第23話Agreement/Inception

“They turn their heads, knowing a critical moment resides.”


 瞬時的な瞬間に、残られる選択肢は見えないほど限られている。正念場なのに、見極めるチャンスですらなくなった。見つけられた結果はきっと誰かに嫌われるものになる。


 遠くから座って見て、代表者を送ることは危険を避けるための一般的な方法でありながらも、影響の知覚がない。危険でも自分自身を連れて行くのが大事なことだ。


 いきなり姿を見せたら、彼らがどう思うかな?憎む感情が募るほどに攻めるか?それとも、冷静に伝える言葉を聞くか?結局今なら、誰もが確認できない。


 嫌われて、襲われて、殺される可能性があまりにも高すぎても、きっとこれこそが正しい道になる。そこへ立ち向かい、確かめられない後先ならどうでもいい。


 静かなあの夜の中、止められるような時間の中、疲れ果てた双方は今どうか知らない結末を迎えに行く。全てが不安定、全てが不合理、全てが理不尽、それはありのままとされる世界の真実である。


 火につけた地面の上ではビルの瓦礫だけが残されている。それに沿って、汚れた手を隠して、それを洗うように、深い地下に埋もれた場所へ急ぎながら向かっている。


 分かち合うわけがなくても、双方は同じ恐怖の凄さを持っている。誰にも想像されない夜なのだ。勇敢なる英雄とされるものとしても、現実を向けるには充分な根性がない。


 予定通りなら、その日曜日では受刑者の最後の日、死刑を向ける日である。救いはないままに、反抗している少数のものがいる一方、神に祈っている複数のものもいる。


 未来はどんな形であるか、人間じゃそれを知る術がない。多分、あんな術が恵まれないから、人間が人間のままになることができる。


 そうならば、神の欠片に接触された死人というものも結局人間である。本当であれば、この戦いで救いを求める権利もあり、勇者の道を択ばない権利もある。


 そのような不確実性は最初からも既にあるものである。人間であった時、死人となった時、現在までも、全てが不安定ばかりだ。

 未知な世界に生まれて生きて、そこから確実に確認できるものは一つもない。世界は不思議なもの、加えに人はその世界から逃げようとしている習癖を持ち続けている。


 臆病みたいでありながらも、その故に人間が人間になれる。


 電光の灯りが地下から上っている受刑者の目に刺して、地面に踏み始めるサインとなる。何も分からずに、恐怖な顔と疲労の顔が混じっている。


 騒がしさもなく、その音をよく鳴らす人がいるとしても。彼はただ運命の行方に身を任せて、後先を抵抗せずに待っている。


 お手上げでも、一つの不思議なことを気付き、それは手に手錠がかかられないことである。疑惑的な顔で前にいる番犬をじっと見ている、怪しい仕草を見逃さないように。


 誰もが音を立てずに、風景が静かなままに続いている。そこにいるものは不安定なほどに、自分の思考に沈んでいて、残酷な現実を向かわないように。


 それは登場するはずのない人物が見えるまで。


 どんな人になっても金は本当に迷惑なものだ。あんな問題が解決されたことで、生きることが楽になるはずなのだ。それなのに、不安が残っているまま。


 奴らはもういない。よく邪魔される人がいなくても、他の邪魔者はまだいる。それをアレクサンドロフに任せて、ここにいるもの全てが私の責任となる。


 不器用なもののように、二人は近づけようとしても、中々長い時間をかけてしまう。見せたい信頼を仕草で見せて、一致している解決ができるように。


 最初の言葉がイェリンの声だった。逆にヴィクターは何も言えないまま、彼女に少しずつ近づいているだけ。大事な瞬間で、誰もが行き先を知らないまま。


 近くなって、手と手が伸ばし、震える手の握手が少しずつ強くなっていく。冷や汗まみれの体で、二人は眺め合っている。


「——ハハハハハ!もう何もねえのかい!?」


 自分の味方でさえもまだ戸惑っている顔をしているのに、彼は何故か一人で大笑いをしている。まるでこれが冗談のように、まるでこれが遊びのように。


 強かった握手が終わったら、次々と彼らは笑い始めて、ヴィクターの大笑いに続いて。分かられないあんな絆があるものなのか?


 疑惑はないの?短い言葉と握手だけで、彼らはもう信じているのか?彼らは一体何者だ?本当は何を求めていたか?あんなリアクションなんて考えられない。


 やっぱり、馬鹿な人々に過ぎない。でも、悪い奴じゃない。それを分けるだけで、本当によかったんだ。


「——煩い笑いは今すぐに止めさせてもらいますかね?」


 表情は恐怖に満ちられている。トラウマを与えたものの存在が感じられて、周りに数えきれない数で出現している。屍者ではなく、反逆の一つの原因であったものだ。


 オンファロスに限らぬ、世界中でも偉大な未知の存在が感じられている。それは数が多いものではなく、一つの存在者である。


 死人たちと人間を見下ろし、オンファロスにいながら、世界中に放送されている。圧倒的な存在を持ち、存在者の姿は未知な生き物、赤いと紫の肌が青い鎧のようなものに。


「改めて紹介しますよ、人間。私の名前はストロンチウム、嫌悪神なんですよ。地球上の憎しみのおかげで、もう一度私が目を覚ました。」


“Mass consternation; the world witnesses the ascended entity.”

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