裏切られた男、最強の力を手に異世界で逆襲を始める

第18話 過去の清算

「なあ、三田村。あの時のことを覚えているか？」

　玲二は静かに語り始めた。彼の目には怒りと悲しみが入り混じっていた。

「お前は、俺を信頼していると見せかけて、最後には裏切った。俺は、お前たちと一緒に夢を追いかけていたんだよ……だけど、お前たちは最初から俺を利用していただけだった」

　三田村は玲二の言葉に耐えられないかのように顔を背けた。しかし、玲二は構わず続けた。

「俺は、あの時何も分からなかった。どうしてお前たちが俺を裏切ったのか、理解できなかった。だが、今なら分かる。お前たちは、ただ自分の欲望を満たすためだけに俺を利用したんだ」

　三田村は絶望に満ちた目で玲二を見上げた。

「ま、待ってくれ！　俺たちがしたことは間違っていた……確かに、俺たちはお前を利用してた！　だが、今は……！」

「言い訳はもういらない」

　玲二の声は冷たく響いた。

「俺を裏切ったお前たちには、それ相応の報いを受けてもらう」

　三田村は何とか逃げ出そうと足掻いたが、結界の力に縛られていた。彼の目に映る玲二は、かつての仲間ではなく、復讐に燃える絶対的な存在だった。

「もう、終わりだ」

　玲二は三田村に向かって手を振り上げ、その拳に全力のエネルギーを集めた。彼の拳には、異世界で培った最強の力が込められていた。

「ざまぁみろ、三田村。俺が今からお前に与えるのは、あの日お前が俺に与えた苦しみの報いだ」

　玲二はその言葉と共に、一撃を繰り出した。その拳は三田村の胸に突き刺さり、彼の体が宙に浮かび、数メートル先の地面に叩きつけられた。

「ぐああああっ……！」

　三田村は苦しみの声を上げながら、地面に倒れ込んだ。その目には、完全な敗北と絶望が浮かんでいた。彼は勇者としてのプライドも何もかもを失い、ただの無力な存在に成り果てていた。

「これで終わりだ、三田村。お前が俺を裏切った代償は、これだ」

　玲二は冷静に三田村を見下ろし、その場を去ろうとした。

　エリザとセリーヌも静かに立ち尽くしていた。彼女たちは玲二の復讐の瞬間を目の当たりにし、その感情の揺れを感じ取っていた。

「玲二……これで、過去と決別できたのね」

　エリザが静かに言うと、玲二は少しだけ微笑んだ。

「ああ。俺はもう過去に縛られることはない。これからは、もっと大きな目標を見つけて、この世界で生きていく」

　玲二はそう言い残し、三田村たちを無力化し、彼らの力をすべて奪った。復讐を果たした今、玲二の心には新たな旅が待っているという確信が芽生えていた。