第4話「日常の生き様」
「書くぞ」
「頑張って下さい」
「応援してくれ」
「何、言ってるんですか、」
「良いだろ、それも助手の勤めだ」
「致し方ありませんね、」
「では、皿回しをしてみてくれ」
「え?無理ですよ」
「またまた、曲芸の王道だぞ、いけるだろ」
「全く、では紙皿にしときますね」
「良いぞ、」
「行きますよ〜。ほっほっほ」
「おお、出来るじゃないか」
「案外出来るもんですね、」
「ちょっと待て、それは何だ?」
「あ、いやコレは・・・」
「貴様、それ、棒の先端になんかつけてるだろ」
「いや〜参りましたね」
「全く、子供が知ったら泣くぞ」
「世の中には大人の事情って言うのがあるんですよ」
「対句してくるな、この謀りしものよ」
「先生だっていつもゴネてばっかりじゃないですか」
「私はな、知性を授けてるんだよ」
「またまた、そのように意味ありげに話して」
「そうか、まぁ良いんだよ、凡人は天才を追い越せないものだしな」
「先生ってナルシストなんですか?」
「君はね、羞恥心を煽るなど、実に滑稽の極みだな、品位が知れるぞ」
「つまり、先生は自己中心的って事ですね」
「勝手に誤った自己解釈をするな」
「良いじゃ無いですか、先生はいつもはぐらかすんですから」
「それは君の設ける問いが、遺憾甚だしいからだ」
「普通のことを聞いてるだけじゃ無いですか」
「どこが普通だ、ナルシストかどうかなど、君ならどう答えるつもりだ」
「そうですね、ん〜」
「ほれ見たことか、難題だろうが」
「ですが、作家である先生が返答に困るのも、問題ですよね」
「なな!君という奴は相変わらず、武士の鞘に触れるような奴だな」
「だって先生って、結局は、今、無職ですもんね」
「もう分かったぞ、私がどれだけ凄いか見せてやろう」
「おお、それは楽しみですね」
「君のような盆暗に、決定的な違いというのを教えてやろう」
「それで何をするのですか?」
「決まってる、ゲームをする」
「え?」
「ふん、分かってないようだな」
「なるほど、先生って、ただ単に口実を探してるタイプなんですね」
「く、君のような見透かした態度に比べればマシだろ」
「でもゲームで何が分かるんですか」
「決まっておろー、色々出来るという証明だよ」
「いや普通に遊びたいだけですよね?」
「ふん。コレだから出来あがった脳で考えてるやつ知れた口ばかりだ」
「でも、ゲームって、子供がする物ですよ」
「そのような一方的な見識で見てるからいつまでも多面的な構図に気付けないのだよ」
「ではゲームの利点を述べて下さいよ」
「そうだな、やらねば分からぬな」
「な?なんと?」
「まーもう良いだろ、理由や理屈などどうでもいい。要は、今が楽しければ良いのさ」
「ゲームって一度ハマると抜け出せない、中毒性あるんですよ」
「そのような事、あるか。私を誰だと思ってる」
「聞き分けの無いわがままな子だと思ってますが」
「君って奴は相変わらず、無遠慮な言葉を飛ばすよな」
「そりゃ先生だってそうじゃ無いですか」
「君ね、私がどれだけ言論に配慮してるか分かってなかったのか」
「え?」
「全く今の今まで何を学んできたんだか」
「ま。先生、ゲームしますか」
「なぜ急に肯定する」
「ん〜先生の相手疲れたので」
「君、さっきから話聞いてたか?」
「いやー聞いてませんでしたね」
「なるほど、もう知らん」
「先生、拗ねないでください」
「私はもう旅に出る」
「え?」
「新たな出会いを探しに行く」
「何言ってるですか」
「君のように、話を聞かない奴とは居れない」
「聞いてたじゃ無いですか、呆れるくらいに」
「ふん。もっと優しさを知りたいんだ」
「いや。でも先生の相手って仏も顔を歪めるほどですからね」
「ではな、白瀬!」
「は〜い」
「いや止めろよ」
「もう泣いてるんですか?」
「君、私が出て行くと聞いて、そんな簡単に送り出すか普通」
「だって先生、お金も無いですし、絶対帰ってくると思いまして」
「ふん。コレだから。先を見越した奴はつまらないな」
「先生は見通しが甘いんですよ」
「もういい。もういい。」
「先生、ごめんなさい」
「今更謝るな、この。。この。。。」
「でも先生も泣くんですね」
「お前な、今度、うまいもの食わせろよ絶対」
「はい、わかりました先生」
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