第2話 今でも好き?

登場人物


山西やまにし太希たいき

性別:男

年齢:25

身長:172


神川かみがわ水樹みずき

性別:女

年齢:25

身長:163


四条しじょう七海ななみ

性別:女

年齢:25

身長:144




水樹みずき太希たいきを振った理由を聞いた七海ななみは「“複雑ふくざつ”すぎてウチには理解できんよ。」と言葉を返す。


その後、少し間を作って七海は言葉を続ける。


の太希君はあんたの事、どう思ってるんだろうね。」


その七海の疑問に水樹は目線をそらに向ける。



次の金曜日。

水樹はいつもの様に太希の家でチューハイを飲んでいる。


床に寝転がった水樹は酔った甘い声で太希にお願いする。


「太希君~。なんかおつまみ作って~。」


「はぁ?!つまみ?!自分で買ってきたスルメがあんだろがぁ。」


そう言いながら太希はスルメが入った袋を掲げる。


「もっと家庭的なおつまみが食べたいの~!!」


そう駄々をこねる子供の様に水樹は体をばたつかせる。


「わ~ぁたから落ち着け。ここマンションなの。下の部屋の人に迷惑だからやめろ。」


そう言って太希は水樹の駄々を止める。


キッチンに来た太希は考える。


(さ~ぁて、どうするかな?

つまみなんて作ったことないからなぁ。

とにかく冷蔵庫の中を確認しますか。)


そう思って開けた冷蔵庫にある使えそうなものはキュウリ1本だけだった。


「・・・適当に切って、醤油とごま油で味つけすればいいか。」


そう考えた太希は3分ほどでおつまみを作り終える。



「うむうむ。シャリシャリしてて旨いですなぁ。味もお酒に合う。合格です。」


そう言いながら水樹はキュウリを酒で流し込む。


「満足してもらえたなら、何よりです。」


そう太希は言葉を返す。


「よ~くできましたね~。」


そう言いながら水樹は太希の頭をでる。


(この…酔っぱらいが。)


そう太希は心の中で思いながら水樹に呆れた視線を向ける。



それから数時間後、水樹が声を小さくして太希に尋ねる。


「・・・ねぇ。太希君。」


「ん?」


「太希君は…私の事…今でも好き?」


そう予想もしていない質問に太希は動きを止める。


太希の目に映る水樹は真剣な眼をしていた。


太希はその眼にこたえるために正直な想いを口にする。


「好きだよ。」


その短い太希の返事を聞いた水樹は最初、嬉しそうに目を輝かせるがすぐにその輝きは消え、寂しい影を作る。


その影に太希は気づかなかった。



それから数時間後。水樹は酔いきって床に倒れる。


そんな水樹に太希は毛布をかける。


「ありがとう。」


そう水樹が微笑んでお礼を言う。


「ねぇ。太希君。私の事、恨んでる?」


そう唐突とうとつに聞かれて太希は「え?」と驚く。


「だって私、太希君の事、意味の分からない言葉で振ったでしょ?」


そう言われて太希はその言葉を思い出す。


{太希君の事は好きだよ。

でも…付き合えない。}


「意味の分からないって自覚はあるんだな。」


そう太希が言うと水樹は軽く笑う。


「当たり前でしょ?

私、そこまでバカじゃないよ?」


その水樹の言葉に微笑むと太希は答える。


「安心しろよ。恨んでねぇから。」


そう太希が言うと水樹は安心した様な笑みを見せる。


「ありがとう。太希君。」


そのお礼には返事を返さないで太希は立ち上がると「おやすみ」と言ってリビングの電気を消す。

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