第5話 右か左か真ん中か

6限目が終わるチャイムが鳴った。

こういう日に限って一日が終わるのが早い。

俺は6限目が終わるまで、ありさと花音の約束どちらを取るべきかそれだけを考えていた。

花音はずっと俺が思いを寄せているし相変わらず美人だし一緒に放課後デート出来るなんて夢みたいな話だ。

ただありさには昨日の手前また断ったりすることはできない。

それに今日ありさにドキッとしてしまった。

正直言うと今俺は花音を好きなのは変わっていないはずだが、ありさのことを意識してしまっている。自分でもよく分からなくなってきてしまっている。

そして俺はショートホームの限られた時間であることを考えた。

ありさと花音と俺の3人で放課後デートすればいいのではないか、そう考えた。

ショートホームもあっという間に終わってしまった。

なんて二人に説明しようかと考えていた時にありさが俺のところに来た。

「やっと終わったね~。放課後楽しみすぎて一日長すぎたよ~」

俺はまたドキッとした。

もう可愛すぎる。そうすべてが可愛すぎるのだ。

「それじゃあ、このまま一緒行こ!」

ありさが俺に追い打ちをかけてくる。

俺は勇気を出した。

「ありさ、ごめん!ちょっと来てくれる??」

自然と第二教室に連れてきてしまった。

ありさは驚いた様子で

「え、なんで第二?なんかあった?」

と聞いてきた。

俺は少し何かに期待しているありさに言った。

「今日、花音がさどうしても放課後付き合って欲しいところがあるって言われちゃってさ断ろうと思ってたんだけどしつこくてさ。」

と花音のせいにしてしまった。

「悪いんだけどありさも付いてきてくれない?」

と更にクズ発言で追い打ちをかける。

さすがに引かれてしまったなと思った。

二兎追う者は一兎をも得ず。ということわざを思い出した。

素直に謝って断った方がまだマシだったと思っていた。

するとありさが

「え、花音ちゃんが!?和也君めっちゃモテモテじゃん!」


「和也君はついてきてって言ってくれてるけど花音ちゃんは和也君と二人でいたいんじゃないかな?」


と笑いながら言った。

俺はすぐに

「いやいや全然モテてるとかじゃないよ。昨日ありさとの約束も花音に急に手伝い頼まれてさー、そのまま拉致られたんだわ。んでそのお礼したいってことでさ。」


と俺はもう花音のせいにして、自分はいい奴でいようとするクズ野郎だった。


ありさは

「それじゃあさ、和也君は花音ちゃんに好意はないの?」

と聞かれた。


「あるわけねーじゃん!」

と俺は即答した。


ありさはニッコリ笑って

「よかった!花音ちゃんが相手だと適わないから!!」

と言って

「もしその用事が済んだら連絡貰える?今連絡先教えるからさ!」

といい連絡先を交換してすぐに

「ばいばーい、またあとでね!!」

と言って走って行ってしまった。


俺はひとりになったあとありさがさっき言っていた花音ちゃんが相手だと適わないってこれ俺のこと好きじゃね?とかひとりで考えていた。


周りからリア充どもの声が聞こえ始め、そろそろ第二教室に集まってくると思い俺も教室を後にした。


俺はバッグを持ってこの後玄関で待っている花音に行く。

本来はビッグイベントなはずなのに何故か今俺はありさのことを考えている。

花音との用事が済んだら、ありさと会える。

そんなことを考えていた。

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