黄色の少女(2)(修正)

ブランの目の前には、太陽の光を浴びて輝く少女の姿があった。

風に揺れる長い金髪は、まるで陽光そのもの。黄金色の瞳は光を反射してどこか神秘的な輝きを放っていた。


『君は、誰?』


思わず、ブランは声を発していた。その声は草原の静寂に吸い込まれるように響いた。


少女は一瞬だけ驚いたような表情を浮かべたが、すぐに優しく微笑む。その微笑みは、ブランに不思議な安心感を与えるものだった。


『独りぼっちな男の子がいたから追いかけてみたの』


どこか穏やかな響きのある声。しかし、その奥に隠された演技じみた違和感が微かに混ざっている。

彼女の言葉には、何かを隠しているような印象を抱かせるものがあった。


『そしたらこんな綺麗な草原があるなんて思わなかったから、驚いちゃった』


少女は手を背中で組みながら、ふわりと近づいてくる。舞い上がる花弁の中を歩くその姿は、まるで天使そのものだった。


『あっ、私の名前はクレア。クレア・ウィル・ヴァルラーク』


名を告げると、彼女はにっこりと笑みを浮かべた。

その笑顔に、ブランはただ見惚れてしまう。


「君は、私に名前を教えてくれないの?」


黄金の瞳が真っ直ぐにこちらを見つめている。その圧倒的な存在感に、ブランは完全に言葉を失っていた。


『……あ、俺は……』


焦りが胸を駆け巡る中、どうにか声を絞り出そうとする。


『ブラン……ブラン・アルフテッド』


ようやく口にしたその言葉を聞くと、クレアはさらに微笑んで言った。


『ブラン・アルフテッド。うん、いい名前だと思う』


その一言は、ブランの心に深く刻まれた。

褒められることなど、これまでなかった。だからこそ、その小さな言葉が彼の胸を満たした。




思い出の中の声が途切れ、現実の鐘の音が教室に響き渡る。


授業の終わりを告げる音に急かされるように、ブランはノートに急いで筆を走らせた。黒板にはまだ教授が書き残した魔歴学の講義内容がずらりと並んでいる。

しかし、その手の動きが早まるのは、講義の内容以上に『次の予定』がブランの胸に重くのしかかっていたからだった。教室の鐘の音が鳴り終わり、次第に静寂が広がっていく中で、ブランは急いでノートの整理に取り掛かる。次の予定が近づいているため、できるだけ早く仕上げなければならない。筆を走らせながら、彼の頭はすでにその予定について考えを巡らせていた。



学校から帰路につき、ブランは両腕いっぱいに抱えた紙袋を抱えて小さな家のドアを開けた。「家」というには狭すぎる一部屋だけの住まい。それでも、彼にとっては何より大切な場所だ。


「ごめん、遅くなった」


そんな大切な場所へと帰り、食材が入った紙袋をテーブルへと置いたブランは、戻るなりそう言葉をかける。彼の視線は、部屋の奥側に置かれた寝台へと向けられていた。



「お帰りなさい、兄さん」



ブランの視線の先。

そこには、上半身を起こしてこちらを見つめる少女が彼を見つめ、微笑んでいた。




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まず初めに、私の拙い文章を読んでくださり、ありがとうございます。

ゆっくりと書いていく予定です。

時々修正加えていくと思います。

誤字脱字があれば教えてください。

白が一番好きな色。

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