　アランが旅を続けるうちに、街道の様子が少しずつ変わり始めた。道は広く整備され、川沿いの風景も一変していた。街道沿いには立派な石造りの建物が立ち並び、周囲の雰囲気が首都に近づいていることを強く感じさせた。

　遠くの地平線には、首都ニウブルフの壮大な建物の輪郭がぼんやりと見え始め、アランはその姿を目にして目的地が近いことを確信した。

「ついに首都が見えてきたな…」

　川沿いには貿易や商業の活気が感じられ、首都の影響が周囲にまで広がっているのがよく分かった。

　さらに進むと、ついに空から首都ニウブルフがはっきりと見えてきた。遠くに広がる都市は、ゼーゲン川が貫き、その支流が街を縦横無尽に流れている。

　中心には、羽橋「新たな橋（二ウブルフ）」が堂々と架かり、その優雅な羽橋は魔術の力で開閉され、絶え間なく行き交う運搬船や商船をスムーズに通していた。その光景は科学と魔術の融合の象徴であり、ニウブルフの魔導技術の発展を感じさせる景観のひとつであった。川に沿って石造りの建物が整然と並び、歴史と活気が融合した街並みは、世界中の貿易品が集まる商業都市としての威厳を感じさせる。

　ニウブルフは、オースチアの首都であり、アネケアス州の文化と学問の中心でもある。オースチアの自由で開かれた文化により、各地から人々が集まり、芸術や学術が盛んに発展している。この街では、日常的に芸術祭や音楽祭が行われ、世界中からの芸術家や研究者が集まり、国際的な交流の場ともなっている。

　整然とした区画の中、行政区には王城や議事堂がそびえ立ち、政治の中心として機能している。商業区では、市場や商店が多く並び、交易の要として賑わっている。学術区には、ニウブルフ学園を中心に、魔法学や自然科学の研究施設が点在しており、学者や学生たちが日々研究に励んでいる。そして、居住区には優雅な邸宅が並び、興行区では劇場や美術館があり、街の人々や観光客が芸術や娯楽を楽しむ場となっている。

　ニウブルフは「橋の都市」とも呼ばれ、街を流れる川と、そこに架かる橋によって、人々の生活と経済活動が豊かに支えられている都市だった。

　アランは空を飛びながら、浮遊する魔法で支えられた空中関所に立ち寄った。この関所は、空を移動する者たちの通過を管理するために設置されており、宙に浮かぶその構造は壮大で、不思議な静けさを漂わせている。首都へ向かう飛行者たちはここで手続きを済ませるために一時停止し、アランも同じように立ち寄り、関所で無事に手続きを済ませた。眼下には、首都ニウブルフの活気あふれる光景が広がっていた。

　運河を行き交う船や石造りの建物が立ち並び、賑やかな通りには商人や旅人、住民たちが行き交っている。アランは首都の風景に圧倒されながらも、街の中に降り立った。魔導書を届けるのは明日ということもあり、一旦宿を探すため、商業区へ向かった。運河沿いの風景を眺めつつ、彼は快適に過ごせる宿を探すため、街を少し探索することにした。