第7話 首都サーファイ

シュバルツァーvsボイザックの戦いが終了した。するとタイミングよく魔法陣が再び出現するとその中からカリエスが登場した。


「まさかあんな魔法を考えていたとはね・・・ただ若返るだけじゃないね?今のは何ていう魔法だい?」


どうやらカリエスは自宅からシュバルツァーの戦いを見ていたらしい。そしてそんなカリエスの質問に答えるのは元の子供の姿に戻ったシュバルツァー。


「あれは・・・そうじゃのう・・・至極エクスゼロとでも名付けようかのう・・・」

至極エクスゼロねえ・・・大方ただ若返るだけでなく鍛えた分をプラスして若返るって感じかい?」


通常の若返りの魔法は外見だけでなくすべてがその年齢に若返る。それは身体能力もそのに戻る感じ。しかしそれをシュバルツァーはに感じた。それは普通の状態でいくら鍛えようが全盛期の若い身体にはなにも効果が表れない。いわば鍛えたところで無駄という事になる。


仮に鍛えた結果全盛期を超える身体能力を手に入れればシュバルツァーとしては若返りの魔法は何の意味もなさない無用な魔法に成り下がる。しかし魔法は想像できることはすべてできると言われているほどの無限の可能性を持ったモノ。


そこで考えたのが普通の状態で鍛えた分が若返ってもプラスされて反映される若返りの魔法だった。


「***っと言った感じかのう・・・」

「はあ・・・なりたい年齢に成れるってだけで意味のある魔法なんだがね・・・」


今2人はカリエスの自宅にてコーヒーを飲みながら談笑している。


「それで?あんたこれからどうするんだい?」

「う~む・・・どうやら四凶カラミティが復活したことは本当のことのようじゃからのう・・・とりあえず報告はしておく必要があるじゃろうな・・・」

「だろうね。まあその時は一緒に行ってあげるよ・・・どうせまた四凶カラミティをぶっ潰しにいくんだろう?」

「うむ、そのつもりじゃよ。今度はついて来てくれるのかの?」

「ああ・・・ちょっと気になることもあるからね・・・」


そう呟くカリエス。その表情は怪しむような表情となっていた。そしてなにを怪しんでいるのかシュバルツァーには分かった。


「あやつにはがあったからのう」


あやつとは当然ボイザック・ボイラーの事。ボイザックと戦っていたシュバルツァーには違和感があったようだ。そしてそれはカリエスも同じ思い。


「【巨獣の魔人】ボイザック・ボイラー、ねえ・・・噂すら聞いたことがない・・・あんな目立つ魔法ならどこかで噂になっていてもおかしくないはずだ・・・」

「それにあやつは感じがした・・・まるで急に強い力を手に入れたばかりのような・・・上手く使いこなしておるとはとてもではないが言えんかった・・・」

「・・・四凶カラミティ・・・かつては世界を裏から支配した闇組織・・・きな臭くなってきたね・・・」


2人は怪しみながらも数日後には列車に乗ってブルークリスタル王国の王都サーファイに向かった。


「いやはや・・・便利なもんじゃのう・・・座っているだけで王都まで数時間で着いてしまうとは・・・儂が若いころは馬車でも数日かかったもんじゃ・・・」

「私が若い時はブルークリスタル王国自体が無かったよ」

「ほっほっほ・・・桁違いのババアがここにいたのう・・・」


ジュギュン!

ギジャン!


暴言を吐いたシュバルツァーに向かって飛んでくる氷魔法。シュバルツァーは列車に被害が出ないように白剣にて粉塵レベルで斬り裂いた。


「・・・こんな場所でなんちゅうことを・・・」

「・・・ふん・・・」


そこは列車の中で最高級のファーストクラス。そこに乗るには高額の料金を払わなければならないが、世界を救った剣聖と千年以上を生きる【氷結の魔人】であれば楽に払えるだけの料金でしかない。


そして2人は2人しかいないファーストクラスにて最高級のサービスを受けながら優雅にブルークリスタル王国王都サーファイに向かった。

/////

プシュー!


≪王都サーファイ。王都サーファイでございます。お出口は右側でございます≫


列車が到着し2人は王都サーファイにある王宮に向かう。


「しかしなんのアポもなく国王に会うのは元天騎士としては気が引けるのう」


バクバク

ゴクゴク


「・・・それが気が引けてる奴の態度には思えないけどね・・・」


現在2人はブルークリスタル王国の国王に会い四凶カラミティの復活など諸々もろもろを報告しようとしていた。しかし当然国王に会おうとすれば本来ならば何週間も何カ月も前からアポを取って許可されて初めて謁見が可能というそれが通常であった。

さらに言えばシュバルツァーは元天騎士として国に国王に仕えていたために今回の不作法が気が引けると言っていた。


シュバルツァーの手にはそんな言葉とは裏腹に片手にはアメリカンドッグのような。もう片方にはが。


「ぷはぁ~!美味しいのう!このは!は相変わらず美味いものを作る奴じゃなぁ~」

「感慨に耽るのは後にしな。ほら行くよ」

「おお!なんじゃ美味しそうなにおいがするのう!」


そうしてフラフラと別の方に行きそうになるシュバルツァーを縛りながら王宮へと向かうカリエス。


普通であればアポも何もとれていないならば門番をしている騎士によって門前払いが当たり前だが、


「これはこれはカリエス様!何か御用でしょうか?」

「ああ、今代の国王に用があってね。入っていいかい?」

「もちろんでございます!カリエス様!」


カリエスは千年以上を生き最強の魔人の1人に数えられるほどの実力者。その機嫌を損ねないように特別扱いをするのは当たり前だった。しかし2人いる門番のもう1人がシュバルツァーについて質問する。


「あの~・・・カリエス様?つかぬことをお伺いしますが・・・この少年は一体?・・・まさか・・・カリエス様のお弟子さんでしょうか?・・・」


カリエスが見たこともない子供を連れているために疑問に思っての質問だった。


「儂の事か?儂は「そうだよ。私の弟子だよ。ほら行くよ弟子」・・・ほ?・・・」


そう言って真実を言わないままに手を引かれ王宮の中へ。


「どうして真実を言わんのじゃ?儂がシュバルツァーであると」

「真実ではあるだろう?私があんたに魔法を教えたんだから」

「まあ、それはそうじゃがな」

「それにいちいち説明が面倒だろう?あんたが子供になった理由も分かってないしね。だからこれから面倒なときは私の弟子で押し通すよ」

「ふむ・・・まあ、面倒が無くなるのであれば何でもよいか・・・」


こうして面倒を避けるために最強の魔人の弟子を名乗ることにしたシュバルツァー。

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