エピローグ

【主人公が右、ヒロインが左で並んでベッドにもたれるように座っている立ち位置】

「飲み物よし、ピザよし、オードブルよし、ローストビーフよし、ケーキよしっ♪」


「それではぁー、君とあたしの受験合格と! 『紗々夜キイナ』のダミーヘッドマイク購入後初配信の成功を祝して!」


「かんぱぁーい♪」


「やー、すごい達成感だねえ! まさか高校生のうちに目標額行けるとは思わなかったよ~!」


「これが若さってやつですか? 振り向かなくていいですかっ? 光の速さで明日へダッシュしてもいいですかっ!?」


「んくっ、んくっ、ぷはーっ! 今なら何でも成し遂げられそうな気分だぜぃ♪」


「……むぅ、わかってますぅ。今日だけ! 今日だけははしゃがせて?」


(SE:窓をガラッと開ける音)

「あばよ、過去きのう~!!」


「えっ、しつこい? にっしししし」



「でも本当、頑張ったよねえ」


「君が大学の先生から呼ばれたときはどうしようって思ったけど、まさか新入生代表挨拶を任されるなんてさ」


「本当に、自慢のカレシだよ♪」


「そう考えると、ごめんね? せっかくなら良いところでお祝いしたかったんだけど」


「さすがに人前で『紗々夜キイナ』の名前を出すのはアレだから……」


「えっ? 今回は『紗々夜キイナ』のことだけにして、受験合格については別枠でお祝いすればいい?」


「あ、それいいね! あったまいー♪ よっ、さすが新入生代表!」


「や、バカにしてないってば。ひねくれすぎぃー」




「で、どうだった? ダミヘ君での初・配・信!」


「……なーにぃー? 物足りなかったぁー!?」


「はっはーん、そういうこと言っちゃうんだ。ふうーん」


「いいよ、理由は聞かなくてもわかるから」


「どうせ、『あたしの生囁きの方がいいから~』ってところでしょ?」


「……でも、ね」


「ダミヘ君には申し訳ないんだけど、実はあたしもおんなじだったりして」


「だって――」


(左耳囁き)「こうして君に直接囁くのがしっくり来るんだもん」


(SE:ベッドの上を回り込んでくる、かすかに軋む音)


(右耳囁き)「メンシ会員でも聴くことのできない、君限定の生ボイス~♪」


(左耳囁き)「今までありがと。これからもよろしくね」


(左から正面に回るように)「んーちゅっ♪」






『リアルヘッドマイク~推しのASMR配信者が幼馴染だった件~』(完)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

リアルヘッドマイク~推しのASMR配信者が幼馴染だった件~ 雨愁軒経 @h_hihumi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画