第16話「盲点は三つ目の眼にある」

「ふむ白瀬、ここはどこだ」

「どこでしょうか?」

「北海道を目指していたはずだよな、なぜ看板すらない」

「たぶん日本だとは思うのですが」

「そうかだが完全に私有地だと思うのだが」

「こんなに広い私有地、それってもしや」

「なんだ、白瀬、まさかお前、ほんとに、上流貴族の邸宅だと思ってるんじゃなかろうな」

「最悪あり得ますね、」

「と、なると問題だぞ」

「ええ。領地侵犯になりますよね」

「いえそうではない、やばいというのは、これだけ広いとなると、それなりの処遇を持って接待をされるのではないか」

「なるほど、人間国宝の家と言いたいんですね」

「治外法権ではないよな??」

「まってください、ほんとに国土侵犯だと言ってるんですか!?」

「待て待て、そこまで悟るな、この際、私たちもピザの定員になりすますか」

「わかりました、見つかれば最後、日本国の危機です」

「やめろスパイなどと口が滑っても言うなよ」

「ええ、私にもエスカロジー、後退倫理論はあります、引くのはこっちのほうです」

「よし、ともかく出るぞ、」

「しかし先生、なぜここへ紛れ込んでしまったのでしょう」

「それは今から30分前」

「え?せんせ、ここで書き始めるんですか?」

「しばし待て、頭を使ってみる」

「はい」


回想

「先生、家から出たはのはいいですが、歩いていくつもりですか」

「当たり前だろ、人を避けるには公共機関を避けなば」

「相変わらず、根は変わってませんね」

「当たり前だ、何年生きてると思ってる、染みついてるんだDNA単位でな」

「先生って、無鉄砲なこと言いますね」

「理解しろとは言わない、しかしうなずけるような感慨は持っておけ」

「はい、ではDNA単位でやり直してきます」

「んな?ことできるわけないだろ」

「そうですね、人の根はDNAだとしたら、先生とつながれば、合わせ持つなDNAができるかもしれません」

「まったく、何を言ってるんだ、そんなの出来たら、今ごろ人類は、言葉すら掛けず終わるだろうね」

「確かに命は結び結ばれ、玉結びになって一つになるかもしれません、それでもその輪廻はそこまで残酷ではないと思いますよ」

「多くを知れば、多くに対処できる、だからもっと平和になると言ったんだ、だがそれと同時に平和の恐ろしさにも私は気づいている」

「確かに平和とは、誰もが笑える世界、そんな世界なら、悪こそが愛になってしまうのでしょうね」

「わかる口ではないか、今更、悪も善も、相対して、二つになる、これが人類が作り出す性、対極に置くものがなければ保たれないこれが生命だ」

「でしょうね、人はいつも、ないものねだりです」

「ああ、だがね白瀬、君の言う北海道だが、それだって、もとは無かったんだぞ」

「ええ、蝦夷ですよね、」

「ああ、時代の中で育まれるのは、やはり境界線で、その境界ごとに平和が数々ある、これはある意味、多様性だ、だから、生きにくいなら、治外法権に行け」

「わかりました、例え渡航できずとも、行けるのですよね」

「笑えるね、世界に飛行機なんてないぞ」

「どういうことですか」

「人は飛べない、それに、君は知らないだろうが、人には3つ目の眼がある」

「まさかミラーマジックとか錯覚とかですか」

「いい線を言うね、君のそばにも誰かいるぞ」

「生まれ持ってきた視界がすべてではないのですね」

「そうだね、隠されて生まれてきたのが君たち人類だ、死んだら最後、目が開くぞ」

「先生は勘ぐらせますね、しかし、あらたな視点はあるのですね」

「ああ、私でさえ、誰かに掌握されている、それは平和の一環という奉仕活動だと、バランサーは動いている」

「悪は悪を知る、または人は人を知らない、つまり何かである以上、何かに見られる、ということですか」

「錯綜としているね、でもね、一つわかってほしいことがある、世界は真隣にある、だから奇跡も運命も不思議じゃない」

「まさかほんとうに、あらゆる国がこの道沿いにあるのですか」

「いいことを言うね、君は見えていないのだね、迷い込んでしまう子供の景色を」

「まさかその人にしか見えない世界があるんですか」

「いいや、いうなれば、夢でさえ、存在する、これが世界だ」

「人には本当に三つ目の眼があると?」

「ああ、生まれた時点で、施術されているんだよ」

「では、先生は3つ目の眼を知ってると?」

「私はフロストレイン、永劫を手にし、一度死んだことがあるんだよ」

「まさか、ありえない」

「でも、考えてみろ、死が喪失ではないとしたら、何か見えてこないか?」

「死とは、絵的見ても、死としか受け取れません」

「死とはね、第三の眼を開くことだ、そして第三の眼とは、今の人間と相いれない、道を見つけることができるんだ」

「なるほど、本当に見える世界が違うと、私たちは目を二つ持っていて、この視界では捉えれない道があるのですね」

「そうだよ、だから言っている、はやくその眼に気づいてみろ、死者と会えるぞ」

「わかりました、先生、世界にはまだ私の知らない見方があるんですね、」

「そうだ、出会いもすべて君の視点の延長戦、だから言っている、運命ではない、必然だ」

「先生ひとまず、その話は置いて、歩きましょう」

「そうだな、君はどこへ連れて行ってくれる?」

「私の視点なら、きっと北海道まで行けるんですがね」

「そうか頑張ってみろ、その眼に私はついていく」

「はい、せんせ」

「ああ、せいぜい道を踏みはずすなよ」

「わかってます」

「そうかならば結構、行くか」

「ええ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る