第8話 報告
シュバルツァーとカリエスはブルークリスタル王国の首都サーファイにやってきた。目的は王宮にて国王に
「こちらでお待ちください。もう間もなく陛下がいらっしゃいます」
そう言って案内の執事が去って行った。カリエスが王宮にやってきた事は魔法にてすぐさま国王に知らされるとカリエスを最高級の客間に通し会議を中断して急いで向かっている。
「ふうむ・・・儂はカリエスの弟子という事で黙っていようかのう・・・」
「なんだい?説明を私に任せるつもりかい?」
「お主が先ほど言ったんじゃろう?」
先程シュバルツァーが子供の姿というのはいろいろと説明が面倒になるために極力"カリエスの弟子"と言う事でゴリ押すことに決めた2人。国王や貴族には子供がシュバルツァーであることは黙っていようと決めた。
ガチャ
扉が開かれると何人もの貴族や騎士が押し寄せる。そして先頭にいるのがブルークリスタル王国の国王であるアーギン・レイナルド。60代であり髭を蓄えた人物。
「突然の訪問ですねカリエス様・・・今日は一体どのようなご用向きで?」
「ああ、きょうはちょっとね・・・報告しないといけないことが出来たんで寄らせてもらったよ」
「なるほど・・・しかし初めて聞きますな~・・・カリエス様に弟子が出来たというのは・・・」
そう言ってその場にいる一同は椅子に座り紅茶を飲む子供=シュバルツァーを見る。すると、その中の1人で国王アーギンの後ろにピッタリとついてる騎士がじいっとシュバルツァーを見つめる。その者は全騎士の頂点である天騎士である。
「ほっほっほ・・・そこの若いの・・・どうしたんじゃ?」
その一言にカリエスはため息を吐く。
「(若いのはあんたの方だろう・・・こいつ隠す気が全くないね?)」
そして呼ばれた天騎士はじいっと見つめたままシュバルツァーに近づいていく。それに対して不審に思う国王をはじめとした貴族たち。
「どうした?アルケイド?」
その国王の自分を呼ぶ声で我に返る天騎士。
「あ、ああ・・・失礼いたしました・・・・・・あの?もしかしてですが・・・先生、ですか?」
天騎士アルケイドの言う先生とは前任の天騎士であるシュバルツァーの事。アルケイドはシュバルツァーが天騎士だった時の部下でありいろいろと教えていたうちの1人でもある。故にかアルケイドは子供がシュバルツァーであるとズバリと言い当てた。しかし周囲にいる者でそのアルケイドの発言を信用する者はいない。
「何を馬鹿な・・・アルケイド殿は何を言っているのか」
「そうですぞ?そのような子供と我が国の剣聖シュバルツァーをどうすれば間違うのですかな?」
「貴殿がそのような冗談をおっしゃるとはな」
「しかし今はカリエス様の御前です。そう言った冗談は控えていただきたい」
口々にそうアルケイドに言う貴族たち。すると国王が少し考えてカリエスに問いかける。
「・・・カリエス様?もしやシュバルツァーに魔法を使用しているのですか?・・・」
「・・・いいや。シュバルツァーに魔法を使ったりしていないよ・・・」
「そうですか・・・アルケイド?儂には子供にしか見えん。お前にはシュバルツァーに見えているのか?」
「あ、いえ・・・そういうわけではないのですが・・・なんとなくシュバルツァー様に感じてしまって・・・変なことを言ってしまい申し訳ございません!」
そう言って国王アーギンに頭を下げて謝罪する。その時にカリエスはシュバルツァーを見る。どうするのかと。そこでシュバルツァーはバレたという事もあり真実を話すことに。
「とりあえず国王。人払いを頼もうかね。内密な話だ。ああ、そこの騎士はいていいよ」
そう声をかけて国王と天騎士のアルケイド以外を下げさせる。そして部屋にシュバルツァーとカリエスを除き国王とアルケイドの2人のみとなった時に正体を明かすシュバルツァー。
「久しいのう・・・アルケイド。ピーニャは息災かの?」
ピーニャとはアルケイドと同じくブルークリスタル王国に在籍し魔人となり回復魔法隊の隊長を務める人物でありアルケイドの奥さんである。
「まさか・・・やっぱり先生なんですね!」
「うむ、その通りじゃ。こんな姿になってしまったがのう・・・ほっほっほ」
「先生!お久しぶりです!」
そう言ってアルケイドはなぜかすぐに飲み込んだがいまだに信じられていないのは国王のアーギンだった。
「・・・これは・・・カリエス様?・・・」
「ああ、あいつがシュバルツァーで間違いないしもちろん魔法を使ってるわけじゃない。あいつは老人の姿から子供の姿になっちまったんだよ」
そこからアイギスとアルケイドに説明をするカリエスとシュバルツァー。それは魔法に目覚めたところから魔人に至り何故か子供となるところまで。
「・・・それは・・・その・・・あり得るのですか?」
「まあ、あり得るんだろうねぇ・・・目の前にありえた奴がいたからね・・・」
「これはカリエス様でも原因は分からないのですか?」
「・・・悔しいが何をどう調べようとも何にも分からなかったよ・・・ハッキリ言うとお手上げだね・・・」
「・・・カリエス様でも理解できないことが・・・」
絶句する国王アーギンとアルケイド。しかしカリエスはため息をつきながらも笑い出す。
「ふっ・・・くっくっく・・・これだから魔法は面白い・・・」
その笑みは国王として様々な者と相対してきたアーギンと様々な強者と死闘を繰り広げてきたアルケイドをして気圧されるほどの者だった。
「魔法狂いの本性が出ておるぞ~」
しかしそんな中でも全くと言っていいほどに気圧されていないのがシュバルツァーだった。
「・・・ごほん・・・報告はシュバルツァーの事だけじゃないんだよ・・・」
「まだ何かおありなのですか?」
アーギンが問いかけるとアーギンとアルケイドの予想を超える言葉が返ってきた。
「・・・
これによりかつての世界最大の闇組織:
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