第9話
──本格的に夏の暑さが訪れた。
高校入学後、初めての期末試験も終わり、夏休みを直前に控えた頃。
優樹は
「ごめんなさい。友達としか思えないから、恋人にはなれない……」
「……そっか……」
優樹はかろうじて、そう応えた。
──明るく振る舞わなくてはいけない。
とっさに優樹は形式的に口角を上げてみる。
自分の顔など見えないが、ひどく歪んでいるであろうことは予想がつく。
出会ってから今までの関係性から、優樹にはそんな確信めいた自信があった。
だが、ただの自惚れだったのだ。
貼り付いた笑顔で別れ、家路につく。
◇
「振られたですって!?」
──そんなはずはない、と思った。
入学式の時、
──優樹は夕食を済ませると、早々に自室へと戻っていった。
──これで良かったじゃない。
しかし、心の声とは裏腹に、ドスンと重いものが乗ったような、苦しみを覚えた。
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