第12話 遺跡への挑戦
翌日、玲二、エリザ、そして新たに加わったセリーヌの三人は、遺跡に向かって旅立った。遺跡はグラディアから少し離れた場所にあり、険しい山々に囲まれていた。その入り口は岩に覆われており、一見するとただの洞窟にしか見えなかったが、近づくにつれて強い魔力の気配が感じられた。
「ここか……」
玲二は目の前に広がる遺跡を見上げ、拳を握りしめた。これまで経験したことのない強大な力が、ここに潜んでいるのは間違いない。そして、それに挑むことこそ、彼がさらに強くなるための試練となるだろう。
「気をつけて。この遺跡には古代の魔法が封じられているという噂もあるわ」
セリーヌが警告を発したが、玲二は迷わず前進した。エリザもその後に続き、セリーヌは魔法で周囲を警戒しながら三人で遺跡の奥へと進んでいった。
遺跡の内部は広大で、冷たい空気が漂っていた。壁には古代文字が刻まれており、それらが何を意味しているのかは不明だったが、セリーヌはそれを読み解こうと目を凝らした。
「これは……『封印された魔王』……?」
セリーヌが呟いたその瞬間、突然、足元の床が揺れ始めた。次の瞬間、巨大な扉が目の前に現れ、その中から圧倒的な魔力が解き放たれた。
「来るぞ……!」
玲二は構えを取り、エリザも剣を抜いて前に進んだ。そして、その扉の奥から現れたのは、巨大な魔物――封印されていた古代の魔王だった。
魔王は黒い甲冑に身を包み、その目には冷酷な光が宿っていた。彼の存在だけで空気が重くなり、周囲の魔力が圧倒的な威圧感を放っていた。
「まさか、ここに封印されていたのは本当に魔王だったのか……!」
エリザが驚きの声を上げるが、玲二はその魔王をじっと見据えていた。彼にとって、これはまた一つの大きな試練であり、ここで勝利することで自分がこの世界での本当の力を証明することができる。
「俺が相手をする。セリーヌ、エリザ、援護を頼む」
玲二はそう言い放ち、魔王に向かって突進した。だが、魔王もまた圧倒的な力を持っており、その動きは素早く、重い一撃を玲二に放ってきた。
玲二は間一髪でその攻撃をかわし、拳を魔王の鎧に叩きつけた。しかし、魔王の鎧は堅く、拳の衝撃を吸収するかのように全く効果がなかった。
「硬い……!」
玲二は驚きつつも、次の攻撃を準備した。その時、セリーヌが呪文を唱え、玲二の体に魔力のオーラが纏われた。
「これで君の攻撃力が上がったわ! もう一度試して!」
玲二は頷き、再び魔王に向かって突進した。今度はセリーヌの魔法の力を借りて、拳にさらに強力なエネルギーを込めて放った。その一撃が魔王の鎧に命中した瞬間、鎧が割れ、大きなひびが入った。
「いける……!」
玲二は確信し、再度攻撃を続けた。エリザもその隙を突いて剣を振りかざし、魔王に連続で攻撃を加えていく。魔王は圧倒的な力を持ちながらも、玲二たち三人の連携には少しずつ押され始めていた。
しかし、魔王は最後の力を振り絞り、強大な魔法を放とうとしていた。地面が割れ、大地が震え、炎のような魔力が周囲を包み込んだ。
「まずい……このままでは!」
玲二は全力で魔王に向かって突進し、最後の一撃を放った。その拳が魔王の胸に突き刺さり、魔王は轟音と共に崩れ落ちた。
魔王が倒れた後、遺跡は静けさを取り戻した。玲二は肩で息をしながら、仲間たちを見渡した。セリーヌとエリザも無事で、三人は互いに微笑みを交わした。
「やったな……」
玲二は自分の拳を見つめながら、再び自分がこの世界で強くなっていることを実感した。彼の力は確実に成長し、さらに大きな試練を乗り越えることができるようになった。
「これで、また一歩進めたわね」
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