4 激闘1


「今度はこっちからいくよ、レイヴンくん――」


 ごうっ!


 マルスの全身から魔力のオーラが湧き上がった。


 基本的に魔力量が多いほど、オーラの面積も広くなる。


 以前のマルスのオーラは、ごく薄い膜を体の外側にまとうようなビジュアルだった。


 けれど、目の前のマルスは体中から炎が吹き上がるような激しく大量のオーラを噴出している。


 その量は俺と同等まではいかないものの、近い量になっているかもしれない。


 学園入学当初、マルスの魔力量が学年下位だったことを考えると、わずか半年ほどで信じられないほどの成長ぶりである。


「【螺旋魔弾らせんまだん戦嵐せんらん】!」


 マルスの周囲に無数の光弾が浮かび上がる。


 そのすべてが螺旋回転を始めた。


「な……に……!?」


 一撃必殺の威力を持つマルスの【螺旋魔弾】が、今度は数十発単位で襲ってくる――!?


「終わりだ、レイヴンくん!」


 マルスは【螺旋魔弾】を一斉に放った。


 いくら俺でも、これをすべて【シールド】で防ぐのは無理だ。


 間違いなく【シールド】の方がもたない。


 並の魔法ならともかく、奴の【螺旋魔弾】は相手の魔力を分解し、あらゆる防御を突き破る貫通する効果があるからな。


 なら、ここは回避一択。


「【フライト・最上級】!」


 俺は飛行魔法を最大レベルで発動した。


 とにかく、この場から全速力で離れなければ――。


「そう来ると思っていたよ」


 マルスが俺のすぐ目の前にいた。


 まるで瞬間移動だ。


 いや、単に俺の動きを予測して前もって回り込んできたのか……!?


「君の判断は早い。そしていつも的確だ。だからこそ読める――いや、信頼していると言うべきかな?」


「くっ……!」

「【ルーンブレード】!」

「……っ! 【ルーンブレード】!」


 マルスが繰り出してきた魔力剣を、俺はとっさに生み出した魔力剣で受け止める――。



****

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