第3話 なに…話してたっけ?
登場人物
性別:男
年齢:25
身長:172
性別:女
年齢:25
身長:163
性別:男
年齢:25
身長:182
次の日。
「どうよ、最近。
そう圭吾がコーヒーを飲みながら太希に尋ねる。
「ん?変わんねぇよ。いつもの様に毎週金曜日に
そう太希はミックスジュースを飲みながら答える。
「どうこうなりたいとは思わんのか?」
「どうこうって?」
「付き合いたいとかだよ。」
そう圭吾に言われて太希は少し考える。
「・・・そういう気持ちは…ないかな。
多分、そういうのは8年前のあの日、終わったと思うから。」
そう太希は答える。
その答えを聞いた圭吾は少し間を作ると口を開く。
「・・・本当…変わってるよな。
お前等の関係って。」
「…オレも…そう思うよ。」
※
太希と圭吾が喫茶店で雑談をしている頃、水樹は1人で外を散歩していた。
そんな水樹の目に“サイダー”を美味しそうに飲んでいる子供の姿が
その子供を見つめながら前に太希に言われた言葉を思い出す。
{お前はもう嫌いなのか?}
その言葉を思い出すと水樹は近くの自販機でサイダーの缶を買う。
そして、1口飲むと「・・・こんなに…甘かったっけ?」と小さく呟く。
そんな水樹の心には高校の時の思い出が
太希と2人、ベンチに座ってサイダーを飲みながら話したくだらない会話。
そんな会話がなぜか…とても楽しかった。今思い返すと記憶にすら残っていないほどの会話だ。でもなぜか…楽しかった事だけは強く心に残っている。
「・・・なに…話してたっけ?」
そう水樹は空に向かって小さく呟くと自分の家に向かって歩き出す。
※
次の金曜日。
「ねぇ。太希君。夜景見に行こうよ。」
そう水樹がいきなり
「夜景?」
「うん。ほら、高校の時によく行った展望台があるでしょ?あそこ。」
そう言われて太希は思い出す。
「でもここからは少し遠いぞ?」
そう太希は言葉を返す。
「いいじゃん。太希君の車で行こう。」
そう水樹が笑みを見せて言う。
「・・・まぁ…いいか。」
そう太希は了承する。
※
そして、車で約10分かけて2人は展望台にやって来た。
「うわ~ぁ。久しぶりだ~ぁ。」
そう水樹はテンションの上がった声で言う。
「夜来るのは初めてだけど、こんな景色なんだ。」
そう言いながら水樹が見つめる先には宝石の様に輝く町の光が広がっていた。
「綺麗だね。」
そう水樹は隣に立つ太希に話しかける。
そんな水樹の横顔を少し見つめた後に太希は「そうだな」と返事を返す。
その後2人は近くのベンチに座って休む。
「ねぇ、太希君。」
「ん?」
「高校の時もこうやってよく並んでベンチに座りながらお話したでしょ?」
「したな。」
「その時の会話の内容、覚えてる?」
そう聞かれて太希は考える。
「いや…覚えてないな。」
その太希の答えに水樹はクスッと笑う。
「なんだよ?」
そう太希は目線を水樹に向けて聞く。
「ううん。私と同じだなと思っただけ。」
そう嬉しそうに水樹は答える。
そんな水樹の横顔から目線を
「でも…楽しかった事だけは覚えてるよ。」
その太希の言葉に水樹は目を大きく開くと先ほどよりもさらに嬉しそうに微笑む。
「よ~し!!ここで飲もう!!」
そう叫ぶと水樹はベンチから立ち上がる。
「はぁ?酒なんて持ってきてねぇだろ?」
そう太希が言うと水樹は人差し指を左右に振る。
「ここに上がってくる途中にお酒の自販機を見つけたのだよ。」
そう水樹は胸を張って答える。
「行くぞ。太希君。」
そう言って水樹は太希の手を掴むと坂を走って下りる。
そんな2人の様子は
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。