第9話「紳士の不整脈」

「白瀬、マタニーニ」

「はい、何ですかその毎朝、奇声を発する現象は?」

「酷い奴だな、私のユーモアが分からないのか」

「ええ。何せ意味不明ですからね」

「そうか、それもそうか。君の脳は人間規模だしな」

「いや、人類誰しも人間規模ですけど」

「いいか、白瀬、思い込みは天井になるぞ」

「はぁ。別に限界を決めつけてなど居ませんよ」

「そうかな?だって君、知らない言葉に対して。考える余地なく省いたろ」

「それは、だって、その言葉に魅力を感じなかったからです」

「は、まるで現代社会の映し絵だな君は、探究せず、教わり続けるだけの凡人止まり、気の毒でならない」

「先生って本当に、いつか刺されそうですよねザクっと」

「は?私はね、例え核兵器が落ちてこようと生きれる自身があるぞ」

「またまた、そのように世間知らずの自信が、私にとっては井の中の蛙とかしか思えません」

「何が世間知らずと、私ほど世界を見つめている者はいないと言っても過言ではないぞ」

「では、例えば、世界について何か言えることはありますか?」

「ふん、無いね」

「え?」

「分かってないな、もう私は知り尽くしてしまったのさ、そうびた一文残らずね」

「はぁ。また過大評価が過ぎますね、」

「全く、君はね、知る者は追われるものになる事も知らずに、よくのうのうと言えるね」

「追われるもの?」

「私はね、言わば、生きる図書館だ、それも禁忌目録さえ含んでいるね」

「なるほど、では軍事的な介入がされる事があると言うのですか?」

「そうだね、しかし敵ではない、何故なら智力は武力をも制すからな」

「それでさっき、核兵器が落ちてきても大丈夫とか言ってたんですね、」

「そうだとも、核兵器はね、EMPで無力化できる、そして私の家にはEMPが配備されてる」

「お金もないのにどうやって?」

「人はね、金が無い方が恩恵を受けやすいんだよ」

「なるほど、じゃあ、作ってもらったと?」

「そうだ、何せ、私は顔が聞くからの」

「先生のどこにそんな人間強度があったんですか?」

「失礼な、君は、そうやっていちゃもんを付けて、楽しいか」

「いや、先生だって、随分と好き勝手言ってますがね」

「君は私の言葉が助長性に欠けるとでも言ってるのかね」

「ええ、いつも傲慢で、自信家で、無礼じゃ無いですか」

「ふ、そのような受け身しかできない君の感受性は、実に可哀想だね」

「ほら、それだって、全然、可愛く無いですし」

「か、かわいい???君は、私に何を求めてるんだ、全く、理解に苦しむよ」

「あのですね、先生、今のはサービスなんですよ」

「何がサービスだ、鳥肌しか立たないわ」

「ほんと、失礼ちゃいますね、」

「こっちのセリフだ、」

「ま、いいですけど、とにかく家を武装とかやめて下さい」

「ふん、武装ではない、防衛だ」

「そういうセリフ、よく聞きます、軍事部の受け売りですか」

「く、君は、猫シャーシャーとよく言うね」

「え?イケシャーシャーというのが正しいですよ?せんせ?」

「な”いや、そ、そうこれは。。。いやサービスだよ」

「へ〜?」

「なんだその冷たい眼差しは」

「え?だって、先生ってば、可愛くて」

「君、完全にあやしてるみたいな言い方してるだろ!」

「え?そんな事ないですよ?そう聞こえちゃいました?」

「ふん、もういい、君とは絶交だ」

「先生、そんなに拗ねないでくださいよ」

「拗ねてなどおらん、君に愛想を尽かしただけだ」

「そうですか。」

「なんだ、普通、凹むだろ」

「え?いや、何年先生と居ると思ってるんですか、今更、ですよ」

「そうか、ならなぜ君はそうまでして、ココに居るんだ」

「そんなの、先生が好きだからです」

「へぇ?」

「だから好きなんですよ」

「ん、ん?え?・・・・な?な?なんて?」

「だからアイラブユーって言ってるんですよ」

「あ、なるほど、そう言うサービスか」

「いえ、本当ですよ」

「君、それはつまり、どういう意味だ」

「だから、結婚して、妻になりたいって事です」

「ん?ほほーん、?」

「先生、上の空ですね、」

「いや、何を言ってるんだ、まっ、まさか気が動転してる訳ないだろ」

「へ〜?」

「ふふん、ま、とにかく、な、白瀬。お前って女だったのか?」

「え?」

「いや、お前って、男じゃないのか?」

「え?先生、何言ってるんですか、私、女ですけど」

「う、嘘だろ・・・・、ちょ、ちょ、待て、一回、息させて」

「せんせ?え?なんでそんな顔が真っ青に」

「いや、俺、女と今まで同居してたと思うと・・・ちょっと・・・」

「ん?もしや先生、今まで、私の事、男だと思ってたんですか?」

「あ。当たり前だぁ、普通、男が女を家に入れるとか、そんな、そんな、事。常識的にダメだろ」

「え?いや、あの〜、初めから女でしたけど、私、」

「そんな事あるのかぁあああ!」

「はい、先生、どんだけ顔赤いんですか、」

「いや、ともかく、もう、うん。ぬぉおおお」

「せんせ?どこ行くんですか、」

「外だよ!!!!」

「え、うそ、これもしや、先生、壊れちゃったかも?待ってくださぁあああい」

「くるなああああああ」

「え?なんでですかぁあ???」

「追ってくるなぁああ女とは、話せない!!!」

「あ、先生って、もしや・・・・女性耐性ないタイプだったのかなぁ・・・これは大変な事になりそう。。」

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