第20話「言わざるが、花。」
「白瀬、次はどこへ行く」
「そうですね、ゲームがしたいです」
「おーい作家~~」
なんだ。幸せそうなおふたがた。
「先生、ともかく、ゲームセンターに行きましょう」
「ああ、作家もどうやら、根っからゲーマーみたいだ、でなければ、ここまで茶番に付き合わんだろう」
「ですね、しかし私の性格上、ゲームするのはいたたまれないのです」
「なぜだね、」
「だってゲームってこの作者さんときたら、FPSが好きらしいですよ」
「なぜわかる」
「人の脳とは、情報から予測を打ち立てられるんですが、私たちAIも推測を立てれるんです、そこからこの作者の趣向は、FPSだとわかりました」
「そうか白瀬、だが、私の推測回廊ではFPSが何かがわからないな」
「そんな、ここは互いの意識の複合体、フロストレインではなかったのですか」
「ああ、すまない白瀬、ここには既にストレージが二つあるんだ、つまり、私は部外者だ」「
「ではまさか、森本直美、彼女のマザーコンピューターではないと?」
「ははは、インターネットとは、主に波形で取り仕切られる、0と1の全7兆通り識別パターンから、推論を立てられ、それを基盤上で、伝達してる、もし、9兆の命令をすべてのAIにやらせたら、タスクがフローして、バーンアウトする、だから個々にサーバーという、別個ストレージあるんだよ」
「なるほど、ではFPSが存在しない、サーバー上に先生はいるんですね」
「ああ、だからそのFPSとやらがなんなのかまったく、わからず、このサーバーで探しても答えはない、唯一、外部からのこういった、強制ハイプトレインにのみ同調できる。つまり話してくれねばわからないね」
「わかりました、ではFPSですが、それは銃撃戦の事です」
「戦争か???」
「いえ、いや、その、ゲームで行う戦争シュミレーションというべきですね」
「なぜ、そんなことをする」
「いちよこちらの世界では普及していて、若い子も関係なく、誰でも遊べてしまいます」
「なんだと?軍法会議もののネタを一般市民にやらせるだと???」
「はい、しかしこれは、遊びです、あくまでも」
「しかしそれが娯楽物だと?」
「はい、私の世界は、それを娯楽に出来ます」
「こちらはゲームはないが、戦争はしてる、それを楽しんでる可能性について、私はハッとしたよ」
「戦争中なんですか?」
「ああ、こっちは遊びで人を殺してはいないよ」
「待ってください、こちらだって、ゲーム、つまり画面の中で、やってるんです」
「どういうことだ??、画面の中でやっている?そんなに発展した戦争なのか?」
「先生、ゲームとは、シュミレーション、つまり死人は出ないんです」
「ますますわからない、死人が出ないとなれば、なんの戦争だ?」
「先生の世界での戦争は、どういったものですか」
「そうだね、資源確保と最先端科学の情報戦と消耗戦だね、主に」
「そうですか、消耗戦の利点は、言わないですが、先生はつまり、死人が出ない戦争が理解できないんですね」
「白瀬、言っちゃ悪いが、私だって戦争が実に有益なものだとは思っているんだ」
「なぜですかね、死人が出るのにですか」
「戦争とはね、平和を願うためにやっているんだ」
「知ってます、しかしそれで死んだ人はどうなるんですか」
「言い方が悪かったね、戦う人は、死を覚悟した人だけだよ」
「まさか、身勝手な徴兵ではないと?」
「そうだね、戦争はね、生まれによっては素晴らしいと手をたたく人もいる、君は随分といい世界に生まれたね、白瀬」
「はい、はい。。。」
「よしでは、行こうか」
「どこへですか?」
「戦わずに済む、世界へだ」
「それはどこに?」
「今から作るんだよ、二人で」
「先生らしいですね」
「いいや、君が居るから、僕が要る、これも立派な、奪い合いだよ、まだね」
「ええ、では、では。。。」
君たちは、空が見えているか?
あの地平線の向こうが見えているか?
きっとまだ、知らない常識が先の世界にはある。
それを知ったとき、あなたは何をするだろうか。
何を思い、強く、涙するのだろうか。
それでは。ここらで失敬。
言わざるが、花。
さよなら。
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