第3話「世界の革命」

「白瀬、ご飯はまだか」

「大変です、お米がありません」

「何、では、まさか、卵だけご飯になるのか」

「はい、卵だけご飯になります」

「よし生活保護を要請しよう」

「いえ、このような事では認可されません」

「なんだと、米がない食卓など食卓ではない!」

「先生、こうなればワイルドカードを引くしかありませんね」

「まさか君は、あの手を使うのか」

「はい。かつて人々は、地に足をつけ、自ら、狩に出たのです」

「しかし、何を狩るっていうんだ」

「決まってます、このご時世で狩れる物、それは・・・」

「それは・・・?」

「たんぽぽです」

「何・・・?何を言ってる、あれは草だろ」

「はい、つまり先生、草を刈るのです」

「なるほど、いいオチだったよ、ありがとう」

「いえ、真面目な話です」

「何、そんな、救いようのない話が、真実だと」

「ええ、ですが、これも生きる為、受け止めねばいけません」

「なるほど、ではな、白瀬、冥福をお祈りする」

「なぜ、遠い目をしてるんですか」

「例え、たんぽぽを刈れても、食べたくないからだ」

「先生、私はこれでも料理のプロですよ」

「では君は、たんぽぽが何に化けると言うんだ」

「そうですね、たんぽぽは厚みがありますから、塩と卵で絡めてかき揚げに出来ます」

「おお、それは良いかもな」

「では行きましょう」

「分かった、」

「先生、出ますよ〜」

「外怖い、外怖いよ!!」

「急に子供みたいにならないでください」

「論理的起結を述べよう、外界には行けぬ」

「いや、外界ってなんですか」

「知らないのか、あの話を」

「いや語り出さないでくださいよ」

「あれは、今から1年前だった、神が言ったんだ、外気を吸うなと」

「はい、それで?」

「いや、分かったろ、外気は吸っては行けぬ、汚れてしまうのさ」

「なるほど、では、窓開けるのもアウトじゃないですか?」

「ふふ、大丈夫だ、ここに、神から特別にと進呈された空調機がある」

「まさかですが、それ買いました?」

「ああ、本来は100万するらしいが、そこを10万円でいいと言ってくれた、神は優しいな」

「それ、神だったんですか?」

「ああ、神だぞ、天使の羽に天使のリングがついてたからな」

「なるほど、それ多分、悪徳商法ですね」

「なぜだ、まさかそんな訳が」

「では、その空調機を見せて下さい」

「分かった、ほれ、コレだ。」

「ほら、ここにメイド・イン・パチモンって。買いてありますが」

「それがなんだ?」

「神の贈呈品が地球産の訳ないでしょ」

「た、確かに・・・」

「先生って意外に、世間知らずなんですね」

「なな、君は、全く、論理的じゃないな、間違えてこそ人間味溢れいてる証拠だ」

「ま、そういう事にしておきますよ」

「では、励みたまえよ、白瀬、たんぽぽ狩り」

「先生も行くのですよ」

「ぶり返すな、私は神の名を受けているのだぞ」

「いや、今、騙されていた事教えましたよね?」

「人間とは、一度信じたら最後、どこまでも落ちていくのさ」

「いや、なんか都合よく、言い訳にしないでください。行きますよ」

「ちょ、、、引っ張るな!!!」

「はい、外ですよ」

「おお、なんだこの世界は」

「地球です」

「そうか、地球はココだったか」

「はい、何言ってるんですか全く、」

「なぁ白瀬、君は、私を騙しているか?」

「急に、なんですか、そんな事しませんよ」

「なぜだ?」

「騙して得たいものなどありませんから」

「そうか、人は何かを得るために騙すのか」

「そうでしょうね、」

「では、私を騙したあの神は、何かを得たのか」

「はい、でしょうね」

「なんだ、では。私は恩人になれたのか」

「そう思えるなら、幸せですね」

「不思議とね、悪人は居ないのではないかと思う」

「そうですかね」

「ああ、誰も好き好んで騙しては居ないと思うからさ」

「そうですね、無自覚な悪など居ないですよね」

「ああ、きっとまだあの神は戦っている、だから私は、頑張れと言おう」

「ポジティブですね、」

「そうかな?でも嫌うよりは、理解してみたいんだ」

「殊勝ですね」

「そうでもしないと、世界は変わらないぞ」

「全く、その通りでした、失敬」

「何、気づいてくれたならいい、ではひとまず、たんぽぽ探すか」

「はい、先生」

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