第15話 罠の準備

 玲二が三田村たちの存在を知った夜、彼の心にはかつての裏切りと死の記憶が鮮明によみがえった。裏切られた怒りが胸を熱くし、復讐の思いがますます強まっていく。しかし、彼は冷静さを失うことなく、三田村たちの動向を慎重に探ることを決意した。


エリザとセリーヌもその計画に加わり、彼らは三田村たちの行動を追跡し始めた。グラディアの街で情報を集めるうちに、三田村たちが街の裏社会と手を組み、違法な取引や力を誇示していることが明らかになった。


「奴らはただの傲慢な人間じゃない。裏社会と結託して、何か大きなことを企んでいるようだ」


玲二はそう呟き、エリザとセリーヌに目を向けた。彼の表情は、かつての痛みと怒りに満ちていたが、冷静さを失ってはいなかった。


「奴らを一気に叩くためには、慎重に計画を立てなければならない。勢い任せではなく、確実に罠を仕掛ける必要がある」


 玲二、エリザ、セリーヌの三人は夜遅くまで集まり、三田村たちを陥れるための罠の詳細を練った。


「まず、奴らを油断させる必要がある。自分たちがこの街で無敵だと信じているうちは、罠にかけやすいはずだ」


 エリザが冷静に言った。彼女は騎士団としての経験から、慎重な作戦が重要だと感じていた。


「そうね。彼らの傲慢さが弱点になる。そこを突けば、我々が有利に立てるわ」


 セリーヌは静かに頷き、次の手を考え始めた。彼女の魔法を駆使すれば、三田村たちの魔力を封じ込め、無力化することも可能だろう。


「奴らが次に狙っている取引を利用するのはどうだ? 違法な取引を通じて、我々が奴らを誘い出し、油断させたところで一気に叩く」


 玲二は自分の考えを二人に伝えた。三田村たちが裏社会との取引を頻繁に行っていることを知っていた玲二は、その取引が彼らをおびき出すためのチャンスだと見抜いていた。


「いいわね。それなら、彼らが罠に気づく前に動くことができる」


 エリザは玲二の提案に賛同し、具体的な作戦を考え始めた。


 まず、セリーヌは魔法で街の一角に隠された小さな結界を張り、その中にいる者が外界と繋がれないようにする罠を準備した。これにより、三田村たちが玲二たちの攻撃を察知する前に、彼らを閉じ込めることができる。


「この結界内でなら、彼らの魔力も封じることができるわ。問題は、どうやって彼らをこの場所までおびき出すかね」


セリーヌが言うと、玲二は自信に満ちた笑みを浮かべた。


「そこは任せろ。奴らが欲しがっている『闇の力』に関する偽の情報を流せば、必ず乗ってくるはずだ。奴らは今、自分たちが無敵だと思っているからな」


 玲二は裏社会の情報屋を通じて、三田村たちが「闇の力を持つ遺物」を手に入れるために動いていることを知っていた。それを利用し、玲二は偽の情報を流すことにした。


「『遺物』がグラディア郊外に隠されている、という情報を流そう。奴らは必ずそこに向かうはずだ」


 玲二の作戦に従い、街の裏社会に広がる情報網を利用して、三田村たちに誤った情報を伝える工作が始まった。玲二たちはその遺物が隠されているとされる場所――セリーヌが結界を張った場所へ、三田村たちをおびき寄せる計画を練り上げた。

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