第14話
「うー、寒い....」
エアコンの温度設定を下げすぎたまま寝てしまったからか体が冷えている。無意識で暖を求めた私は隣でまだ寝息を立てているアリシアさんにくっついた。冷えた体がアリシアさんの体温で温められていく。
ついつい アリシアさんに第ついているのがが心地よくて2度寝してしまいそうになる。時計を見るともう6時をすぎていたので起きてイリスちゃんが起きてくる前に朝ごはんを作らないと。
起きるためにアリシアさんから離れようとするとそれよりも強い力で抱き寄せられた。
「わっ。」
ゴツン。と私の頭となにか固いものが衝突した。なんだろうと振り返るとアリシアさんが頭を両手で抑えていた。
「いったぁ....」
私の頭とアリシアさんの頭がぶつかってしまったようだ。
「大丈夫?」
びっくりして一気に目が覚めた。しばらくアリシアさんは頭を抑えていて相当痛かったのか目には涙が浮かんでいた。
「で、どうしたの。」
リビングに行き、アリシアさんにコーヒーをだす。私は朝ごはんのホットケーキの記事を作りながら聞いた。
「紗月さんが私の方に寄ってきたときにたまたま起きて、紗月さんが気づいてなさそうだったので驚かそうかと....」
恥ずかしいのか顔を手で覆いながら言った。まぁそんなアリシアさんもキュートだけど。
「もー。いきなり変な事するんだから。それで頭はもう痛くない?」
「はい、大丈夫です......」
ホットケーキの生地ができたので一度手を洗ってからアリシアさんの頭を確認する。
髪を避けて確認したけどたんこぶとかもできてなさそうだ。
「そろそろイリスちゃんが起きてくる時間だからホットケーキ焼いちゃおうか。手伝ってくれる?」
「もちろんです。」
アリシアさんにホットケーキを焼くのを任せて私はサラダとか付け合わせの物を作っていく。ちらいりと横を見るとアリシアさんはいつホットケーキをひっくり返そうかフライ返しを片手にタイミングをうかがっていた。
「生地に空気の穴が開いてきたらひっくり返すといいよ。」
「はい。」
私のアドバイス通りにアリシアさんは生地にぽつぽつと穴が開いてくるのを待ち、そっとフライ返しを下に潜り込ませ勢いよくひっくり返した。
ホットケーキはこんがりときつね色に焼けていた。
「上手、上手。」
アリシアさんを褒めているとリビングの扉が開いてイリスちゃんが起きてきた。
「おはよ。イリスちゃん。」
「おはようございます。」
「おはよ~。」
イリスちゃんは眠そうな足取りでトタトタと歩いて自分の椅子に座った。
「女神様は?」
「女神様はやることがあるって手紙が置いてあったよ。」
イリスちゃんは手に持っていた紙を広げて見せてくれた。達筆な字で出かけるので朝ご飯とお昼ご飯はいりません。と書かれていた。
「イリスちゃんお腹減った?」
「うん。」
「じゃあ用意するね。」
私の分のホットケーキを焼いている間にアリシアさんとイリスちゃんのホットケーキをテーブルに置いて蜂蜜を上からかけた。イリスちゃんのホットケーキは私がカットしておく。
「おいひい!」
イリスちゃんはホットケーキを頬張りながら言った。
「喉に詰まらせないでね。」という私の注意が届いているか怪しいほどにバクバクとホットケーキを食べ進めている。
「美味しかった!」
「はや。」
私のホットケーキが焼ける前にイリスちゃんは食べ終えてしまった。ただお皿に盛りつけられたサラダには全く手を付けていなかったけど。
「サラダも食べてね。」
「ん~。」
イリスちゃんはいやいやサラダを食べ、しっかりと完食してくれた。
「食べれた!」
報告してくるイリスちゃんの頭を撫でて私は冷蔵庫で冷やしておいたフルーツポンチを取り出した。
「ご褒美のデザートだよ。」
「やった!」
「ごめん。待たせた。」
私のホットケーキが焼けるのを待ってくれていたアリシアさんにお礼を言いつつ椅子に座る。蜂蜜をかけて切り分けて口に運んだ。フワフワに焼けていて美味しい。最近甘いものを食べる頻度が増えた気がする。体重には気を付けないと。
ただ目の前にあるホットケーキの誘惑には勝てず、結局もう1枚焼いてアリシアさんと半分こして食べた。
「さて、この後どうしようか。」
女神様もいないんじゃあイリスちゃんも暇するだろうし、どこかに連れて行きたいな。アリシアさんも楽しめそうなとこ.....そうだ!
一つひらめいた私は二人に外出用の服に着替えてくるように頼んだ。
数十分後、私がイリスちゃんに日焼け止めを塗っているとアリシアさんがしてほしそうに見ていたのでアリシアさんの首や顔に日焼け止めのクリームを塗る。くすぐったくて動き回っていたイリスちゃんとは違ってアリシアさんはじっとしていてくれたので塗りやすかった。....くすぐったいのを我慢してたのかプルプルと震えていたけど。
エントランスでタクシーを待っていると到着したと連絡が入ったので外に出る。日差しが強くてやっぱり日焼け止めを塗っておいて正解だった。タクシーに乗り込むと社内は涼しくて快適だった。
「どこに向かってるの?」
タクシーが出発してから少し後にイリスちゃんが聞いてきた。
「今日はね。お買い物に行くの。」
「お買い物?何を買うの?」
「それはついてからのお楽しみだよ。」
ロータリーでタクシーから降り、近場で一番大きいショッピングモールに到着した。
ショッピングモールの中は私たちと同じように夏休み中の学生や親子連れで賑わっていた。
何とか人混みの中を進んで目的のお店にたどり着いた。
「今日は水着を買うよ!」
向こうの世界には水着という概念がないからぽかんとしている2人の手を取って水着ショップへと足を踏み入れた
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