第3話 異世界での新たな始まり

 異世界に降り立った玲二は、広がる草原を見渡した。空気は透き通っていて、風は柔らかく心地よい。日本では感じたことのないような新鮮さが、この世界には満ちていた。


「ここが……俺の新しい世界か」


 玲二は一歩を踏み出した。その足元には緑の草が広がり、遠くにはなだらかな丘が見える。この場所がどこなのか、そして自分がどんな冒険をすることになるのかはまだわからない。だが、玲二の胸には高揚感と同時に、復讐の炎がくすぶり続けていた。


「まずは、俺の力を試してみるか」


 玲二は拳を握りしめ、自分の体に宿った力を確認するように意識を集中させた。神から与えられた「最強の力」。それがどのような形で現れるのか、玲二にはまだはっきりと理解できていなかった。だが、体の奥底から湧き上がるエネルギーは、確実に自分が現実世界の自分を超えた存在になったことを示していた。


「……行くぞ!」


 玲二は拳を大きく振りかぶり、目の前に広がる空気に向かって放った。次の瞬間、目の前の空間が割れたかのように大気が爆ぜ、周囲に激しい風圧が巻き起こった。


「な、なんだこれ……」


 玲二は思わず驚きの声を上げた。自分の一撃が、まるで台風のような力を生み出し、周囲の草木が吹き飛ばされていくのを目の当たりにしたのだ。玲二の体には明らかに異常なほどの力が宿っていた。


「これが……最強の力か」


 玲二は自分の体にみなぎる力を改めて実感した。今までの自分では到底あり得ないほどの強大な力――神が言っていた通り、彼は確かにこの世界で最強の存在となっていた。


 玲二はしばらくその場に立ち尽くし、自分が手にした力をかみしめた。だが、それでも彼の心には一つの疑問が残っていた。この力を手にして何を成すべきか。復讐のためだけにこの力を使うのか、それともこの異世界で何か別の目的を見つけるべきなのか。


「……まずは、この世界を知ることだな」


 玲二は呟き、広がる大地を見渡した。この世界にはまだ何も知らない。誰も知らないし、どんな生き物や危険が待ち受けているのかもわからない。だが、それは玲二にとって恐怖ではなく、むしろ期待感を抱かせた。


「面白くなってきたじゃないか」


 玲二はそう言い残し、広がる草原に向かって歩き出した。

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