第15話
「あ、これかわいい.....これもかわいいな.....」
アリシアさんは水着を手にとってはもとに戻してを繰り返している。まだ時間がかかりそうなので先にイリスちゃんの水着を見ることにして子供用の水着コーナーに移動した。
「好きなの選んでね。私も手伝うけど。」
「うん!」
子供用の水着はワンピース型の水着がほとんどだけどいろんな色があってカラフルだ。イリスちゃんは一応人間じゃないから肌は真っ白で髪も真っ白だから黒色の水着が似合いそうだな。できるだけ日焼けとかしにくいように布面積の大きいものを選ぼうかな。
「これかわいい。」
イリスちゃんがそう言って手に取ったのは黒いワンピース型の水着で白いレース生地の袖がついていた。
「いいんじゃない。サイズは?」
イリスちゃんから渡してもらって確認すると130センチくらいの子用の水着だった。そういえばイリスちゃんの身長っていくつ何だろう。身長を測れる器具が無いか周りを見ていると店員さんに声をかけられた。
「どうされました~。」
「この子の身長を測りたいんですけど、ありますか?」
「はい。こちらへどうぞ。」
店員さんについて行くとレジの横に身長計があった。
「イリスちゃん。靴脱いで立って。」
ピンと背筋を伸ばしているイリスちゃんの頭に横規をゆっくり降ろして測ると129.5cmくらいだった。じゃあこれで良いかな。
「本当にこれでいい?」
「うん。」
「じゃあアリシアさんのとこに戻ろ。他に気になったのあったら私に言ってね。」
アリシアさんのところに戻るとまだ悩んでいた。
「まだ悩んでるの?」
「はい.....二択には絞れたんですけど....」
そう言うアリシアさんの手には布面積の小さいビキニとフリルとかボトムはスカートっぽくなってるビキニがあった。
「なるほどね。布面積が小さい方にしようとしたけど、さすがに恥ずかしいんだ。」
「そうなんです....ってなんでわかるんですか!?」
アリシアさんは顔を赤くする。
「前に言ったでしょ。目が良いって。」
「隠し事はできないですね。」
アリシアさんはそう笑った後私の方に水着を突き出してきた。
「どっちが似合うと思いますか?」
「左。」
私は私から見て左。すなわちアリシアさんの右手に持たれている布面積の小さい方を即答した。
「...一応理由を聞いても?」
「好きな方を来た方がいいでしょ?」
そうは言ったがほんとはただアリシアさんに布面積の小さい方を来て欲しいだけだ。
「本当は?」
私の分の水着を選ぼうと振り返った私にアリシアさんが聞いてきた。
「それだけじゃないですよね?」
まるで私の心を読んだかのようにアリシアさんが問い詰めてくる。
「......布面積が小さい方がいいから。」
恥ずかしさからぶっきらぼうに言うとアリシアさんは満面の笑みを浮かべた。アリシアさんは絶対さっきの仕返しをしたかっただけだ。
「なんでわかったの。」
「ふふ。沙月さんは私以外の心も読めちゃうかもしれないですけど私は沙月さんだけ読めますから。」
「隠し事は通じなさそうだなぁ。」
「だって貴女の恋人ですもん。」
そうドヤっとした顔をするアリシアさんが愛おしくて、でも少し恥ずかしくて顔を背ける。でもアリシアさんは私が恥ずかしくて顔を背けたのがわかってるんだろうなぁ。
そのあとイリスちゃんにも手伝ってもらいながら私の水着を決めた。
「ありがとうございましたー。」
水着を買い次のお店に向かう。エスカレーターに乗って一つ上に行くと真正面に目的のお店があった。テントやバーベキューコンロが置かれているこの店はキャンプ用品の専門店だ。
「いらっしゃいませ。何をお探しで?」
「今度キャンプに行くのでその準備を。加賀さんはいらっしゃいますか?」
「はい。おりますが.....」
「沙月です。とお伝えいただけますか?」
「沙月様ですね。かしこまりました。」
店員さんが呼びに行っている間に少しキャンプ用品を見る。最近のキャンプはすごいな。見たことないものがいっぱいある。
「キャンプってなぁに?」
「あ、私も気になります。」
「キャンプはね。山とか海に泊まりに行くんだ。日中は遊んで夜はお肉をやいたり、安全な道を歩いたりするの。」
「楽しそう!」
「海に行くんですね?」
「そう。だから水着を買ったの。」
「沙月さん!」
名前を呼ばれた方を振り返るとパーティーで会った加賀さんがいた。このお店は加賀さんが経営するお店の一つで今日加賀さんがいるかは怪しかったけどいてくれてよかった。
「今度海でキャンプをするのでいろいろ揃えに来たんですよ。」
「そうなんですか!ご足労いただきありがとうございます。」
「一応コテージはあるのですが必要なものを教えて欲しくて。」
「成程。でしたら奥で伺いますよ。アリシア様もお久しぶりです。」
「お久しぶりです。加賀さん。」
「そちらのお嬢様は?」
「私はイリス!」
「イリスちゃんね。イリスちゃんはジュースは好き?」
「うん!」
奥の部屋に通されると加賀さんは私たちにはコーヒーとイリスちゃんにジュースをくれた。
「ありがとうございます。」
「いえいえ。瀬名家はお得意様なので。」
「今年もやるんですかね。」
「そのようですよ。」
私のお父さんは大のキャンプ好きで夏にはよく会社の人たちとキャンプをしている。その時に加賀さんの経営しているこのお店でいろいろ揃えたりしているのだ。
「それでコテージですと寝袋は不要ですかね。」
「あー寝袋かぁ。イリスちゃん使ってみたい?」
「寝袋!イリス知ってる。使ってみたい!」
「イリスちゃんは物知りだね。じゃあ寝袋を4つください。子供用と私のサイズのものを3つで。」
「はい。かしこまりました。こちらにカタログがございますのでどれが良いかお決めください。」
カタログを見ると色だけでなく形にも違いがある。
「夏ですとこの封筒型というのがおすすめですね。」
「なるほど......」
よくわからないけどそれでいいかな。
「じゃあそれでお願いします。色決めてていいよ。」
イリスちゃんたちにカタログを渡して色を決めててもらううちに私と加賀さんで話を進めた。
「じゃあすぐに準備しますね。」
一通り話がついて食材とかも手配してくれることになった。加賀さん様様だ。
「お願いします。」
「ご自宅にお届けでよろしいですか?」
「はい。」
キャンプの日は運転手さんの手配をお父さんに頼んであるので大丈夫だ。
「じゃあよろしくお願いします。」
「はい。承りました。」
これで一応今日しておきたかったことは終わった。
「二人はなにか欲しいものある?」
「んー。ちょっと暑いからアイス食べたい。」
「私は大丈夫です。」
「じゃあアイス食べに行こうか。」
ショッピングモールのフードコートにあるアイス屋さんでアイスを食べてショッピングモールを出てまたタクシーを拾って家に戻った。
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