歩き方

@bogenmogege

第1話

 幼い頃から列車に乗ることが当たり前だった下りがない奇妙な列車、それに私は目的地もなく『みんな』が乗っているからと何も疑問を持たずにくる日も来る日も乗り続けた、多種多様な乗り換えをする駅があったが私は決まって一番人がいる列車に乗った、2回目の大きな駅で、私は次の大きな駅に速く着くことが重要だと『みんな』に教えてもらった。私は努力して次の駅に出来るだけ早く着く列車に乗った、それは私にとって初めてと言えるほどの大きな成功でなんとも言えない幸福感と同時に不思議と何もないところでつまずいたような違和感があった、それから隣に座っていたAくんと仲良くなった、今は名前も思い出せないがとても真面目だった、だからこそAくんが何もないような駅で途中下車したことは、当時の私には全く理解できなかった、『みんな』は馬鹿にしていた、それでもAくんが降りたのには理由があり、それは私の価値観を一変させる、乗車前に感じていた違和感を増幅されるくらい影響があった、私は今までの価値観と新しく芽生えた価値観との差異で苦しくなり『みんな』と同じ空間にいるのがつらくなった、そして自分の気持ちや価値観に決着をつける前にAくんと同様降りてしまった、『普通』から外れてしまった、それでも次の日は来たし、歩くことができた、そしてこれからは自分の足で好きなところに歩いていくことが『普通』になっていく、今の自分が絶対じゃないし後で後悔することも多いだけれども自分を変えなきゃ周りは変わらないだからこそ、私は今も歩き続けている。

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