魔導運送士

報告

　アランたちは森を後にし、魔獣の死体と共にギルドへ戻った。道中、街道は人通りが少なくなっていた。この辺り一帯には魔獣発生の情報が広まり、人々が通行を避けていた。それも魔獣討伐の報告を行えば解かれることだろう。

　ギルドに到着すると、エデルが受付に向かい、担当者に報告を始めた。

「ストロメンドの森で発生していた魔獣の脅威は、無事に解決した。」

　受付の係員は緊張した面持ちで彼らの報告を聞き、真剣な表情でメモを取り始めた。

「そうですか、ありがとうございます。今、ギルドマスターをお呼びしますね。ところで、魔獣の死体は？」

　アランがトランクケースを持ち上げ、答えた。

「こちらにあります。後で調査してもらうため、ギルドに預けます。」

　係員は驚きながらも、頷いて対応を進めた。

「わかりました。後ほど専門家に確認させます。」

　その後、アランたちは一息つきながら、ディランに詳しい状況を説明した。魔獣が突然変異体であること、森の主が現れて助けてくれたこと、そして森が再び平穏を取り戻したことを報告した。

　ディランは話を聞き終え、深く頷いた。「お前たちのおかげで森の脅威が取り除かれた。森の主の話も興味深い。今回の件について、我々もさらに調査を進めるつもりだ。」

　エデルが軽く礼をし、アランたちはひとまず任務の成功を確認した。

「これでひとまず安心だな。森も平穏に戻ったし、次の対策はギルドに任せよう。」

　アランたちがギルドで報告を終え、一息ついていたところ、ヴェースの安全管理部門の責任者であるレンブラントがやってきた。彼は少し疲れた様子だったが、アランたちに向かって安堵の表情を浮かべながら頭を下げた。

「アラン、オンテンバールの方々、本当にありがとう。君たちのおかげで、森の平和が取り戻された。危険な任務だったが、見事にやり遂げてくれたな。」

　エデルが軽く頷きながら答えた。「無事に終わってよかった。魔獣が強敵だったが、何とか対応できた。」

　レンブラントは感謝の意を込めて、全員に深く頭を下げた。

「改めて、感謝する。君たちがいなければ、森の被害はもっと広がっていただろう。ギルドに預けた魔獣の死体の調査も進めていく。だが、ひとまず森の安全は保たれたようだ。」

　そして、レンブラントは少し考え込むようにしながら、アランに向き直った。

「アラン、君は魔法植物の運搬の仕事があったと思うが、今回の件で体力も精神力も消耗しただろう。残りの魔法植物の依頼は、他の方に代わってもらおう。君には十分な休息を取ってもらいたい。」

　アランはその言葉に一瞬驚いたが、すぐに感謝の表情を浮かべた。

「ありがとうございます、レンブラントさん。確かに少し疲れましたので休ませていただきます。」

　ベルタも笑顔で言った。

「それならみんなでゆっくり休みましょう。無理してもいいことないしね。」

　ノアも静かに頷きながら同意した。

　レンブラントは満足そうに微笑んだ。

「それでは、ゆっくり休んでくれ。君たちの仕事に感謝している。次の依頼があるときは、また頼むよ。」

　アランたちは一息つき、しばしの休息を楽しむことにした。