんだが」

 田中の表情が一瞬固まったが、すぐに冷たく笑い飛ばした。

「何言ってんだ。こっちゃ大金はたいて買ったんだぞ。今もそれを見ながら飲んでたんだ。もうウチの家宝だ!」確かに高い金を出して買った物を今すぐ渡せと言われて納得はしないだろう。

 しかし、サンケの残骸である。

「いくらなら買い戻せる?」

「……よし、五百円持ってこい!」

 途方もない高額に五郎がうんざりした表情を見せると、ゲンが「田中さん、その骨な、それは危ねぇんだ。サンケの子を引き寄せて、もう何人も喰われてる。あれを持っているとアンタも羆に喰われちまうよ」と加勢した。

「あ? あんたら、俺を脅すつもりか? 冗談じゃない! よし、どうしても欲しけりゃ千円だせ!」

 田中の声が次第に高ぶっていき、2人はやむなく言葉を引いた。こんな状態では、これ以上話を続けても意味がない。五郎は「もういい。その代わり羆に喰われても恨むなよ」と言って2人は田中の家を後にした。ゲンもまた辟易した顔で「良かったのかい?」と呟き、五郎は「まぁ仕方ねぇ。あれじゃぁ何言っても無駄だ」と答えた。


 続いて加藤の家につき、玄関から顔を見せた男は、どこか怯えている表情で五郎とゲンを見た。

 ゲンは「加藤さん、サンケの骨、持ってるんだって?」

「いや。捨てた」

「え?」

「熊に喰われたくねぇ」

「どこに捨てた?」

「灰になるまで焼いて海に捨てた! これ以上関わりたくねぇ!」そう言いながら、すでに玄関を閉めかけている加藤に、五郎は「それでいい。命拾いしたな」と言うと一瞬戸の動きが止まったが、そのまま静かに、閉められた。戸の向こうにまだ加藤の気配がするので、五郎はゲンに言うように「ま、ウソ言って隠し持ってりゃ、喰われるだけだ」と聞こえるように言って家を後にした。


 日が沈み、浜風庵に戻ると玄関先の一画を埋めるように籠や袋が集められており、宿の主人と数人の討伐隊が不安な表情を浮かべていた。どうやらサンケの噂話が広まったらしく、それを恐れた人たちが自主的に羆の骨や毛皮を持ってきてくれたようだ。この協力は嬉しかったが、同時に困難も呼び込んだ。なぜなら、明確に羆のものではない物や、羆ではあるがサンケのものかわからない物ばかりで、正直、どうにも判断できない。そのくせ、大きな毛皮や骨がない。

 宿の主人はこの光景を見つめ、眉をひそめた。「まさか、この宿が羆に襲われるんじゃないだろうな?」そう呟く声には確かな恐れが滲み出ていた。確かに、これを嗅ぎつけた羆がここに来て暴れないとも限らない。五郎もゲンも無言のまま、何と答えようか考えた。

「すまない……」

 五郎は、低く静かな声で宿の主人に向かって頭を下げた。「迷惑をかけるつもりはないが、今夜だけはどうか我慢してほしい。明日、全部古丹別に持っていく」

 ゲンも主人に深く頭を下げた。「申し訳ないが、これで羆を引き寄せて仕留めるしかないんだ……」

 宿の主人はしばらく籠と袋を見渡すと、踏ん切りがつかない様子で歩き回り、何度も溜息をついた。

 すると討伐隊が「噂の羆が来るとすればここなんだな? なら今夜は俺たちがここで見張るってのはどうだ?」という提案をした。五郎とゲンは思いがけない提案に驚いたが、ゲンは討伐隊の心を変えないよう「頼む! 今夜だけでいい!」と懇願した。宿の主人は泣きそうな声で「羆が来たらここに突っ込む前に撃ち殺してくれよ……」


 夜の静けさは再び戻ったが、宿の周囲には緊張感が漂っていた。2人は布団の中で目を閉じつつも耳を澄ませ、遠くで木々を揺らす風の音にすら神経が集中してしまう。もはやここは、いつ羆に襲われてもおかしくない。ゲンは五郎の枕元に銃があることを何度も確認してしまう。


 討伐隊の当直は警戒しつつ集められた籠と袋を眺めていると、軒並み「この件が片付いたら返してくれ」と書かれた、商店や持ち主の名札がついており「調子のいいことばかり抜かしやがる」と指で弾いた。名札のない袋もあり、ご愛敬という名目で何か失敬したい気持ちに駆られたが、それが原因で羆に喰われたらと思うと、全く食指は動かなくなった。


