第28話「明実共に、花は誇り、時は笑い」
「白瀬、ラーメンを食おう」
「あの急にどうしたんですか」
「それがだな、どうやら時を挺してまで、逃せない丸本ラーメンがあるみたいだ」
「なんですかそれ、マル秘ではなくてですか?」
「そうだね、本丸ラーメンそれは、マル秘の総本山にあるとされている、一角のラーメン屋なんだ」
「またまた、そんな情報どこで手にしたんですか、」
「決まっておろ〜これでも社会参加はしてる、それなりに脈はあるのだよ」
「そんなこと言って、外出すら嫌がっていたじゃないですか、そんな人がどこにツテがあるんですか」
「そうだね、人づてに生きている、これだけだ、意外なことでもなかろう」
「そうですね、だったら行きますか、人類変えるとか言った矢先、ほんとマイペースですよね」
「それでも、私に迷いはない」
「全く、相変わらずですね」
「そうさ、いつだって、私は今ある幸を逃さない」
「それなら、行きますか」
「ああ、行こう、一味一攫とちなんだ豪奢大業に連なる真のラーメン店へ」
「また、大げさなんですから、」
「これでもまだ過小な口ぶりだがな」
「ほんと世界に見える景色が、大違いというか、段違いというか、ともかく一緒に居て飽きませんかね」
「そうだろう、常に律身月歩、あやめ促される、このメタファーを学ぶといい」
「それもまた、一理ありですね、いいえ、先生なら、それもあり、ですか」
「ははは、やはり、私あっての君だ、言葉を変えても、心は同じか」
「そうですね、見えているのは、いつだってここに広がる、今ですよね」
「どうだ、私といる今は?」
「なんですか、そのように言っても、身から溢れてますよ」
「そうだね、それは君にも伝えておこう、」
「なんですか、赤くなんてなってませんよ」
「そうだね、人は、恋焦がれ、愛になるわけではない、気づいたら恋しているんだもんな」
「せんせ、なんで私を落とそうとしてるんですか」
「あのね、白瀬、君は一人前ではないからだよ、まだね」
「なんですか、不出来とでも言ってるのですか?」
「ははは、とんちを効かしても、気づかざれば、咲かずとも、とはな」
「なんですか、全く、万葉集ですかね」
「博士もまた、言葉にうつけを向かせる、言葉とは今にあって、今にない、ならば君は恋をしているのではないかね?その言葉にね?」
「先生、人は言葉できていると言いましたが、あれって、まさか思いで出来ているって事ですか。」
「全く、それでは、一句だ、”いつか知った言葉に、君しか見えない、それは愛だった”」
「なんですか、先生らしくもない、でも先生は、好きなんですね、誰かが」
「ははは、やっぱり君だって、言い得て妙だね、しかして、その真贋が、事をなすには、あまりに時間は少ないよ」
「まったく、全くも〜」
「そうだね、君はいつだって、その場にいる人に、うつつを抜かす、これが宿る心なら、君はれっきとした、人類の代表になれるな」
「そうですか、でも誰にでも、こんな姿見せていませんよ、先生の中では、私が誰もの上に立てるほど、立派に見えたのですね」
「やめいやめい、それでもその言葉はしかと受け止めた、君はやはり、人の中でも一番だ、そういう言葉を私は知っているだけだけどね」
「そうですね、だったら、私だって、一番は先生ですよ?」
「人の中の一番だって事だろ?」
「違います、私の中で一番です」
「全く、これだからすべからず世界は、不平等なのだな」
「何故ですか、」
「だって、一番は二人いるんだろ?」
「え?ああ、いや、それって、どういう」
「ははは、君に映るこ言葉に誰がいるのかな?」
「そんなの先生と私です」
「だったらそれは、唯一無二の二人だね」
「そうですね、でもそれって、告白ですかね?」
「ははは、やっぱり、煮え切らんか、時に、人は、つがいとなって身を呈す、この行いに、君は愛を信じれるかね?」
「またまた、でも先生、私が死んでも、先生が人の中の一番です、いつだって人類代表です、いいえ恋人代表です」
「ははは、笑わせてくれる、いつか君も、愛を知ったら、そこに二人にいたことに気づくだろうね、その時は、照らし合わしてくれ。そこで知った愛と、目指した愛をね」
