第39話 ひな
(何もかも理解していました)
ひなの心には、今までせき止めてきた言葉が堰を切ったように溢れていた。
私が尊さんをこの手で殺めた。心臓を貫く刃の感触が、私を正気に引き戻した。
八十神さんの手によって操られていたと、心の底から思えたのならばどれだけ幸せだったのでしょう。
私の心の隙間には、確かに尊さんへの圧倒的な憧れとほんの少しの嫉妬がありました。それが肥大化した結果だからこそ、私はこの行いを受け入れました。
力を手にして、同心の皆さんと相対して、初めて強大な力を手にした実感が持てました。もしかしたら、この優越感に浸ることで自責の念が消えてなくなるのではと大仰に振舞ってはみたものの……何も変わらなかった。
――これが私の正義の責任。
尊さんの命を奪ったからには、引き返せない。皆さんを下してでも、虚構の正義だと理解していても、私はそれを実行しなければ行けない。
そうしないと、尊さんの命が無意味になってしまうと、そう思ったから。
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