第15話Thoughts/Existence

“I am what my thoughts are.”


 連中の強大なる力、故に人が今普段の生活に戻りつつある。数が複数の国の人口を超えて、世界中に廃置されている。このまま続くと、屍者があるとしても、世界が平和になるだろうと、誰もがそう甘く思っている。


 残念でありながらも、複数の専門家が既に予想していた。恐怖は一種の道具、人間を統一にする道具である。その道具がなければ、人間はもう一度別れてしまうだろう。


 ただ数ヶ月後、人間は今も既に憎しみに満ちている。それは他の人間に対する憎しみである。憎み合う理由は、日常的で単純なものがあるなら、歴史的なものもある。


 復讐を求めるような、憎まれる悪魔のような人間に対する憎しみなら許されるものであるかと、未だに議論されている。


 悪魔とされる人間は、本当は悪魔の子孫であり、深い罪を犯したことのない人たちである。同時に、被害者たちはまだ生きているから、当然なる賠償を求めている。


 歴史的な憎しみ、昔から募ってきて受け継がれた憎しみ。真実は虚偽に覆い隠され、真実を知ったものを惑っている。その間、無関心な人の数も増えているだけ。それは聞き飽きる話のせいだから。


 解決のないままじゃ、平和がいつまでも届かれない。似ている件はどこにでもある。全てがそのままであると、止められなく炎上してしまうだろう。



 真実が明らかになる必要があるのはもちろん、みんながその真実を受け入れるようになるのが一番面倒だ。それより、無関心な人の思いも必要とされている。それの方が面倒である。


 俺もその無関心な人たちの一人。もう仕方ないと思いたくないけど、例え関心の心を持ちたくても、結局現実から目を逸らしてしまう。こういうのはいっぱいの人がある。


 逆に、よく憧れた人は悪魔の子孫、特定的に残酷な悪魔の息子である。そして、被害者の娘も知り合いである。彼女は幼年から賠償を求めていたものである。


 あんなに親しくはないから、二人の本当の思いは知るとは言えない。でも、二人はその問題を構わずにしているみたいだ。恐らく、公敵のため。


 ずっと忘れたな。俺も被害者の子孫の一人である。体が動けない被害者の息子だ。なのに、毎晩ずっと詳しく語られても、何故俺の心が動かされないだろう。動かせるよりも、その話を拒んでいるようだ。


 争いなんて嫌いだ。複雑なことも嫌い。全てが穏やかにあれば、それがいいと思う。だから、その心を刺さることからこの目がずっと逃げている。


 けれど、大人になって、ここまで辿り着いた後、もう一つの自分が生れてきた。それは争いを認めている自分である。苦しめるものがいなくなるためなら、彼がきっと存在している。


 同等、それと均等、対等、中立。あんなものは存在していない。例えあっても、すぐに事情が変わる。それを認め、動く“自”が等しくせずに、適当にする。きっと、二つの自分が満足するだろう。


「存在」


 ——何――!!?


 お、おい?嘘だろう。ここで人がいるって、嘘だ!


 血?血が出た!ちくしょう、彼女は明らかにもう死んだ。これじゃ、もう戻られねえ。どうする?何か、奇跡があるか……。


 ——待ってよ!死人がいる以来、無限な可能性が開かれてきた。あの時、オマの力を俺に見せた。あの時で村山が披露したのはかめはめ○に違いないんだ。ならば、ドラゴン○○もこの世界のどこかにある。それを探して彼女を蘇って、完璧なプランだ。


「あれっ!?ま、まだ生きているのか?ゆ、許してくれーー!!」


 ……まあ、そんなに大きな問題にならないようだな。


 それでも、彼女はさっきから全然何も言ってないって、もっと心配になるだけだ。俺を憎む?俺から賠償を求める?何を思っているんだ?


「私、存在している?」


「まあ、ここにいるって、存在しているに決まっているだろう。」


 ——ああ、違うんだ。あんな言い方なら、彼女はもっと怒るだろう。「存在」って、生きるという意味だ。彼女は俺の態度を確かめていたんだ。少しでもピンチをしたら、訴えるに決まっている。あんな冷静な顔って、本当は嫌悪を隠している。


「私がここにいるって、それを信じている?」


 いや、それは怒るじゃない。まさか、彼女って、記憶を失った?それなら、絶好が俺の方に来る。でも、今はちょっと冷静にしよう。少しのピンチでも俺が犯罪人になってしまう。


「もちろんですよ。君が道路に倒れて見つけたから、君が存在していると信じている。」


「それはあんたが私に衝突したから。」


 ちくしょう!やっぱり、彼女は怒っている。記憶失うなんて、それはやっぱりうまい話しだけだ。こうなれば、もう謝罪してしょうがないんだ。


「ご——危ない!!」


 面倒くさいな。こんな時で、屍者が急に現れたって、ラッキーだ。


 これじゃ彼女を屍者から救って、俺が謝罪を言わなくても、きっと許される。いや、ヒーローだと思われるに違いない。よし、屍者狩りだ。


 意外と、数が中々多すぎるじゃないか。弱くても、こんな数なら面倒すぎる。まあ、いい。数が増えるほど、俺がもっとヒーローと見られるだろう。彼女を守るヒーロー……。


「避けろ!」


 彼女のことを見逃してしまって、気づいたら屍者の数がもう多すぎる。ムカつく、ムカつくんだよ。


 複数の屍者を切り倒している最中、何かが変と感じられている。確かめてみれば、彼女はまだ生きている。肢体がなくても、まだその攻撃を耐えられる。


 その口から「存在」とずっと言い続けている。自分に言い聞かせるみたいで、まるでその言葉が生存の原因である。


 彼女のことがまだ俺を惑われながら、切断された肢体が戻り、その時大きな爆発が屍者を破壊する。


 彼女は死人なのか?まさか、さっきの事故の故に?


 凍り付くように、思考に囚われる俺が動かないままに、残る屍者たちが彼女を包む。気づいたら俺が叫び、走り出した時はもう遅い。自爆が爆発する。


 何ものだ?強い自爆だったんだ。生きるわけもねえよ。自分が存在すると信じることだけで、生きているのか?誰だ、彼女は。


「萎沢冬佳」


“To exist is to believe.”

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