BONUS-TRACK:2 10 months later
【シチュエーション:一緒の大学へ進学し、季節が巡って秋に。連休を利用して温泉旅行にやってきた主人公とヒロインが泊まった部屋には、露天風呂が付いていて――?】
【露天風呂での会話/ヒロインの位置は前/はじめは湯船に浸かるまで距離は普通】
(SE:脱衣所から露天風呂へ出る扉を開ける音)
(SE:石タイルの上を裸足で歩く音)
「いやあ~、いい眺めですなあ。遠くには海、周囲には紅葉! 深呼吸をすれば……うーん、あはは、ちょっと硫黄のニオイ」
「でも、潮の香りと森の匂いが混ざり合って、そんなイヤな感じでもないね?」
(SE:かけ湯をする音)
(SE:湯船に浸かり、湯が波打つ音)
【二人並んでゆるりと/ヒロインの位置は左/距離は真隣】
「それにしても。ここってすごく有名な観光地だけれど、旅館は思っていたより地味――ああっと、古風な外観だったね」
「まあ、山間にリゾートホテルみたいなのがドーンと構えられても風情がないか」
「いやいや、悪く言っているわけじゃないんだよ? おかげで静かな空間を楽しめるし」
「個室の露天風呂とか、さいっこー……」
「あ、そうだ。ほれほれ、こっちおいでよ」
「だから、ここ。あたしのおっぱいの上」
「何でって、そりゃあ、ここまで運転してきてくれた君へのお礼というか」
「ほんと、ありがとね」
「だから、ハイ、いらっしゃーい。にししっ、素直でよろしい♪」
(SE:主人公が移動するため湯の動く音)
【ヒロインのおっぱい枕に後頭部を沈めている体勢/位置は後ろ(やや上)/距離近い】
(SE:頭のマッサージをするため、手の動きに合わせてお湯の音)
「運転中は目に負担がかかるっていうからね、顔周りを重点的に揉みほぐそっか」
「……ん? なんか今、急に体の力が抜けたみたいだけど……そんなに気持ち良かった?」
「……あー、あたしが何かイタズラすると思って身構えてたんでしょ」
「いやまあ、ラッコみたいにキミの頭を打ち付けたら面白そうだなとかは思ってたけど」
(SE:主人公が抜け出そうと暴れる音)
「冗談、冗談だから! こらっ、あーばーれーなーいーっ!」
(ヒロインの呆れたような困ったような、苦笑い混じりの吐息で間を空けてから)
「でもさ。たまには色々と、変わったこととかやってみたいなあと思ったりするわけですよ」
「例えば? うーん……あっ、一回ムチとか使ってみたい! ろうそくとか!」
「ダメぇ? ちぇー」
「あたしだって別に、そういう趣味があるわけじゃないけどさあ」
「なんていうの? こう……他の人じゃ絶対に見ることができないキミの表情を発掘したいといいますか」
「例えば、運転中の真剣な横顔とか」
「うん、それも特別なんだよ。『あたしという彼女を助手席に乗せている時のキミの横顔』って、あたしにしか見られないじゃない?」
「にししっ、照れてる? 茹だるの早くなーい?」
「キミってさ、こういうとこカワイイのに、陰ではすごくカッコイイよね。知ってるよ」
「今回の旅行だって、配信での収入だけに頼るのはよくないって、バイトかけもちしてたもんね」
「課題もきっちりこなしてさ。そのくせ、あたしに会う時は全然余裕みたいな顔してさ」
「男の子のそういうとこ、好きだなあ」
「まあ欲を言えば? どうせなら間近で見たいなあと思うわけですよ」
「……だからさ。見せてよ、キミの頑張るところ。共有させてよ。その時間ごと」
「めいっぱい応援して。頑張った後は、こうしてマッサージとかするからさ」
(SE:主人公がぶくぶくと湯船に顔を沈める音)
「こーら、潜って誤魔化すなー!」
(SE:ここから何度か音が水中で聴くような籠った感じになる【以下(水中)と表記】)
「ようし、そういうつもりなら――」
(水中:右耳に)「ぶくぶくぶくぶくー」
(SE:主人公が跳び上がり、水が跳ねる音)
「にっしし♪ どーよ、水中吐息ASMR!」
「おっ、存外悪くない反応だ。けれど、あたしが何て言ったかまでは気付かなかったみたいだね」
「わかんない? じゃあもう一回やってみよっか」
(水中:右耳に)「ぶくぶくぶくぶくー」
(水中:左耳に)「ぽこぽこぽこぽこー」
「さて、何と言ったでしょう!」
「『好き』? あははっ、ハズレー。そんな短くなかったじゃん」
「『愛してる?』 いやキザか。ちょっと早くない? まだお風呂だよ? というかそういうのってキミから言うべきことじゃない?」
「もーう、それっぽいこと言えば誤魔化せると思ってるでしょ。もう一回ね」
(水中:右耳に)「ぶくぶくぶくぶくー」
(水中:左耳に)「ぽこぽこぽこぽこー」
「はい、答えをどうぞ!」
「ふむふむ、『どーよ、水中吐息ASMR』? ああなる、そういう路線ね。ぶっぶー」
「わかんない? 正解はねー」
「実は何にも言ってなくてただぶくぶくしているだけでしたー♪」
「あたしという天使の吐息に、コトバなんていらないのだよ☆」
(SE:主人公がお湯を掬ってぶっかける音)
「きゃー! ごめんて、ごーめーんって! ちょっとからかっただけじゃん!」
「きゃーっ!」
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