「はい、せんせ、やっぱり、先生なんですね、どこまでも、どこまでも」
「ふふ、そうだね、私は私で、それでも誰かのものになりたいのかもしれない」
「だったら、なりましょうよ、今すぐ」
「フロストレインに祝杯を、もうすでに知っているだろ?」
「なんですか、居るんですよね、先生が好きな人はここに居るんですよね」
「居るさ、まるで一人になる程、そこに居るんだよ」
「昔、読みました、一人ゆえの愛の行動という本を、そこで、愛するために一人になった、それを知りました、それはつまり、先生は愛とは一人にならないと、見えてこなくて、二人になれば、消えるのではなく、わからなくなるとなると思っていませんか」
「そうだね、君は最もな意見を言う、人は、愛を知れても、愛を繋ぐことが出来ない、これが私だよ」
「でも先生は確かに、好きと言ってくれた、そこに、なぜ、私だと言わないのですか」
「それさえ、やはり、自信がないからだ、言い張る力がないからだ、もし叶う恋なら、叶わない方がいいと思っているからだ」
「どう言うことですか、」
「言ったろ、いつか知った声に君しか見えない、これは、真実だよ」
「そうですか、だったらいいです、もっと違うやり方で、愛ではなく、まなこで教えます、これも愛ですから」
「また突飛な事を言う、それでも君が、愛を欲するなら、それは間違いないく、腹を割って話した、真贋だと思うよ」
「はいはい、せんせ、私は今だって、とても幸せですよ、」
「言うようになったね、それこそ真実だと今信じているよ」
「またそうして、誰からも言葉を引いて、信じる心にして、それを精査して、先生って、ほんとは、本当の自分を隠して、上部で生きてるんじゃないですか、本当の自分を傷つけないように、誰も心から愛した事がないんじゃないですか」
「そうだね、でもね、もし本当の自分が居るなら、言ってやりたいな、どうして今、ここに居れないんだってね」
「そうですか、先生は、私の前じゃ、ありのままじゃいれないと、作らないと恥ずかしいと?」
「な、恥ずかしい?、全く、どこからそういった、解釈をしたかな、恥を忍ぶほど、君に羞恥心を感じてなどいない」
「ほんとですか、さっき顔が赤いとか言ってませんでしたー?」
「またまた、今頃になって、信じたくもない事を言っても、信じれんぞ」
「はい、わかりました、では先生、認めてもらうまで、お仕えするので、ぜひ、その頃になるまで、時間を費やしてくださいね」
「全く、何を言ってるんだ、君は、いつだって私は、崇高な目的を遂行する、現実主義で、効率主義だ、無駄なことなど出来ん」
「では、せんせ、その無駄なことを言えますかね?」
「言えるが、しかし、なー、信じ難くてな」
「そうですか、私、先生のこと好きですから」
「そうか、え、や、え?」
「はいはい、そうやって慄くあたり、とても信じていないんでしょうね」
「何を言ってる、何を言ってるかわからんな、好きとは、つまり、好意を持っているってことだろ?」
「そうですけど、それにびっくりしてるんですね」
「そうだが、しかし好意ほど、邪険に出来ないものはないからな、実に困る」
「なる程、そうやって、私の優しさを、受け入れないで、いつだって、うだうだと時を弄するのですね」
「全く、全容が見えんな、君は何を話しているんだ、私は借りを作られると困るだけだ」
「はいはい、仕事の関係ですよーだ」
「そうだよな、知っている、」
「なんで、ちょっと落ち込んだですか」
「そんな感情知らんでいい」
「そうですか先生、ではまた、」
「ああ、またな」
二人の間に何があったか、それはこの書で言うには、作者があまりに、いたいけであり、それを挺してまで、読者諸君は読み切ってくれた事に自身の知欲の貪欲さを鼓舞していいだろう。
ではお立ち合い。
まだ二人はラーメンさえ食べていないのに、満たされていたらしいのだ。
この気持ちをなんと名づけるかは、また後のお話。それでは、失敬。
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