第3話 これは誰のせい?

俺は回し続けていた。

そう、ペンと頭を。

放課後にまさか第二教室に呼ばれることが3年間であるなんて思ってもみなかったからだ。

俺が好きなのは花音だが、ありさもクラスだけではなく学年、後輩からもかなり人気者だ。そんなありさに俺が放課後に誘いを受け、しかも第二教室でとなると落ち着いていられるはずもない。俺は授業が終わるのがこんなに長く感じたことはなかった。

6限目のチャイムが鳴った。

俺は授業が終わってこんなにも嬉しく思ったことはない。と同時に味わったこともないような緊張感に襲われた。

ショートホームが終わり、いつものように1軍メンバーは女子とだべったり、彼女と帰ったりしていた。今までの俺はリア充共をただ見ている側の人間だったが今日の俺は違う。とりあえずはトイレに行き用を済ませに行こうと思った。

その途中だった。

花音に

「おっつ~、このあと暇?前に運動会の準備手伝ってくれた時に和也君すごい仕事早かったからさ、今回も少し手伝って欲しいことがあってさー」

と言われた。

花音は陸上部に入っていて、その手伝いをしてほしいとのことだった。

俺は花音にまた頼られることが嬉しすぎて、何より好きな人と一緒に居れるなら喜んでと思い

「おっけー!!」

とまた親指を立てて言ってしまった。

花音は

「ほんと!?ありがとう!!」

「ごめんなんだけどさ、このあとすぐに行かないといけなくてこのままついてこれる?」

と言われ、俺は勢いのまま

「おっけー!大丈夫!!」

と言い花音と一緒にグラウンドに向かってしまった。

向かっている途中でありさとの約束を思い出し、俺が授業にも集中できないくらい楽しみにしていたビッグイベントをすっぽかしてしまっていいのだろうかと不安になった。ただ、隣には花音がいる。

俺は葛藤の末ありさとの約束をすっぽかすことにした。

それから1時間ちょっとして

「ありがとう!!やっぱ和也君は仕事が早いね!助かったよ!」

「近いうちにお礼必ずするね!」

と花音に言われ、俺はこの判断は間違っていなかったと確信した。

バッグを教室に置いたままだった俺はグラウンドを後にし教室に戻った。

俺は花音と一緒に居れたこと、話せたこと、感謝されたことで浮かれていた。

バッグを取ろうとした時、机の上に置手紙があった。

ありさからだった。

その手紙には

「和也君へ。用事があったなら一言欲しかったな涙

今までから和也君は優しくて、いい人って分かってたけど

今日今まで見たことがない和也君を見てキュンとしました。

本当は今日一緒に帰ってもっと和也君を知りたかったな」

と書いてあった。

俺はこの手紙を読んだとき、嬉しいという感情よりも申し訳ないという感情が先に出た。

俺は自分のせいでありさに悪いことをしてしまったとすごい後悔した。

と同時に

また花音のせいで俺はこうなったんだと思ってしまった。

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