第3話 格闘ゲーム部

翌朝、両親に新しい夢のことを相談した。

格闘ゲームに挑戦したいという気持ちを伝えると、二人は驚きながらも笑顔で応援してくれた。

「お前がやりたいことなら、全力で支えるよ」と父が言ってくれたその言葉は、大吾にとって大きな励ましとなった。

事故の際にもらった慰謝料は手をつけずに残していたため、その資金でゲーム機やソフトを購入することもできると知り、心がすっきりとした。


気持ちが晴れやかになった大吾は、期待を胸に入学式へ向かった。

学校に着くと、目に飛び込んできたのは「格闘ゲーム部」の看板だった。

心臓が高鳴り、自然と足がその方向に向かう。ドアを開けると、部室は明るく、数人の先輩たちが楽しそうにゲームをしていた。


部員は3年生が1人、2年生が1人、そして1年生として大吾を含めて2人だった。

3年生の先輩は、きっちりした性格で、練習を怠らず、真剣に取り組む姿勢が印象的だった。

2年生はお調子者で、場を和ませるような存在だが、好きなことにはひたむきに取り組んでいるようだった。

そんな先輩たちを見て、大吾の心はますます踊った。


そして、もう一人の1年生、名前は「高橋亮」と言った。

彼は神経質で完璧主義だが、協調性に欠けていて孤高の存在だった。

中学時代から格闘ゲームをしており、そこそこ名の知れた人物でもある。

大吾は彼の存在に少し驚きながらも、興味を持った。

きっと彼も自分と同じように夢を追いかけているのだろう。


「よろしく!新入りの轟大吾です!」

と挨拶すると、2年生のお調子者が笑顔で返してくれた。


「俺は佐藤、これから一緒に頑張ろうな!」


その言葉に、大吾は期待感を抱いた。


「高橋、これからよろしくな」


と声をかけると、彼は無言だった。

その反応に少し戸惑いながらも、大吾は彼との距離を縮めようと決意した。


「自分はまだまだ何もわからない新参者だ。全てを吸収するつもりで頑張るぞ」


そんな気持ちで、これからの練習や大会への挑戦に向けて、大吾は心の準備を始めた。

新たな仲間たちと共に、彼の夢の第一歩が始まったのだ。


この先いったいどのような出会いと挑戦が待っているのか、期待に胸を膨らませる大吾の心に、新たな火が灯ったのであった。

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