第36話Blessing/Punishment

“Seeking eternal comfort, despite impossible, is a part of human life.”


 災厄とその繋がる絶望が絶えずに続ければ、人間という生き物は何をしようとするものなのか?その答えは実に知りやすいものである。


 人間の耐久性は各人間に違うものだが、その限界がやがて壊れれば、理不尽なことに人間は逃げ出しがち。


 民国のことを配慮しない政治家、数えきれない罪を犯し返す宗教家、見破りやすい嘘をついても、結局信用してしまう人が必ずいる。


 その知識がどんなに広まっていても、結局見え透いた嘘を思う存分に飲み込む人がいる。数が多く、少なくなるとはあり得ないとも言える。


 人は社会の影響を受けながら、それぞれの価値にずっと偏っている。大嘘が自分の価値に応じるものならば、喜ばしく受け入れるのも不可能なことではない。


 大抵、価値が固定なるもの。だが、それを遥かに超えるものがある。気づかれて気づかれぬもの、抑えて抑えられぬもの、それは感情や気持ちというもの。


 確かに、全ての人間が感情に捕らわれるものではないが、抑えきれない時がやがて来れば、それはどうしようもないことと等しい。


 普段の毎日なら、人は多分もっと論理的に日々を過ごせるはずのだが、苦境なる時間なら全てが別の話になる。どんなに、賢くても。


 隠してきた真顔を見せるわけでもなく、ただ新しい顔を作るわけだ。既に分かり合えた愛しい人でさえも、憎むべき化け物になれる。それは災厄の事実である。


 手を伸ばしてみたら、何を得られるのか?無理やりに彷徨おうとしても、見つけるものが一つもなかった。その果て、絶望だけが待っている。


 保障、人間が死ぬまでそれを求めている。未来が確かめられないこの世界に生きている人間が現実に耐えられないから、不可能な保障にも依存している。


 空に見上げれば、雨が降り始めるのを人間は見ている。暗くて、寒くて、故に雨も哀しいものとされる。


 大雨だが、傘を持たずに何もしない人間が雨に濡れながら、雨の終わりを待っている。希望を失うその時間では、できるのはただ晴れるものを望んでいるだけ。


 雨に濡れる街、地面に壊れて落ちたビルのガラスが眩しいものを映し出し、あれが空から来るものと、誰一人が気づき始める。


 もう一度濡れる顔を上げて、雨が少しずつ止まっていく頃、太陽のない眩しい明かりが地面を照らしている。白く見えて、徐々と近づいている。


 それに魅了される人々がそこへ集まり始めて、その白い明かりに触れられるように。何も構わずに、何も考えずに、全てを置き去りにして、明かりの元に近づいている。


 突然に現れて、人群れの真ん中に立っている人は、説教を始める宗教家。司祭と呼ぶ、彼は希望に満ちる言葉を与えながら、恩恵神への祈りを導く。


 人々が指導に応じる突端、地面からその眩しい明かりが彼ら包んで絡み、全体が白い明かりに纏われる。


 祈りが続けて、恩恵神の信者が増えていく時にも、一人だけがそれを見下ろすように笑っている。同じ明かりに近づけようが、他の意志を持っている。


「知るべしことは、最初に笑ったのは異端者、教徒だけが真の幸せに恵まれる。」司祭が敢えてそう言った。


 小さな笑顔が笑いになっている、はみ出し者がそれを見た頃、白い明かりが空から打った。笑う感覚を失う頃、灰となっていく彼はただ幸せな他人の顔を見ている。


“The good thing is, they finally could find happiness, at least temporarily.”

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