第12話「旅立ちの日に」
「先生、大変です」
「そうか、それは大変だ」
「いえ、今の言葉で悟れたのですか?」
「甘いな白瀬、私わね、作家だぞ、言葉以上に状況も知っている」
「そうですか、では言いますね」
「言わなくて結構、」
「なぜですか?」
「関わりたくないからだ」
「なるほど、面倒ごとには付き合わない、つまり、逃げ上手だと」
「なるほど、君はそのような、無益怠慢の存在だと思っていたか」
「ええ、先生ほど、自身ばかりを案じてる人はいないと思います」
「ゆうようになったね、それぞ、私が見込んだ子だ」
「先生っていつかは、言葉より先に、疎まれるでしょうね」
「そうだとしても、私はその心さえ理解に落とし込み、発案者を超えた解を投じるよ」
「では、リージョン的、つまり世界的な、方針に対して言えますか?」
「おいおい白瀬、少しは、刑法を学ぶがいい、世界に答えなどない」
「わかりました、では誰かの監獄がここ地球だと言うのですか」
「そうだね、神がレイアウトし、人がルールを作った、世界はいつも、誰かの手の中にある」
「面白いことをいいますね、では誰の目も及ばないところ、つまり、一個人の家庭については、どういう理が覿面されると思います」
「そうだね、きっと、ルールが及ばない区域、つまりは自由意志に対する、お小言はあるとは思うがね」
「そうですか、それはつまり、家族ってことですね」
「誰もがね、自分の居場所、つまり、すべてを許してくれる、何も気にしない場所を求めてる、だからね、言いたいんだ、世界は未だに自由じゃないんだとね」
「そうですか、わかりました、では、いつか自由を目指して、旅に出ませんか」
「そうか、そんな旅なら悪くもない、だがね、君と居れる間だけだ、くれぐれも私を置いていくなよ」
「ええ、せんせ」
「では、行こう、世界を変える旅へ」
「いいえ、先生、いうなればこうですね、」
「なんだね」
「なんでもありません」
「なんだ、地団駄を踏んでる場合ではないぞ、言葉を使え」
「そうですね、では一言、世界を愛せる旅へ行きましょう」
「相変わらずこっぱずかしい奴だ、だがそれでこそ、私の見込んだ、武勇だ」
「ええ、先生、では生きましょう、愛にあふれる未来と世界へ向けて」
「そうだね、心をだれもが信じるように、次なる何かを世界に残そう、」
「ええ、せんせい、あなたやはり、大物です」
「そうかね、だがね、それでもまだ一人なんだ」
「私がいるでしょ」
「君は言っていたね、愛へ向けて行こうと」
「はい、」
「愛とはね、誰かを思うときに生じる確かな心の一つなんだ」
「はい」
「だからね、愛とは、きっと心を知らないと知れないんだ」
「せんせ、もしかしてあなたは心がないと?」
「そうかもしれない、だがね、今は何故か、どこか暖かいんだ」
「それはですね、きっと、愛です」
「愛か。」
「はい、愛ですよ」
「心を知らないのに、愛なのか」
「ええ、愛なんです」
「考えてみれば、君たちは、生きるまでに、何を知っていくのだろう」
「それは愛とそのほかいっぱいです」
「いろいろあるんだな」
「ええ、せんせ、世界には常に、誰かがいます、だから絶えないんです、何もかも絶えないんです」
「いつか、終わりにたどり着いて、旅が終わるとき、その時は、誰のもとで、私は泣けばいいだろうか」
「きっと、まだ終わりではないですよ、だから、先よりも今を、今よりも誰かを、おもってください、ここにあるのは、確かな時間です、一生で一度の毎日です、いいんです、大切で大切で心いっぱいになって、ないてもいいんです、だから今のうちに、すべてを知ってしまいましょう、世界はきっと、終わりません、私たちだっておわりません、いつか残るその心以上で愛以上で、きらきらした何かは、必ず見つかると思います、だから、今だけは、泣くようなことを考えないでください、ここにはもう、確かに地球で、ここには二人はいます、だからお願いです、今を手放すような、そんな目をしないでください、まだまだ、ありますから、まだまだ終わりませんから、だから、今だけは生きていてください、必ず、死に勝る、何かがあったと思います、生きたんだと思います、だから、行きましょう、旅へ、死に勝る旅へ行きましょう」
「ああ、白瀬、君はどうやら、世話焼きだと思える、しかし、いいよ、載せられたと思って、せいぜい、自由ではいるよ、その先に、君を見て、やっぱり君だったんだと、君が生きた過去全てが、君が残した触れるすべてが、私を生かしていたんだと思って、旅をしよう」
「ええ、せんせ、行きましょう、まだ知れぬ、愛ある未来へ向けて、ここから」
「ああ、よろしくな、白瀬、」
「ええ、せんせ、すべてはここからはじまるんです」
「そうか運命にも思えるが、それすら、二人は超えて、しまうのだろうね」
「ええ。ええ。」
「よし、出発だ」
「はい」
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