 明け方、まだ薄暗い空の下で五郎とゲンは浅い眠りの中にいた。ここ数日の疲れが取れず、しばしの間、意識の奥に身を沈めていたが、その静寂を破る急な足音が近づいてきた。部屋の戸が激しく開かれ、主人の焦った声が部屋に響いた。

「大変だ! 古丹別にクマが出た!」

 その一言で2人は一気に目を覚ました。飛び起きて枕元のマタギ装備に手を伸ばし、五郎は「よりによって古丹別か」と呟きつつ、手早く着替えて銃を抱え、玄関に走ると討伐隊が叫ぶ。「この籠は俺たちが何とかする! 早く行け!」

 2人が外に駆け出し馬橇に飛び乗ると、ゲンは手綱を強く握って鋭い掛け声をかけた。馬は全力で走り出し、朝靄として漂う冷たい空気を切り裂くように突き進んだ。冷気が顔を叩いて服の隙間からも入り込むが、2人はその冷たさを感じている余裕すらなかった。


 馬橇の振動が腕に伝わり、雪を蹴散らしながら急ぐ中、遠くから響く銃声が耳に届いた。数発、連続して空気を震わせるように響くその音に、胸の中に緊張が走る。古丹別ではすでに戦いが始まっているのだ。

「間に合うか……」そう思いながらも、ゲンは手綱をさらに引き、馬の速度を上げる。

 雪道を駆け抜けていくと、古丹別から逃げ出した村人が馬橇に乗って走ってきたのが見えた。

「ゲン! 羆だ! 駐在所がやられた!」と叫ぶその声に、ゲンは全身の毛が総立ちになった。「……正吉が!」

 駐在所にサンケの残骸が集められていたことを考えると、不思議ではない。それに今は討伐隊の本部になっていて銃を持つ者が多く、羆も無事では済まないはずだ。


 たどり着いた駐在所は、扉が無残に壊されて血と肉片だらけの惨状が広がっている。羆は逃走したようで、姿は見えなかった。腰が抜けて放心状態の若い討伐隊員が血と汗にまみれ、途方に暮れた状態で銃を抱えて座り込んでいる。

 重軽傷者多数、殺された犠牲者は数人の討伐隊員と隊長、そして、正吉だった。

 一見してすら分かりにくいが、ゲンは呆然自失で血まみれになりながらしゃがみこみ、床に散らばった正吉と思われるを拾い集めた。

 しかし下半身の半分も揃わないことが分かると、視点が定まらぬまま瞬きもせず、動かなくなった。


 やがてゲンは突然発狂したように叫び声をあげた。その声はまるで山を裂くように強烈で、冷たい冬の空に響き渡る慟哭だった。落ちている銃を拾い、手あたり次第に撃ちながら森に駆けだすゲンを、五郎は目を見開いて追いかけ「おい! 誰かゲンを止めろ! 止めてくれ!」と叫んだ。村の男たちが必死でゲンにしがみつき、暴れるゲンを何とか雪と泥の地面に押さえつけた。

「どけ! アイツをぶっ殺してやる!」

 五郎は銃を取り上げるとゲンを平手打ちし「しっかりしろ! お前も喰われるだけだ!」

「何で! 何で正吉なんだ! あいつが何をしたっていうんだ!」ゲンは拳を地面に叩きつけ、涙とともに声を振り絞った。その肩は怒りと悲しみで激しく震え、止まらない。

「とにかく……落ち着け」

 五郎の声には、悲しみも怒りも深く理解したうえでの、冷静さがにじみ出ていた。自身もまた幾度となく同じような場面を見てきた。家族を守れなかった者たちの慟哭と、胸をえぐる悲しみ。それがどれほどのものか、痛いほど知っている。

 五郎が「今、お前がここで取り乱しても何も変わらない。家族が戻ってくるわけじゃない」と説き伏せ、その言葉に鋭く胸を突かれたゲンは泣き腫らした目を向け、言葉にできない感情の渦で拳が震えた。その拳をもう一度握りしめ、何とか自分を抑えようとする。「俺が……苫前に行かなければ……ここにいれば……」声が途切れ、ゲンは湧き上がる感情に耐えきれず、泣きながら嘔吐してしまう。

