第9話 全国知事会議と新たな挑戦

西郷健一郎は、島根県の発展だけでなく、全国規模での地方自治体との連携を強化する必要性を感じていた。特に大都市圏との連携を深めることで、島根県の影響力をさらに拡大できるはずだ。そう考えた彼は、全国知事会議に出席し、他県の知事たちと直接意見交換を行うことを決めた。


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全国知事会議が行われるのは、東京都。場所は日本の中心、霞が関にある都庁の会議室だ。会議には東京都知事の小山田恭子、大阪府知事の橋本康太郎をはじめ、各県の知事たちが顔を揃えていた。


会議の冒頭、東京都知事の小山田が挨拶に立った。


「各位、今回は全国各地から多くの知事が集まっていただき、誠に感謝しております。東京にとっても、地方との連携は非常に重要です。特に地方創生の観点から、地域の発展と大都市の相互支援について議論を深めたいと思います」


小山田知事は、地方創生に強い関心を持つ東京都のリーダーだった。西郷も、彼女の考えに共感しながら、島根県がどう関わるかを考えていた。


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会議が進む中、大阪府知事の橋本康太郎が発言した。


「東京一極集中が日本全体に与える影響については、以前から問題視されている。我々大阪としては、関西圏をもっと強化して、日本全体のバランスを取るべきだと考えている。しかし、それだけでは不十分。地方全体が力を合わせなければ、東京への集中は止まらない」


橋本の発言に対し、愛知県知事の佐藤が「我々も中部圏を強化する必要がある」と賛同の声を上げた。


その時、西郷は発言の機会を得て、島根県の現状と計画について話し始めた。


「島根県としては、出雲市への県庁移転、新幹線の延伸、そして交通インフラの整備を進めているところです。山陰地方全体での発展を目指し、中国地方知事会と協力している。しかし、それだけではなく、全国の知事との連携も重要だと考えています。島根のような地方も、大都市との連携を通じて成長できると確信しています」


東京都知事の小山田が興味深そうに聞き入れ、西郷に質問した。


「具体的に、東京との連携をどのように進めたいと考えているのですか?」


西郷は自信を持って答えた。


「東京からの人材や技術の移転を、もっと積極的に進めたいと考えています。例えば、島根県には自然豊かな観光地や歴史的資源がありますが、それを効果的に発信するためには、東京のメディアや企業との協力が不可欠です。また、地方に住むことの魅力をもっと発信し、東京からの移住者を増やすための支援策を共に考えていければと思います」


「それは面白い提案ですね」と、小山田知事は微笑みながら頷いた。


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会議終了後、西郷は大阪府知事の橋本に声をかけた。


「橋本知事、大阪との連携もぜひ進めたいと考えています。特に、物流面での協力が鍵になると思っています。大阪から島根へのルートを強化すれば、双方にメリットがあるのではないでしょうか?」


橋本知事は頷きながら、少し考え込んだ後に答えた。


「確かに、大阪は西日本の交通の要だ。島根との物流ルート強化は、関西圏全体にとっても大きな利点がある。特に山陰地方との連携を強化することで、観光や産業も活性化できるだろう。今後、具体的な話を進めていこう」


西郷と橋本は固い握手を交わし、今後の協力を誓い合った。


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その夜、西郷は東京のホテルに戻り、出雲にいるスタッフたちに電話で報告した。


「今日は全国知事会議で多くの成果があった。東京都や大阪府との連携が進めば、島根県の未来はさらに明るいものになるだろう。これからも、各県と力を合わせて島根の発展を目指していく」


スタッフたちも前向きな返事を返し、次のステップに向けた準備を進めることを確認した。


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次回、西郷は全国知事たちとの連携を深めながら、藤堂悠一との対立が再び表面化する。中央政府の圧力が強まる中、島根県を守り抜くために、彼は次なる一手を考え始める。


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