冒険者パーティー オンテンバール

 エデルは準備を進める中で、ふと思いついたようにアランに声をかけた。


「そうだ、まだ朝食をとっていないなら、一緒に食べないか?出発前に腹ごしらえをしながら、情報交換もしよう。」


 ベルタも明るい声で賛同した。


「いい考えね!お腹が空いてちゃ、魔法も冴えないもの。ノア、いいわよね?」


 ノアは小さく頷いて、無言で同意を示した。


 アランはその提案に微笑み、「それは助かります。ではご一緒させてください」と答えた。


 四人はギルド内の食堂へ向かい、テーブルを囲んで朝食をとることにした。温かいスープや焼きたてのパンが並ぶ食卓は、活気に満ちていた。


 エデルがスプーンを手に取りながら、アランに話しかけた。


「改めて自己紹介をさせてくれ。私はエデル、このパーティーのリーダーで前衛を務めている。君と協力できることを嬉しく思う。」


 彼は高い背丈と落ち着いた雰囲気が印象的な青年で、冷静さの中に強い意志を感じさせる人物だった。


 ベルタは笑顔で続けた。


「私はベルタ!魔法使いよ。風や火を使って派手にやるのが得意なの。アランも心配しないで、楽しくやりましょ!」


 彼女は活発でエネルギッシュな雰囲気を持ち、その明るさが周囲を和ませていた。


 ノアは少し控えめに口を開いた。


「......ノアです。斥候をしています。よろしくお願いします。」


 彼の視線は少し遠慮がちだが、チームを支える存在感が伝わる。人前で話すのが苦手そうな様子だが、その誠実さが垣間見える瞬間だった。


 アランは彼らの自己紹介を聞き、自分も自己紹介をした。


「私はアラン。魔導運送士として働いています。今回の件ではお世話になります。よろしくお願いします。」


 ベルタが興味津々に尋ねた。


「アランはどんな魔法を使うの?」


 アランは微笑んで答えた。


「私は主に水と汎用魔法を扱っています。よく使うのはものを運ぶための空間魔法や飛行魔法ですね。」


 エデルが感心した様子で頷いた。


「魔法は便利そうだな。俺もそれぐらい魔法が使えるようになりたいものだ。戦闘はどれぐらいできるんだ。」


 アランはエデルの問いかけに対して、少し考えながら答えた。


「普段は前線に立ちます。近接戦闘もこなせますし、水魔法や飛行魔法で支援をしながら戦うことが多いです。」

 エデルは興味深そうに頷いた。


「なるほど、頼もしいな。魔法で支援できるっていうのは、戦士としてはかなり助かる。俺もそういうスキルがあればと思うことがあるよ。特に戦闘が激しいときはな。」


 ベルタが興味を示し、「アランは魔法使いなのに前線に出るなんて意外!ちょっと見てみたいわ。」


 エデルは少し考えながら、アランに向かって話し始めた。


「よし、今回はいつもの陣形にアランを追加した形で行こう。前線は俺とアランが担当しする。その後ろにベルタが位置する。側面にはノアが立って、周囲を警戒と前線の援護だ。」


 ベルタがにっこりと微笑みながら頷く。


「了解!アランが前線で戦うなら、援護もしやすいしね!」


 ノアも無言で軽く頷き、作戦に同意していることを示した。


 アランは少し考えた後に頷いた。


「わかりました。前線でしっかりサポートします。うまく連携できるように頑張ります。」


 エデルはその返答に満足そうに頷き、出発の準備を進める。


「よし、これで決まりだ。全員、準備ができたら出発するぞ。」


 その後、四人は朝食をとりながら、魔獣の情報や森の状況について意見を交わし、討伐に向けて気持ちを一つにしていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る