 五郎は背中をさすり、見守り続ける。言葉をかけすぎないことも重要なのだ。

 ゲンはしばらくの間、息を乱しながら、震える自分を必死に抑え込んでいた。自暴自棄が全身を突き動かそうとし、それを必死に抑える姿は痛々しかった。拳が再び力なく雪の上に落ちたとき、涙はようやく静かに止まった。「正吉……」


 五郎は残った討伐隊員と目撃者である村人たちを集めて、何があったか詳しく聞くことにした。

「夜明け前に羆が襲ってきたんだ」

「森から飛び出してあっという間に駐在所に突っ込んでな」

「駐在所で暴れて、逃げる正吉を追いかけた」

「それを見た隊長が庇うように間に入ったが、一撃でやられちまった」

「正吉もそのあとすぐにやられた」

 ゲンは「正吉を追いかけ……? ……!」ハッと思いついたように正吉の亡骸に駆け寄り、所持品を調べると、小さな巾着袋から歯の首飾りが出てきた。「春子の首飾りだ! なんで正吉が……」

 放心状態だった討伐隊員が静かに「それ、正吉君が私たちに見せてくれましたよ。死に際にお守りとして渡されたと言っていました」

 その話を聞いたゲンは顔面蒼白になり、全身の力が抜けて嗚咽を漏らしながら倒れた。

 

「しかし、あのクマは恐ろしい。撃たれてもお構いなしだった」

「何発か当たってるはずなのに、怯むことなく暴れ回って森に逃げた」

 それを聞いた五郎は村の外れで、ひたすら泥と雪の混ざりあう地面に目を凝らし、羆の足跡と血痕を探し始めた。時間が経てば経つほどこれらは雪に埋もれてしまう。見失えば追跡は絶望的だ。風が冷たく吹きつけ、雪が絶え間なく降り積もる。心の中で焦りを感じつつも、五郎は、地面を見つめながら慎重に一歩一歩進んでいった。ふいに、雪に埋まりつつある赤黒い血痕が目に飛び込んできて五郎の目が鋭く光る。それは間違いなく、森に点々と続く唯一の血痕だった。その大きさは色は不安定で、羆の体毛についた被害者の血でもあった。

「これだ!」

 五郎は空を見上げ、降雪が続きそうな悪天候であることを確かめた。ようやく見つけた希望が雪に埋もれる前に、追わなければならない。五郎は急いで駐在所に戻ると、慣れた手つきでマタギ装備一式を整え始めた。野良着に袖を通し、袴を履き、素早く脛宛てを足に巻き直す。ワラジをしっかりと締め、毛皮を纏い、頭には手ぬぐいを巻く。弾帯を腰にきっちりと締め直し、背中に蓑を背負い、しっかり笠を被る。これらの動作は、長年何度も繰り返してきたものだ。まるで体が勝手に動いているかのように、一つ一つの動きに迷いがない。今では目を閉じていてもできる。その無駄のない動作に、そばで見ていた討伐隊と猟師たちは思わず息を飲む。「五郎さん、どこに行くんだ? まさか……」

 五郎は最後に銃の装弾を確認し、肩に担ぐと「今なら追える。みんなはここで待ってろ」

「いや、待ってくれ! 俺たちも行くぞ!」

 討伐隊と猟師たちが集まってきた。

「こんなにされて、ここで待ってろはないだろ?」

「そうだ、ここまできたら弔い合戦だ!」

「待ってても、いずれまた襲ってくるんだ。それならいっそ、こっちからやっちまおう!」

 皆がこぞって準備を始める中、一刻を争う五郎はそれすら待たずに出て行こうとすると、そこにゲンが現われて五郎の前に立ちはだかった。ゲンは妙に落ち着いた表情で、五郎の足元にひざまずいた。

「五郎さん、みんな……さっきは悪かった。頼む、俺も連れて行ってくれ。このとおりだ」と地面に頭を押しつけ、土下座した。震える声には、無理やり押さえつけられた絶望と怒りが混じっている。家族を羆に奪われた男。まだ幼い子供と妻が無残な野獣によって命を絶たれた悲しみは、筆舌に尽くしがたいほど深いものだ。気持ちはわかるが、復讐のためだけに山に入ることは、命を落とすのと同義である。皆、無言でゲンを見つめていた。

 肩を微かに震わせながら、いつまでも土下座する姿をさすがに見かねた周囲が労っていると、五郎はその様子を見て「ゲン、顔を上げな」五郎はゲンの目を見た。そこには、全てを失い完全に追い込まれた者の執念と決意があった。

「来い」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る